Namazu: [説明]

        Q&A本文(No4951-5100)

No
Q(お客の質問) A(答え)
4951 火炎状血管腫とは(かえんじょうけっかんしゅ) 皮膚に認められる「赤あざ」のこと。血管が異常に拡張あるい増殖。
火炎状血管腫あるいはサーモンバッチと呼ばれる血管腫は新生児の前額中央部、ときに鼻の周囲や口唇部に拡がる火炎状の発赤で通常1歳まで遅くとも2歳までに自然に消失。
4952 ウンナ母斑とは(うんなぼはん) 皮膚に認められる「赤あざ」のこと。血管が異常に拡張あるい増殖。
ウンナ母斑と呼ばれる偏平な血管腫は項部、後頭部に現れ約半数は自然消退せず、成人まで残るが、通常、頭髪の中に隠れるので問題はない。
4953 いちご状血管腫とは(いちごじょうけっかんしゅ) 皮膚に認められる「赤あざ」のこと。血管が異常に拡張あるい増殖。
いちご状血管腫は出生時あるいは出生後間もなく生じる皮膚から盛り上がった紅色の血管腫で生後3カ月から6カ月頃までは増大するが、その後、次第に縮小。治療はとくに必要なく、自然に消退するが、潰瘍化し出血する場合には皮膚科での処置要。
4954 単純性血管腫とは/ポートワイン母斑とは(たんじゅんせいけっかんしゅ、ぽーとわいんぼはん) 皮膚に認められる「赤あざ」のこと。血管が異常に拡張あるい増殖。
単純性血管腫(ポートワイン母斑)は 皮膚から盛り上がっていない赤ブドウ酒色の血管腫で出生時からとくに増大はしないが、消退もしない。
4955 海綿状血管腫とは(かいめんじょうけっかんしゅ) 皮膚に認められる「赤あざ」のこと。血管が異常に拡張あるい増殖。海綿状血管腫は軟らかな圧縮性のある皮下の腫瘤として触れる血管腫で淡青色にすけて見えることもある。この血管腫は自然消退傾向はないが、いちご状血管腫との混合では腫瘤のかなりの部分が自然に吸収される。
4956 新生児嘔吐とは(しんせいじおうと) 出生後1〜2日に嘔吐する新生児は多いが大部分は数回以内で嘔吐が消失し哺乳力も良好となる。病的な嘔吐では消化管の解剖学的な閉塞や狭窄、あるいは機能的なまひ、中枢神経系あるいは代謝系の異常が原因で嘔吐が頻回におき、吐物に胆汁や血液が混じることがある。また、体重減少や脱水、腹部の異常 (膨満・陥没)、全身症状悪化などの特徴がある。
治療:消化管のX線写真が診断に有用で、外科的処置が必要な嘔吐と内科的処置による治療の可能な嘔吐を鑑別する。嘔吐が頻回の場合は経口哺乳を一時的に中止、点滴で予後が改善。
4957 先天性食道閉鎖とは(せんてんせいしょくどうへいさ) 先天的に食道が閉鎖。上部の食道は盲端に終わり、閉鎖部位より末梢の食道と気管支との間の気管支食道瘻により胃との交通が保たれている型 (グロスの分類C型)が最も多く、まったく交通のない型、上部食道と気管支の交通のある型、上部、下部両方正常につ ながった食道と気管支の間に交通のある型などもある。最も多いC型は出生直後の胃内吸引の際にカテーテルが胃内に入らないでコイルすることで疑われ、単純X線写真で食道盲端に空気像を認めることで診断される。哺乳させると誤嚥し肺炎をおこすので、ただちに手術が必要。
4958 先天性腸管閉鎖とは(せんてんせいちょうかんへいさ) 先天性に腸管が閉鎖している疾患で嘔吐と腹部膨満が認められ、閉鎖部位により十二指腸閉鎖、小腸閉鎖、大腸閉鎖などに区別する。生後に排便が認められないことが多く閉鎖が口側にあるほど生後早く嘔吐が出現する。十二指腸乳頭部より肛門側に閉鎖部位があるときには、吐物は胆汁が混じり緑色になる。立位のX線写真が診断に有効で、二つの硬い鏡面像を認めれば十二指腸閉鎖、多数の鏡面像を認めれば小腸や大腸の閉鎖を疑う。鏡面像が少なければ上部、多けれぱ下部の閉鎖が疑う。
治療:嘔吐を予防するために胃内を吸引し、水や電解質の矯正を行うために点滴し、すみやかに外科的な処置を行う。
4959 鎖肛とは(さこう) 肛門が閉塞Lている状態で、直腸が盲端に終わっている場合と、会陰部、尿道、膣などに瘻があり排便をみる場合とがある。生後長く時間がたてぼ嘔吐が出現するが、嘔吐を認めるより前に、出生時に肛門にブジーを挿入して肛門の開通を確認する際に診断することが望ましい。
治療:盲端部が恥骨直腸筋を通過している下位の鎖肛は一時的根治手術(直腸を肛門部に直接つなぐ)、盲端部が恥骨直腸筋を通過していない高位や中間位の鎖肛は横行結腸に人工肛門の造設を行い、のちに(6力月後頃)根治手術が行われる。
4960 新生児壊死性腸炎とは(しんせいじえしせいちょうえん) 消化管に虚血性壊死が生じ腹部膨満、消化管の通過障害、嘔吐あるいは胃内吸引物(緑色あるいは血性)の増加、血便、ショック症状などが現れ、消化管穿孔、腹膜炎、敗血症を合併し死亡することが多い疾患。出生体重の少ない極小未熟児あるいは超未熟児に本症の発生が多い。低酸素状態により腸管壁が傷害され傷害部位へ細菌が浸潤による発症と考えられるが、栄養とくに人工栄養も発症に影響している。X線写真で初期に腸管の拡張像がみられ重症になると本症に特徴的な腸壁内ガス像や門脈内ガス像が認められる。
治療:経口栄養を中止し点滴を行い抗生物質を投与するが、消化管穿孔や腹膜炎に対しては外科的処置が必要。病気にならないために早産児とくに在胎32週以下、出生体重1,500g未満、仮死や呼吸障害、無呼吸発作、循環障害、感染などのある場合が多いので保温、呼吸管理、水分管理などに注意し、できるだけ母乳で哺乳し、本症を予防する。
4961 臍帯ヘルニアとは(さいたいへるにあ) 臍輪部から贋帯の中に、腸管や肝臓が腹膜と羊膜からなる嚢をかぶって突出し たもの。大きさは、腸の一部がでている小さなものから、腸管と肝臓の大部分が脱出する大きなものまであり、ときに出生時あるいは出生直後に嚢が破れて内容が脱出することもある。
治療:手術により消化管を腹腔内に戻す。皮膚だけでは閉鎖できないほど巨大な場合は人工膜を用いて一時的に閉鎖し、のちに皮膚や腹膜を閉鎖することもあったが、最近ではほとんどが一回の手術ですまされるようになった。手術前は保温と嚢の保護に努め、感染を予防する。
4962 未熟児網膜症とは(みじゅくじもうまくしょう) 未熟児に特有な網膜の病気。活動期(急性期)には発育が未完成の網膜血管の先端部に異常分岐.血管の怒張・蛇行・新生が生じ、その周囲の無血管帯との間に境界線が形成される。重症になると硝子体内への滲出や血管の増殖が強くなり、出血も認められ、瘢痕期になると網膜の牽引がおこり視力障害や、網膜が剥離し、失明することもある。経過が比較的ゆるやかで、経過中に進行が停止して自然治癒にいたる1型と、急激に進行して視力障害になる可能性のあるU型に分類される。本症は酸素を過量に使用すると発生するとされたが酸素の使用とは無関係にも認められ、多くの因子が作用して発症すると考えられる。このため、未熟児や高濃度の酸素を必要とした新生児は網膜や血管が発育するまで、定期的に眼底を検査することが必要。
治療:対象をとってしっかり した治療効果判定が行われていないので効果に関してはまだ論議があるが、我が国では、1型の三期あるいはU型に対しては、光凝固か冷凍凝固が行われる。
4963 新生児循環不全とは(しんせいじじゅんかんふぜん) 組織に必要な血液が供給されない状態が循環不全。新生児は心不全や末梢循環の障害をきたし循環不全に陥りやすい。呼吸障害、敗血症、仮死、頭蓋内出血、低体温などの新生児の疾患は程度の差はあるが、循環不全を伴っており、また、循環不全があると状態が悪化するという悪循環となる。症状は頻脈、呼吸障害、血圧低下、脈拍徴弱、皮膚蒼白、チアノーゼ、四肢冷感、尿量減少、自発運動低下が認められる。
治療:原因の治療がまず必要。循環血液量が減少した場合は輸液、心不全はに対しては原因治療や強心剤の投与が行う。 血圧が滅少したり、尿量が少ない場合には、カテコールアミンを点滴により投与。体温の維持や、酸素供給を適切に保つ ための呼吸管理、代謝性のアシドーシスの矯正などの治療も重要。
4964 水頭症とは(すいとうしょう) 脳の中に脳室という部屋がある。脳室の中で脳脊髄液がつくられ、いくつかの脳室(側脳室、第3脳室、第4脳室)を通り、脳の表面に出て、最終的には脳の大きな静脈に入る。このような髄液の流れのどこかが塞がれても、脳脊髄液が脳室内に過剰に貯溜する。このような病気を水頭症という。ふつう、CTスキャンで診断。脳室(まれには脳の表面)の一部が、 生まれつき癒着、髄膜炎のために癒着し髄液の流れが塞がれて水頭症がおこる。特殊な水頭症として水頭症性無脳症、髄膜脊髄瘤がある。髄液が余分に貯溜するために、脳(頭蓋)全体の体積が大きくなり頭囲が大きくなる。頭蓋内圧の上昇、嘔吐、落陽現象(目が下の方を向く)、脳圧迫による運動発達の遅れ、まひ、けいれん、知能発達の遅れがみられる。
治療:程度が軽ければ、あまり脳室が大きくならないこともある。しかし、重症な時、頭蓋内圧は著しく高くなり、手術が必要。下を向きやすい(落陽現象)などの症状に気づいたら、まず小児科で受診。巨脳症(脳自体が大きい)、良性の硬膜下水腫や軽い髄液の吸収不良、吐きやすいときは軽度の胃食道逆流や幽門狭窄症、目が下を向きやすいのはときには正常の乳児でもみられるが、高度の黄疸の後遺症など、小児科的な疾患によることがある。
4965 脳性麻痺とは/脳性まひとは(のうせいまひ) 脳性麻痺とは脳の発育期の非進行性病変のために永続的な運動障害 (まひ)をきたした状態(疾患)をさす。原因が生じた時期は生後1カ月以内とする考えもあるが、 とくに限定せずに、小児期に生じたものとする考えが一般的。非進行性とは、脳の病変が次第に悪化するもの (すなわち進行性)ではないという意味。大脳の皮質(神経細胞)、白質(神経線維)、基底核、脳幹部、小脳など運動の命令系統に変化で運動障害が現れる。乳児期には頸の座り、寝がえりなど運動発達の遅れがあり、頭を後ろにそらす、指を握り込むなどの姿勢異常で気づ く。手足が柔らかい(緊張低下)、逆に固い場合(緊張亢進)もある。発達期の脳は一部で障害があっても他の正常な部分の働きで正常になることが多く、脳性まひの乳児は一部のみ。
治療:リハビリテーションで障害を受けていない部位の機能をさらに高め運動機能の向上を促したり、姿勢や筋緊張の異常を改善する。運動発達(頸の座り)の遅れや頭をそらしやすい、腕を曲げないで伸ばすことが多い、指をいつも握り込 んでいるなど姿勢の異常、手足がつっぱ りやすいなどの筋緊張の異常はまず小児科医に受診。
4966 急性脳症とは(きゅうせいのうしょう) 今まで健康に育ってきた子どもに発熱、けいれん、意識障害などの症状が急性に出現し、髄液と血液検査で脳炎様の炎症症状を欠くものをいう。乳児期に多く、しばしばけいれんの止まりにくい状態(けいれん重積状態)となる。呼吸障害や循環障害を伴うものは予後が悪いことが知られている。生命をまっとうしても、後遺症として、まひ、知能障害、けいれんなどがみられることが多い。
4967 点頭てんかんとは/ウエスト症候群とは(てんとうてんかん、うえすとしょうこうぐん) ウエスト症候群とも呼ばれる病気。6カ月前後の乳児に1〜2秒間の瞬間的な強直発作、すなわち驚いたように両手をひろげ頭を前方に屈曲する発作が眼が覚めたとき、眠くなったときに出現。発作の出現はシリーズ形成といって10分間程度の間に発作が10〜30回まとまってみられる。 そのほか、脳波で特徴的な異常所見および精神運動発達の停止が認められる。高率に精神運動発達障害を残し、一度発作は消失してもその後別なタイプのてんかん発作が現れ、約1/3が難治性てんかんであるレノックス・ガストー症候群に移行する。小児期てんかんの中でも最も予後の悪いものの一つ。いろいろな脳障害で発症する。主なものは脳形成障害(脳奇形)、 母体内感染(出生前の胎内感染)、分娩時・新生児期の脳障害、結節性硬化症、先天代謝異常など。大部分は2歳以前、12カ月までに発症。発症のピークは4〜6カ月の間。
治療:てんかん発作を消失させること。副腎皮質刺激ホルモンは点頭てんかんに特異的に効果がある。その他ビタミン剤や抗けいれん剤を用いる。特徴的な強直発作が観察された場合は、ただちに、小児神経の専門医を受診。
4968 夜尿症とは/昼間のおもらしとは(やにょうしょう、ひるまのおもらし) 夜尿はポピュラーな疾患。小学校の低学年で5%以上。大部分は自然治癒する。成人にも夜尿はみられる。夜尿は短い尿間隔と目覚めにくさが結びついた状態。夜尿の原因はタイプによって異なる。以前いわれていた心因性のものは少なく、多くは機能性。睡眠・覚醒機能の障害あるいは膀胱の機能や膀胱をコントロールする中枢神経系の機能に問題があるものが多い。夜間の尿量が多く、比重が低いタイブがある。食物に対するアレルギー性の夜尿も少数存在する。漏らしても目が覚めないのがほとんど。多量に漏らすものと少量漏らすものとがある。
治療:
1)条件づけ法
おしっこがかかると、音を出すブザーを使って、ブザーが鳴ったときに親が子どもを起こして排尿させることを繰り返す方法。漏れる前に存在する尿意と漏れた直後の強制覚醒を結びつけてやることで、次第に睡眠の浅化が得られ、中枢神経系の膀胱に対するコントロールが増強されて、おしっこの間隔が延びる。尿意で自分で起きだす治し方もある。 治療期間は1〜6カ月。治癒率は50%を上回る。
2)薬物
(1)三環系抗うつ剤
トリプタノール、トフラニール、アナフラニールなどが代表的。短期間で効果がわかる。副作用として、眠い、だるい、食欲低下、気持ちが悪い、頭痛など
(2)抗コリソ剤
ブロ・バンサイン。短期間で効果がわかる。副作用は発疹、のどが渇く、便秘など。
(3)頻尿・尿失禁治療剤
バッブフォー、 ポラキス。効果はゆっくりで、3週間以上使わないとわからない。こうした薬剤は、夜尿に対してはいずれも10%程度の治癒率ですが、昼間のおもらしには非常によく効く。昼間のおもらしにはタイブが2つある。尿意が弱くて、はっきりおしっこがしたい感じがないのに、タラタラ漏れてしまうものには、三環系抗うつ剤が効く。尿意が大きくて、したくなると我慢がしにくいものには、抗コリン剤が効く。
(4)抗利尿ホルモン点鼻液
デスモプレシン点鼻液。一時的な効果なので、旅行や合宿に用いる。
4969 肥厚性幽門狭窄症とは(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう) 胃と十二指腸との境を幽門という。 ここには、十二指腸からミルクが逆流しないために輪状筋がある。輪状筋の締まりが強くなりすぎ、胃から十二指腸への通過が障害されて嘔吐がおこる。生まれつき幽門筋の締まりが強いため「先天性」肥厚性幽門狭窄症と呼ばれる。
原因は不明。遺伝的要素や環境因子も関係する。男児に多く、女児の約4倍。「先天性」ですが、症状が現われるのは生後2〜3週頃からです。症状は噴水のように勢いよく吐く。ひどいときには50cmから1mも遠くまで飛ぶ。鼻の孔からもミルクが出る。哺乳直後のことも、しばらくしてから吐くこともある。吐いても、ケロッ としていて、ミルクを与えると、またすぐに飲む。吐く回数が多いと脱水症になったり、体重の増えが悪くなる。
治療:薬だけで治る場合もまれにあるが、 ほとんどは手術。締まりの強い幽門筋の一部を切る。
4970 先天性胆道閉鎖とは(せんてんせいたんどうへいさ) 肝外胆管が欠損しているため、進行性の胆汁性肝硬変を生じる乳児の閉塞性黄疸。 原因は胆道の先天的な形成異常あるいは周産期のウイルス感染が推測されるが、いまだ不明。
新生児黄疸に引き続き黄疸が強くなる。便は生後まもなく、または1カ月頃までに淡黄色ないし灰白色を呈す。検査所見は血清直接型ピリルピン、 GOT、GPT、γ-GTP、LAPは高い値を示し、LPXは陽性、十二指腸ゾンデによる十二指腸液の胆汁は陰性。乳児早期の全身状態は良好ですが、生後5〜6カ月を過ぎると徐々に肝硬変に進展し貧血、腹壁静脈の拡張、腹水、消化管の出血など、門脈圧亢進する。本症が疑われたときは、遅くとも生後2カ月までに開腹胆管造影検査を行って胆管腸吻合術を行なう。この手術を行った場合、約30〜70%に術後に胆汁流出が認められ改善する。術後は上行性胆管炎の予防と栄養管理などのために定期的な検診が必要。 しかし、吻合手術を行っても胆汁の流出か悪い場合、肝移植を行う。
4971 乳児急性下痢症とは(にゅうじきゅうせいげりしょう) 乳児におこる急性下痢症で、2歳すぎの急性胃腸炎に相当。乳児だけ特別扱いをするのは脱水症になりやすい。急性胃腸炎と同じで胃と腸に細菌やウイルスが感染しておこる。ウイルス感染が多く、なかでもロタウイルスによることが多く、全体の80〜90%。中耳炎や呼吸器感染症、尿路感染症など、腸管以外の感染症で下痢がおこることもある。抗生物質によ って下痢になることもある。便は水様で、おむつからはみ出すほど多い。多くの場合にツブツブ(顆粒)を含み、甘酢っぱい臭いがする。色は黄色のことも、緑色のこともあるが、ロタウイルスによる場合には米のとぎ汁様に白色。これを仮性コレ一フとか白色便性下痢症と呼ぶ。便の回数は一日二、三回から、多い場合には10数回にもなる。下痢によって水分が失われ、嘔吐のために水分がとれないと脱水症になる。脱水症になると、尿量は減少し、水分をすごく欲しがる。さらに進むと舌や唇が乾く。
治療:吐気、嘔吐がなく、下痢だけのときは脱水症も軽く、食事療法だけで十分。母乳栄養児なら、そのまま母乳を続ける。人工栄養児、離乳中の場合水分補給を十分与える。吐く場合に は、少量ずつ何回も与える。同時に小児科医を受診。
4972 周期性嘔吐症とは(しゅうきせいおうとしょう) 3〜10歳頃までの子どもで吐き気、嘔吐とともに元気がなくなり、ぐったりして半日、一日吐き続け、そのうちに元気を取り戻すといった発作を一年に数回 繰り返す病気。 発作のときに尿にアセトンという物質が出る。血液中にアセトンが増加したためで、アセトン血性嘔吐症とも呼ぶ。また中毒に似た症状がひとりでにおこるという意味から自家中毒症とも呼ぶ。神経質な親に育てられた神経質な線の細い子に多いといわれる。疲労、食べすぎ、かぜなどがきっかけになり発作をおこす。病気の本態はまだ不明。
治療:吐き気の強いときや腹痛の強いときには、輸液が必要。十分に食欲がでてきたら、食事をはじめる。はじめは慎重にし、あとは急速に進めてよい。発作がおこったら、寝かせて食事を禁止する。水分はやめて氷のかけらを口に含ませる程度にする。吐き気がおさまったら番茶、湯ざまし、 あるいはスポーツドリンクを少量(ひと口)ずつ、30分ごとに与える。おさまれば以後量を増やしていく。吐き続ける時や腹痛の強いときは受診。
4973 軟骨無形成症とは/アコンドロプラジアとは(なんこつむけいせいしょう、あこんどろぷらじあ) 胴体に比べて手足の短い小人症。頭が大きく、おでこが出て鼻が低い特徴的な顔で、手足の指が短く、X線写真で診断がつく。2歳以前に注意しなければならない合併症は気管支炎、肺炎、 中耳炎、水頭症、背骨の変形など。2歳以後にはO脚が目立つことがある。
治療:最近では脚の骨を伸ばして身長を伸ばすことができるようになった。骨を伸ばすことはそれほど難しくないが、伸ばす必要があるかどうかは医師が決めることではなく、両親が子どもとよく相談して決めることです。ちなみにイギリスではこのような手術が盛んに行われますが、アメリカでは患者たちの反対であまり行われない。
4974 未熟児貧血とは(みじゅくじひんけつ) 未熟児は生まれたときの休重が低く、 従って生まれたときに持っている血液の量も少ない。しかし生まれた後の体重増加は大きく、血液の希釈も急速におこる。これを未熟児早期貧血と呼ぶ。治療:貧血の程度が強ければ輸血を必要とすることがある。最近、 エリスロポイエチンの投与が健康保険で認められた。
4975 溶血性尿毒症症候群とは(ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん) 溶血性貧血と尿毒症が一緒におこる病気。血小板も減少する。 熱、腹痛、下痢、血便、かぜ症状などから引き続いて貧血、出血症状、おしっこが出ない(無尿・乏尿)などの症状。比較的珍しい病気ですが、4歳以下の幼児に多く、子供の急性腎不全(尿毒症)の約30%を占める。以前、ある幼稚園の井戸水から大腸菌 が園児に感染し、その多くがこの病気になって入院し、大きく報道されたことがある。この場合、病原大腸菌(O157 H7)のつくるベロトキシンが原因であった。このほかウイルス、細菌(赤痢菌など)感染などでおこった例がある。これらの毒素により、腎臓の血管内皮細胞が壊され、そこに血小板が集まって血栓をつくる。そのため、血小板が使われて減り、血液の流れが悪くなって腎臓の働きが弱り、 血栓の間を通り抜けようとする赤血球が壊されて貧血がおこる。大人にみられる血栓性血小板減少性紫斑病と同じような病気といわれる。
治療:入院が必要。一番大切なのは腎不全に対する治療で、点滴・高血圧に対 する治療などが重要。血液透析・腹膜透析などを積極的に行う。そのほか貧血のための輸血、けいれんに対する治療が必要なことがある。抗血小板薬、抗凝固剤、血漿交換などが試みることもある。
4976 リウマチ熱とは(りうまちねつ) 年長の幼児から学童期に多い病気。発熱が続き、膝、足、手などの比較的大きな関節の痛みやはれが、ある場所が治ると他の場所にでるという具合に移動性に生じる。また、舞踏病と呼ばれる手足の無意識におきる異常な動きのため行儀が悪くなったようにみえたり、皮膚に赤い不規則な輪状の発疹が出没したり、皮膚の下にしこりができたりする。問題になるのは心臓にも炎症がおきることで、そのため命を失ったり弁膜症を残したりする。
溶連菌感染が引き金になって体に異常な反応が生じることによると考えられる。溶連菌による扁桃炎にかかった後、しばらくして発病するということが多いが感染がはっきりしない場合もある。
治療:心臓に病気が及んでいない場合はアスピリンを使って治療するが、心炎が存在するときは副腎皮質ステロイドホルモンで抑える必要がある。再発することがあり、その際一層重い心炎が生じる可能性があるので、溶連菌感染を予防するため、この病気がおきなくなる成人になるまで、ペニ シリンを飲み続ける。
4977 若年性関節リウマチとは(じゃくねんせいかんせつりうまち) 膠原病の一種で原因は不明。異常な免疫反応が関係していると考えられる。関節炎の特徴としては指などの小さな関節もおかされる、朝起きたとき指がこわばった感じがするがしぱらくするとよくなってくる、多くの関節が同時におかされる、関節が固まってしまい動きにくくなり、変形をおこしたりする。一日の変動の著しい発熱、数週以上も続き何カ所かがおかされる関節炎、数mmの大きさの紅い発疹の出没などの症状がある。成人の関節リウマチと異なり発熱だけが続いて、しばらくの間関節炎の症状がはっきりしなかったり、全身のリンパ節がはれたり、脾臓がはれたりすることが多い。心炎、胸膜炎、眼の虹彩炎を合併することもある。
治療:アスピリンを使うが肝臓や胃腸への副作用に注意。同じ量を飲んでも吸収に個人差があるので、血液中の薬の濃度を測定し、使用量を確かめる。 心炎や胸膜炎を合併したときはやむを得ず副腎皮質ステロイドホルモンを使う。
4978 川崎病とは(かわさきびょう) 乳児・幼児に多くみられる病気。まれに成人もかかりる。急性熟性粘膜皮膚リンバ節症候群と呼ばれるが、むしろ発見者の名をとって川崎病ということの方が多い。数日以上熱が続き、頸のリンバ節のはれ、眼の充血、口唇の紅潮、麻疹のような発疹、手足のはれ、指先からの皮むけなどの症状がでて、いずれ自然に治る。問題は心臓に冠動脈の動脈瘤などの合併をおこすことで、それが命とりになる。死亡率は1%以下。原因は不明。流行がみられる ことから、何らかの感染との関連が疑われる。
治療:原因が不明であることから原因療法はない。抗炎症薬を用いるが、免疫グロブリン製剤を大量に静脈内注射する方法は、冠動脈病変の発生を減少させ、 早く下熟させることができるので中心的 な治療法となる。冠動脈の病変はそのようにしても数%にみられるが、その場合は冠動脈の病変部で血液が固まって血管を塞いでしまうのを防ぐため、 抗血液凝固薬を冠動脈が正常化するまで使用する。冠動脈病変はかなりの率で正常化するが永続的な変化を残すこともある。場合によっては、外科手術でバイバスをつくる治療を行う。
4979 神経芽細胞腫とは(しんけいがさいぼうしゅ) 乳児や小さな幼児に多い交感神経細胞のがんで、それが集まっている副腎や腹、胸、頸部の脊柱の両脇に存在する交感神経節から発生する。副腎、次いで腹部交感節からでるものがもっとも多いが、お腹の奥のほうなので触ってもわかりにくい。骨に転移しやすく、そのため血球の生産がおかされ貧血になる。このがんはカテコールアミンという物質をつくるので、尿にその代謝物が増えていることが診断に役立つ。最近はすべての乳児について尿を調べ、症状がでる前に早期発見するマススクリーニングが行われるようになった。
治療:手術でがんを完全に取り除くことがもっとも重要。そのため早 く発見する必要。はっきりし た症状がないため気がつきにくいので、 むしろスクリーニング検査で早期発見する努力がされている。放射線や薬も使われるが、なかなか手強いがんです。乳児期のものは比較的治りがよい。
4980 乳児突然死症候群とは/SIDSとは(にゅうじとつぜんししょうこうぐん、SIDS) 1995年に厚生省から新しい定義が提唱され、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況および剖検によってもその原因が不詳である、乳幼児に突然の死をもたらした症候群」を乳児突然死症候群 (SIDS)という。まさか死亡するとは思わなかった元気な赤ちゃんがある日突然ベッドで死亡しているのが見つかった。死亡現場を調べても、事故や他殺につながるような状況はなく、また解剖しても外傷やその他の病気による死亡を考えさせる所見は見当たらなかった。このような場合に乳児突然死症候群と診断される。病気の原因は不明ですが、いろいろな説がある。現在、最も有力とされているのは覚醒反応の低下を病因とするもの。呼吸など体の最も基本的な働きをつかさどる場所である脳幹部の機能に異常があるため、覚醒反応が低下し、ご く軽度の気道感染などによって引きおこ された睡眠時の無呼吸に対して、回復で きずに死亡すると考えられている。この脳幹部機能異常の原因は胎内での低酸素症、脳循環不全、感染症などがあげられる。最もおこりやすい月齢は2〜4ヵ月で、 6カ月を過ぎたらおこりにくくなり1歳を過ぎておこることはほとんどない。低出生体重児、妊娠中や分娩後に受動喫煙を含めた喫煙習慣のある母親から生まれた児、人工栄養児などにSIDSがおこりやすい。仰臥位よりも腹臥位で育てた児の方がおこりやすい。
4981 被虐待児症候群とは(ひぎゃくたいじしょうこうぐん) 子どもの虐待は医療上、犯罪とみなすものではなく子どもと親への治療が必要な現象。定義は「親や保護者や世話する人によって引きおこされた、子どもの心身の健康に有害なあらゆる状態」であり、その大人がその子どもを嫌っているかどうかや意図して傷つけたかどうかは問わず、子どもの立場からみて有害なら虐待とみなす。これは次の@〜Cのように4分類する。
@身体的虐待
殴る、蹴る、振り回す、首を絞める、水に浸ける、タバコを押しつける、毒物を与えるなどの物理的暴カによるもの
A拒否放置(ネダレクト)
食事、清潔、保温、医療、教育などの必要不可欠なケアを行わないために成長発達障害などの健康障害がおきること
B心理的虐待
物理的暴力ではないが心を傷つける言葉による暴力や差別扱いすること
C性的虐待.
大人が子どもを性の対象にすること。 外傷は殴ったり乱暴な扱いによる直接の外力や、そのときに倒れたりぶつかったりしたためにおきる。子どもの骨や血管や内臓は弱く、たたいた人はそれほど力を込めたつもりはなくとも重篤な外傷がおきうる。とくに乳児では胸部を持って強く揺することで頭部が前後にガクガクとするだけで脳血管が断裂 し硬膜下血腫がおき死亡につながる (シェイキング・ベビー症候群)。 虐待を受けている子どもは泣いたり、痛みを訴えないために、外傷の程度の判断がしにくいことも多々ある。
死亡は頭蓋外傷、腹部内臓破裂、窒息、感染症や脱水症の放置などが原因となり3歳以下では高率。
発育障害は栄養不足やストレスからの成長ホルモン分泌不全などによるもので、発達遅滞は適切な発達刺激が少ないことによる。
心身症は恐怖や不安のためであり長期の虐待では自分に存在価値がないと思い、人を信じられず、カーツ となりやすいなとの性格特徴を残しやすくなる。たとえ生命が助かり身体的後遺症を残さなくても、心の後遺症が最も大きく残る。そして大人になって我が子を育児するときに、親と同じことを無意識に繰り返しやすく、そのことに悩み、自己制御しきれない。
病気に気づいたら子どもには心身の医療が必要。急性期の外傷だけでなく、気づいていない頭蓋内出血や骨折、成長障害、情緒問題の精密検査と治療を行う。子どもに症状があるときには入院の方が改善が早い。親の付き添い不要の病院の小児科を選び、「暴力を振るってしまう」 「世話をするのがイヤ」「殺してしまいそう」と勇気をだして率直に話し援助を求める。医療費は各種の公費負担制度を利用することもできる。発達遅滞や情緒問題に対しては入所施設や保育所での長期の治療的取り組みや心理治療が必要になる。
4982 オリゴ糖は血糖値を上昇させるか(おりごとう、けっとうち) オリゴ糖は、ブドウ糖や果糖といった分子が2〜10個ほど連なったもので、タマネギやゴボウ、きな粉などのたくさんの食品に含まれる糖の一種です。甘みがありますが、人間の小腸にはオリゴ糖を分解する酵素を持っていないため、食べても消化、吸収されずそのまま大腸まで到達する。このようにオリゴ糖は難消化性なので、食べても血糖値を上げませんし、血中のインスリン濃度も変えません。オリゴ糖を摂っても太る心配はないため、ダイエットに最適の甘み成分とされている。
4983 頸肩腕痛とは(けいけんわんつう) これは一つの病名ではなく、首から肩、腕にかけての痛みをおこしている状態を総称したもの。頸肩腕痛の原因には以下のようにさまざまなものがあります。
@頸椎の病気(頸部脊椎症、頸椎椎間板ヘルニア)
A肩関節周囲炎(五十肩など)
B胸郭出口症候群
C肩こり、寝違い
D頸肩腕症候群
@の頸椎の病気では首や肩、腕の痛みとともに多くは手のしびれや感覚が鈍くなったり力が弱くなるなどの症状を伴う。また、首を痛い側の後方に反らすと痛みやしびれが強くなることもある。
Aの肩関節周囲炎は腕を持ち上げていくと(とくに外側に)痛みが強まり、多くは、完全に挙上できなくなりる。 また、夜寝ているときに痛みを強く感じるのも特徴。
Bの胸郭出口症候群は腕にいく神経や血管が第一肋骨と鎖骨の間、あるいは首の筋肉の間を通るところで圧迫されておこるもので、20〜30歳代の女性に多く痛みの他にしびれやだるさ、手の冷感なども訴える。
Cの肩こりは肩の筋肉に疲労物質がたまっておきるが、その原因として、肩の使いすぎのほか、ピタミソ&欠乏や貧血、低血圧症、高血圧症、その他いろいろな全身の病気に伴っておこることもある。寝違いは.軽い首の捻挫と考えられる。
Dの頸肩腕症候群というのは、@〜C のような原因がはっきりせず、頸肩腕痛のあるものをまとめて呼んでいるもので、 正式な病名ではない。この痛みの原因については、おそらく筋肉や靱帯などの疲労や血流障害がもとになっているのではないかと考えられる。
4984 先天性内反足とは(せんてんせいないはんそく) 足の踵の骨の上に乗っている距骨という骨の形の異常とその周囲の骨の配列の異常から現れる先天的な足の変形。 約1,000人に一人の割合で発生し男児に多くみられる。原因は不明。生まれたときから、片側または両側の足の裏側が内側を向き前足部は内転 (母趾側に曲がる)する。横から見ると尖足とへこみ足を呈す。
治療:原則として出生直後から治療を開始する。この病気は、もともと骨の形成・配列の異常ででき上った変形に拘縮(関節包 ・靱帯などの過緊張により関節が動かな くなる)が加わったものなので、その拘縮を除去しながら変形を矯正していく。生後6〜12カ月までに矯正の目的が達せられなければ、手術が必要。 治療は治るまで次の順序で行う。
@徒手矯正しては矯正可塑性ギブス(ソフトキャスト)を巻き、これを 一週ごとに繰り返しだんだん矯正を 強めて行くす。
A矯正装具デニス・ブラウンの使用
B手術療法(生後6〜12ヵ月、拘縮の原因除去) C矯正靴(歩行開始後)
4985 脊髄腫瘍とは(せきずいしゅよう) 背骨の中を脳から腰部まで貫いている脊髄という神経組織にできた腫瘍。次第に大きくなって、元の脊髄を圧迫し神経の伝導を遮断し、その部分以下のまひをおこす。大人から 子どもまでおき、多くの場合は良性で他の臓器へ転移しない。腫瘍の入っている背骨の付近(頸部、肩、背中、腰)に、そう強くはないが安静時でも軽快 しない慢性の痛みではじまることが多く次第に手か下半身にしびれ感や動きにくさがおき、そのうちに歩きにくくなったり、走りにくかったり運動障害が現れ立つこともできなくなる。排尿も障害され、はじめは尿意が近く なったり、出しきれない感じが出たりするが、進行すると尿がたまったのがわからなくなる。
治療:良性なので手術で摘出できるものが多く、完全に摘出すればまず再発しない。しかし、ごく一部、脊髄の内部に発生して、びまん性に発育するため、完全に摘出不能な悪性のものもある。
4986 網膜絡膜炎とは(もうまくらくまくえん) 眼底の脈絡膜とその隣接する組織である網膜に炎症がおこった状態。網脈絡膜炎がおこると網膜に水がたまったり、本来透明であるはずの硝子体が濁ったりして、視力が落ちたりものがゆがんで見えたり、網膜剥離になったりする。多くの場合、虹彩炎あるいは虹彩毛様体炎を合併するが寄生虫の一種であるトキソプラズマ症やヒストプラズマ症は前眼部に炎症がみられず、網脈絡膜炎のみを呈することがある。ウイルス、細菌、真菌、寄生虫感染、梅毒症、その他のアレルギー等で網膜、脈絡膜に炎症がおこる。エイズの患者にみられることもある。
治療:原因を調べることが大事。とくに、病気の進行具合をよく経過観察すること が大切。患者自身で病名を推察することは できない病気です。眼科医を受診。
4987 無乳房症とは(むにゅうぼうしょう) 片側または両側の乳房が先天的にまったく欠如したもので、乳房の奇形としてはきわめてまれなもの。
4988 無乳頭症とは(むにゅうとうしょう) 乳腺実質だけあって、乳頭を欠如する奇形で、乳輪も欠如する場合が多い。
4989 小乳房症とは(しょうにゅうぼうしょう) 成人になっても乳房だけが小児や男性の乳房のように小さく、妊娠しても乳腺が発達しないで乳汁も分泌されない。栄養不良で皮下脂肪組織の発達が悪いことが多く、とくに性的中性になり、卵巣や副腎などの内分泌臓器障害を伴うこともある。美容上の目的で形成外科手術の対象となることもあるが、ホルモン療法はあまり期待できない。
4990 多乳房症とは/多乳頭症とは(たにゅうぼうしょう、たにゅうとうしょう) 正常の一対の乳房のほかに、乳房が過剰に存在するものを多乳房症といい、乳頭だけが過剰に存在するものを多乳頭症という。副乳ともいわれ、比較的多い奇形。大きさはさまざまですが、授乳期以外の時期に区別することは困難。通常、腋窩(わきの下)から正常乳腺部位を経て鼠径部に至る乳腺上に発生する。美容上切除することもある。
4991 扁平乳頭とは(へんぺいにゅうとう) 乳頭が扁平で乳輪面から突出していないものをいう。
4992 陥没乳頭とは(かんぼつにゅうとう) 乳頭が陥没し、乳輸が堤防状に厚く肥大して乳頭を囲んでいるもの なっているもの。
4993 裂状乳頭とは(れつじょうにゅうとう) 乳頭が上下に裂けて唇状になっているものをいう。扁平乳頭、陥没乳頭はともに乳頭発育の異常によって生じたもので、扁平乳頭 と裂状乳頭は、授乳期の乳児の吸引で正常に近くなり、授乳可能となることもある。乳頭牽引やマッサージが有効な場合もあるが、高度のものは形成手術を必要とする。
4994 急性うっ滞性乳腺炎とは(きゅうせいうったいせいにゅうせんえん) 出産後間もなく乳房が硬くなりはれて自発痛および圧痛が現れる。乳汁のうっ滞が原因になる。乳汁を規則的に吸わせ、あるいは軽い乳房マッサージと搾乳により乳汁うっ滞を除けば軽減する。提乳帯による乳房固定と安静、冷あん法もよい。感染予防も重要になる。
4995 バルトリン腺の病気(ばるとりんせん、びょうき) バルトリン腺の病気はバルトリン腺炎、バルトリン腺嚢胞、バルトリン腺膿瘍がある。粘液を分泌、排出する働きをもつバル トリン腺は膣出口の両側の皮下にあり、その腺管開口部は、ほぼ両側小陰唇下端 にある。通常の状態では腺体は触れるだけではわからない。腺管開口部を肉眼で見つけるのも容易ではない。バルトリン腺が活発に働き、分泌機能を発揮するのは性成熟期になってからで、炎症や嚢腫が発症するのも、その年齢に多いが、ときに未婚の少女や高齢婦人にみられることもある。
4996 バルトリン腺炎とは(ばるとりんせんえん) 腺管開口部から細菌が侵入し腺体に感染をおこしたものが、バルトリン腺炎。小陰唇外側、時に大陰唇にまで発赤、腫脹がみられ、疹痛を伴う。
4997 バルトリン腺嚢胞とは(ばるとりんせんのうほう) 炎症が治って腺開口部の閉鎖がおこり腺体から分泌される粘液がたまり 排泄管が拡大して嚢胞を形成する。これをバルトリン腺嚢胞という。 多くは一側性で、クルミ大ないし鶏卵大となり、膣開口部の横、小陰唇下端後方より丸いものが触れる。感染を伴っていなければ無痛性のことも多く、また自然に排泄管が再開口して内容物が流れ出して縮小してしまうこともある。
4998 バルトリン腺膿瘍とは(ばるとりんせんのうよう) バルトリン腺嚢胞内に感染がおきると膿瘍を形成する。発赤、腫脹、疹痛がはっきりしてきて、膿瘍全体に圧痛を認める。さらにひどくなると大陰唇も膨張して腫瘤を形成し、性交障害はもちろん、歩行さえ困難となることがある。
4999 性行為感染症とは(せいこういかんせんんしょう) 性行為によって感染する病気を総称した呼び名。英語の頭文字をとってSTDともいう。性行為の内容が多様化するに伴い、性行為によって感染する病気も増えてきた。従来より届出義務のある性病である淋菌による淋病、 スピロヘータ(トレポネーマ・バリ ダム)による梅毒、軟性下疳菌による軟性下疳、クラミジア・トラコマチス(L1〜L3型)による鼠径リンパ肉芽腫など4つの病気に以下の病気が加えられ性行為感染症と呼ぶ。
性器ヘルペス(単純ヘルペスウイルス)、尖圭コンジローム(ヒト乳頭腫ウイルス)、エイズ(エイズウイル ス)、クラミジア性子宮頸管炎、尿道炎(クラミジア・トラコマチスD- K型)、外陰膣カンジダ症(カンジダ・アルビカンス)、トリコモナス膣炎(トリコモナス)、疥癬(疥癬虫)、毛ジラミ症(毛ジラミ)などがおもな病気の名称。カッコ内は病気の原因となる微生物の名称。これらの病気は異性間の性行為ばかりでなく、同性間の性行為によっても手、口、性器、肛門などを介して感染する。これらの病気は、妊婦から胎児に感染したり分娩時に産道から胎児に感染し、生後の新生児に病気が現れることが多く、新生児の生命に重大な影響を 及ぼす。また、胎児のうちに感染して、生まれたときすでに先天性の異常となってしまうこともある。このように、母から子へ感染することを垂直感染と呼ぶ。垂直感染をさけるために早期に治療する。
5000 処女膜閉塞とは(しょじょまくへいそく) 正常な処女膜はその一部が開放しているため、成熟した女性の月経血はそこから出てくる。処女膜閉塞はその処女膜が開放せずにふさがっている状態。処女膜閉鎖症ともいい大部分は先天性の異常ですが、炎症によってもおこる。思春期を過ぎ、陰毛、乳房の発育などの二次性徴も順調なのに初潮がない場合や、月に一度下腹部痛を訴える場合、また外陰部の膣の付近に暗赤色の膨隆をみる場合などは専門医を訪れる必要がある。治療は診断が確定すれば、処女膜を切開する。
5001 子宮の奇形とは(しきゅう、きけい) 子宮は胎児期に左右のミュラー管の発育合体により一つの子宮として形成 されるが、その発育段階の途中で何らかの障害がおこると、さまざまな奇形が生じる。ミュラー管の合体がまったく行われない場合は、左右二つに分かれている分離重複子宮になり、合体が不十分であれば双角子宮、一側のミュラー管が発育しなければ単角子宮となる。自覚症状はほとんど認められないが、、不妊の原因となったり、妊娠してもまた、流産や難産の原因となる。診断は専門医を受診。軽度の奇形の場合は手術による治療。
5002 無月経・乳汁分泌症候群とは(むげっけい、にゅうじゅうぶんぴつしょうこうぐん) 生休の正常な働きとしてではなく無月経や乳汁分泌がおこる病気。 しかし原因やおこり方にはいろいろあ り、これらを総称して無月経・乳汁分泌症候群と呼ぶ。ホルモン異常によるものは二つあり、一つは脳下垂体にプロラクチンを分泌する腺腫(一種の良性腫瘍)ができておこるもの。ブロラクチンは乳汁分泌を促進するホルモンで、そのほか性腺の性ホルモン分泌を抑制したり、性ホルモンの活性化を抑え、無月経やインポテンツをおこすこともある。 もう一つは妊娠中や経口避妊薬を服用しているときの女性ホルモン過剰状態でもおこる。薬ではメトクロプロバミド(鎮吐剤)やシメチジン(抗潰瘍剤)、その他α-メチルドーバ、レゼルピンなどの降圧薬や向精神薬を服用時にもおこることがある。
治療:下垂体腺腫が原因の場合は手術 (経鼻経蝶骨洞的下垂体腺腫摘除術)をまず試みる。手術をしても血液中のプロラクチン濃度が低下しないときはプ ロラクチン分泌を抑える薬(プロモクリプチン)を内服。 また、原因が薬剤性による場合には薬剤使用をただちに中止。受診して血中ブロラクチン濃度測定、頭部の単純レントゲン撮影、脳のCT検査などを行う。
5003 性腺機能低下症とは(せいせんきのうていかしょう) 性ホルモンの産生不全による疾患。思春期になっても声変わりや陰毛の発育、性器の発育、生理の初来などの二次性徴がみられず、身長は高く四肢長が長い、いわゆる類宦官症体型になる。成人になってから病気にかかると男性では性欲の減退や体型の女性化、女性では無月経がおこる。性ホルモソの産生不全は男性では停留睾丸来や流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)後などに睾丸の機能が低下するためにおこり、女性では卵巣の形成不全や機能不全、卵巣の腫瘍などでおこる。
治療:男性では月に1〜2回、男性ホルモンを注射して補う。精子をつくる能力を保つためには、性腺刺激ホルモンを頻回に注射する必要がある。女性では女性ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン) を経口投与し、月経をおこさせる。
5004 内視鏡的ポリープ摘除術とは/ポリベク トミーとは(ないしきょうてきぽりーぷてきじょじゅつ、ぽりぺくとみー) 開腹手術ではなくファイバースコープを通してポリーブを摘除する方法。ポリープに細いワイヤーをかけて高周波電流の熱凝固作用を利用して切断する。ポリープ全部を摘除することができるため、ポリーブ全体を十分に組織学的に診断(完全生検)することが可能。したがって、ポリープの診断にはなくてはならない手段。また、切除するわけですから、診断のためだけでなく治療にもなる。と くに、腺腫と腺腫内がん(早期がんの一部)であった場合は、ポリペクトミ ーは治療としての意義は高い。
5005 急性睾丸炎とは(きゅうせいこうがんえん) 睾丸(精巣)の炎症で全身性感染症から血行性に拡がったものと、尿路感染からの逆行性細菌感染症とがある。急に睾丸(陰嚢)が赤く大きくはれて痛む。大きさは2倍くらいになることもある。ときに痛みは鼠径部の精索にまで放散する。発熱は40度近 くまでなり、寒気やふるえもみられることもある。副睾丸炎と一緒になり、急性副睾丸睾丸炎となることもある。
治療:急性副睾丸炎の治療に準じるが、原則的には陰嚢部を冷やし、安静を保ち、 抗生物質、消炎鎮痛剤などの投与が必要。泌尿器科専門医を受診。
5006 急性上腸間膜動脈閉塞症とは(きゅうせいじょうちょうかんまくどうみゃくへいそくしょう) 上腸間膜動脈が血栓や塞栓のために閉塞され、腸管に広範かつ急速な虚血性変化をきたす状態。原因は血栓の頻度がやや多い。血栓の原因疾患としては動脈硬化症、塞栓の原因疾患は弁膜症や心房細動などの心疾患を認めることが多く高齢者に多くみられる。早期に適切な治療が行われなければ腸管壊死から多臓器障害、敗血症と進み死に至る。突然激烈な腹痛で発症し悪心、嘔吐、下痢、下血をきたし数時間のうちに末梢循環不全をおこす。発症早期は腹痛に鎮痛剤が無効なほど激烈な割には腹部の所見に乏しく、また血液検査の白血球増加などの炎症所見も軽徴である点が特徴。
治療:本症を疑う場合は原則として緊急手術を行う。開腹時に腸管の壊死が完成していない場合は血栓・塞栓除去術などの血行再建術を行う。腸管壊死の完成している場合は腸管切除術を行う。初回手術の際に腸管の生存・壌死が明らかでない場合は予定の審査開腹手術(セ カンドルック手術)を12時間以内に行い腸管の生存・壊死を診断しこれに 基づいた治療を行う。
5007 脳の脂質代謝異常とは(のう、ししつたいしゃいじょう) 私たちの体では常に新しいものが作られ古いものは分解される。先天性代謝異常症には、これらの成分を分解する酵素が欠損するために古いものが体に蓄積する病気がある。一 般に生まれたときは一見正常ですが、年をとるにつれ症状がでてくる。以下に述べる、脳の脂質代謝異常症とムコ多糖症がこの主なもの。脳の脂質代謝異常症の脳には多量の脂質が含まれる。 したがって脂質を分解する酵素欠損(脂質代謝異常症)では、おもに脳神経の障害がおこる。この種の病気には、
@脳にのみ症状がでるもの
A脳および肝臓、腎臓、脾臓などにも症状がでるものの二つがある。 @には、クラッベ病、テイザックス病、サンドホッフ病、異染性ロイコジストロフィー、Aには、二ーマンピック病、ゴーシェ病、GM1ガングリオシドーシス、ガラクトシアリドーシス、多種スルファターゼ欠損症がある。
5008 クラッベ病とは(くらっぺびょう) クラッベ病は脳の代謝異常症のひとつで脳にのみ症状がでるもの。生後3〜6カ月頃より、首がすわる、追視をする、物をつかむなど、今までできていたことができなく なり、体が突っ張る、けいれんなどの神経症状がでて2歳までに死亡する。
5009 テイザックス病とは/サンドホッフ病とは(てぃざっくびょう、さんどほっふびょう) テイザックス病とサンドホッフ病は脳の代謝異常症のひとつで脳にのみ症状がでるもの。 6〜10カ月頃からクラッベ病と同じように今までできていたことができなく なり神経症状が進行して4歳までに死亡 します。
5010 異染性ロイコジストロフィーとは(いせんせいろいこじすとろふぃー) 異染性ロイコジストロフィーは脳の代謝異常症のひとつで脳にのみ症状がでるもの。1歳すぎより神経症状が現れて10歳頃までに死亡する。ほかに学童期より症状の出る若年型、10代後半より症状のでる成人型もある。
5011 二ーマンピック病とは(にーまんぴっくびょう) 二ーマンピック病は脳の代謝異常の一つで脳および肝臓、腎臓、脾臓などにも症状がでる。 神経症状に加えて肝臓、脾臓がはれる。
5012 ゴーシェ病とは/二-マンピック病とは(ごーしえびょう、にーまんぴっくびょう) ゴーシェ病も二-マンピック病は脳の代謝異常の一つで脳および肝臓、腎臓、脾臓などにも症状がでる。両病気とも同様 な症状を示し著明な貧血を伴う。成人型のゴーシュ病では神経症状はな く肝臓、脾臓のはれ、貧血、骨折しやすいといった症状を示す。
5013 GM1ガングリオシドーシスとは/ガラクトシアリドーシスとは(GM1がんぐりおしどーしす、がらくとしありどーしす) GM1ガングリオシドーシスとガラク トシアリドーシスは脳の代謝異常の一つで脳および肝臓、腎臓、脾臓などにも症状がでる。神経症状と肝臓、脾臓のはれに加えて、関節が固く動きに くくなったり、骨が変形したりとムコ多糖症と同じような症状を 示す。
5014 多種スルファターゼ欠損症とは(たしゅするふぁたーぜけっそんしょう) 多種スルファターゼ欠損症は脳の代謝異常の一つで脳および肝臓、腎臓、脾臓などにも症状がでる。肝臓、骨、関節の症状を伴うが、神経症状が主で他の症状は軽度。
5015 遺伝性有機酸血症とは(いでんせいゆうきさんけっしょう) 遺伝性有機酸血症はアミノ酸(一部 糖質、脂肪)の代謝によって生成される有機酸(カルボン酸)に関与する酵素が遺伝的に欠損しているために、それらが体内に蓄積しアシドーシスをきたす先天性代謝異常症の総称で現在までに20数種の病気が知られる。代表的なものにはメチルマロン酸血症、プロ ピオン酸血症などがある。高乳酸ピルピン酸血症はピルピン酸の代謝異常をきたすいろいろな疾患を含む。病気の確定には有機酸の同定、欠損酵素の証明が必要。 生後2〜3日頃、多呼吸、無呼吸発作などの呼吸障害がはじまり、重篤なアシ ドーシスを示し、ケトン尿が出現。著明な筋緊張低下、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状がみられる。乳児期以降は体重増加不良、意識障害、筋緊張低下、がんこな嘔吐および発達遅延がみられ、アシドーシスは過剰の蛋白摂取や感染により増悪する。急性発作時の治療はアシドーシスの補正と適切な輸液により血中の異常物質を洗いだし、脱水状態、電解質異常を改善する。ときには腹膜透析を行う。長期療法は通常、蛋白制限が主体で前駆アミノ酸を除いた特殊ミルクを併用 したり、ピタミン大量療法が効果のある病気では、ビタミンB12やビオチンを使う。L-カルニチンも有効な薬。高乳酸血症では糖質を制限した低炭水化物高脂肪食を与える。
5016 ピコリン酸クロムとは(ぴこりんさんくろむ) 微量ミネラル栄養素三価クロムが人々の健康によって重要である。1978年アメリカで医師が病院患者に高血糖、高コレステロール、高インシュリン等、糖尿病の症状を持つ人にクロムが欠乏していることを発見、少量のクロムを投与したところ異常な症状が改善され、もとの状態に戻ったことを受け、米国食品医薬局(FDA)等の機関によってクロムが人間の健康にとって必須ミネラルであると認定した。クロムの人体での役割りの一つが血中のぶどう糖の量を調整し、インシュリンがブドウ糖の血中から細胞への移動を調整。クロムがブドウ糖が細胞の中へ入れる様に細胞膜のドアを開く手助けをすると考えられる。クロムはインシュリンが体内で炭水化物、脂肪、タンパク質等のエネルギー代謝のため活動的効果的に働く手助けをする。クロムが豊富に含まれる食品は非常に少なく、又食物が育つ土壌にもクロムが枯渇している。加えて食物から体内へのクロムの吸収は容易ではなく日本を含む多くの国の人々の1日のクロム摂取量が25〜33マイクログラム程と言われるが必要量を満たすのがままならない。 ピコリン酸は母乳の中に存在する自然の新陳代謝物質で胎児の母乳に含まれるミネラルの吸収を助けると考えられてる。すなわち、クロムとピコリン酸を結合させることにより亜鉛、銅、鉄、クロム等のミネラルの体内への吸収を高めると共にインシュリンの活動を活発にするといわれる。
5017 特発性血小板減少症とは(とくはつせいけっしょうばんげんしょうしょう) 急性型は子どもに多く発生するが性差はない。ウイルス感染後にみられる。慢性型は20〜50歳の女性によく発生する。自己免疫疾患の一つ。患者の血清中に血小板に対する抗体(抗血小板抗体)が存在する。その抗血小板抗体によって、血小板が障害を受け破壊されるために、循環血液中の血小板数が減少する。急性型はウイルス感染が多発する冬から春に多く発生する。症状はウイルス感染症を発症した1〜6週間後に皮膚や粘膜に出血斑が現れたり、鼻出血、歯肉出血する。慢性型はひそかに血小板の減少が進行する。血小板が5万/μg以下の軽症例では手足に紫斑や点状皮膚出血が現れ、2万/μg以下の重症例では、上記症状に加え鼻出血や血尿、消化管出血など粘膜出血が現れる。また1万/μg以下では脳出血をおこすことがある。
5018 症候性血小板減少症とは/二次性血小板減少症とは/続発性血小板減少症とは(しょうこうせいけっしょうばんげんしょうしょう、にじせいけっしょうばんげんしょうしょう、ぞくはつせいけっしょうばんげんしょうしょう)) 基礎疾患が原因でおこる血小板減少症で、二次性血小板減少症や続発性血小板減少症ともいう。さまざまな基礎疾患によって血小板をつくりだす細胞である骨髄巨核球数の減少や、骨髄巨核球の成熟障害による血小板の産生障害・血小板破壊亢進の結果、血小板の減少をきたす。症候性血小板減少症はほとんどの場合、皮膚・粘膜に突然出血斑が現れたり軽い打撲で予想外に大きな紫斑が現れるために気づく。重症は鼻出血、粘膜出血斑、血尿、月経過多、消化管出血、脳出血などがみられる。原因となる基礎疾患により症状が異なる。
発作性夜間血色素尿症では早期起床時に鮮紅色もしくは暗赤褐色の尿を伴う。ウイルス感染症では発症1〜3週間後に皮膚・粘膜の出血斑が現れる。血栓性血小板減少性紫斑病や溶血性尿毒症症候群では、溶血性貧血を伴うため、動悸や息切れを感じることがある。さらに前者は発熱、蛋白尿、見当識の消失、知覚異常などの精神神経症状を、後者は重い腎障害も伴う。
治療:原因となる基礎疾患の治療を行うと同時に、重症な出血に対しては血小板輸血、副腎皮質ステロイド剤、イブシロンアミノカプロン酸(EACA) 投与を行う。また、大量の出血がある場合には輸血、鉄剤投与を行う。 早く医師を受診。
5019 薬物起因性血小板減少症とは(やくぶつきいんせいけっしょうばんげんしょうしょう) 薬物が原因でおこる血小板滅少症は無顆粒球症や溶血性貧血、薬剤性肝障害と同様、その薬物による非常に重い副作用で、ときには出血死の症例も報告される。薬物の中毒作用が血小板細胞である骨髄巨核球の血小板産生を低下させる場合と薬剤によって免疫反応が誘導され、血小板の破壊がひどくなる場合がある。 中毒性の場合に比べ、免疫性の場合は薬物投与から発症までの期間が短く、一般的には服用後一週間前後で、皮膚・粘膜出血が現れる。しかし、金製剤など一部の薬物では投与後2〜3週間後に遅れて発症したり、投与をやめてから2〜10カ月たってから発症することもある。薬物再投与の場合は3〜5日と短期間で発症する。
治療:疑わしい薬物はすべて中止。免疫性の場合は薬物中止後3〜5日で出血傾向がなくなり、血小板の数は1〜2週間で正常化する。中毒性の場合は通常2〜3週間で血小板数が回復するが、ときには数カ月から一年以上かかって回復する例もある。また、薬剤中止後に、副腎皮質ステロイド剤を投与すると治療に効果がある。
5020 白血球増多症とは(はっけっきゅうぞうたしょう) 人の白血球数は正常で4000〜9000/mlですが12,000/mlを超えるようなものを白血球増多という。白血球増多は感染性疾患のほか、各種の白血病、骨髄線維症、多血症などのさまざまな疾患で認められる。さらに薬剤、ウイルス感染などで観察されることも多い。白血球増多が最も多く認められるのは肺炎、急性虫垂炎、胆嚢炎、尿路感染症などの急性感染症で好中球が増加する場合です。好中球のうちでも比較的若い桿状好中球が多いことが特徴。好中球が激増するもう一つの原因はがんの場合です。肺がんでは好中球刺激因子を産生する腫瘍も知られており、ときには好中球が数万から10万にまで増加する。リンバ球が増加する疾患では伝染性単核症が最も多く認められる。EBウイルスと呼ばれるDNA型のウイ ルスに感染することで出現。薬剤で白血球増多がみられることもある。副腎皮質ステロイドや躁うつ病治療薬の一つである炭酸リチウムなどが原因となる。
5021 骨髄移植とは(こつずいいしょく) 自分の骨髄を他人の骨髄で置換することにより骨髄の機能不全を正常に戻すことを目指す。再生不良性貧血の場合は骨髄の細胞が何らかの原因で障害を受け、血液の幹細胞が機能していない状態で他人の骨髄を注入し、細胞が定着すれば治る。 一方、急性白血病の場合に行われる骨髄移植の目指すところは強力な化学療法・放射線療法で白血病細胞を根絶する際に、致命的な打撃を受ける骨髄を、他人の骨髄で再構成しようと いうもの。骨髄移植を行った症例では化学療法だけで治療を終えた症例に比べて、再発率が低い。 しかし、骨髄移植は白血病患者全員に施行できるわけではない。患者の年齢は40歳未満が望ましく、しかもHLAと呼ばれる白血球の型が、完全に一致した骨髄提供者が必要。患者の年齢とHLA型という二つの大きな壁がある。現在のところ移植した骨髄が絶対に適応する年齢的な目安は慢性骨髄性白血病慢性期、成人急性リンバ性白血病第一緩解期、急性骨髄性白血病第二緩解期の、20歳以下の症例が第一適応と考えられる。
5022 粘膜皮膚眼症候群とは(ねんまくひふがんしょうこうぐん) 多形滲出性紅斑の重症型であり、原因や病理所見はこれと同じである。小児に好発し、手掌が感染の好発部位となる。 原因は薬物や感染によって抗原が侵入し、これに対する免疫反応によって全身性のアレルギー反応が惹起されると考えられる。 症状は発熱、関節痛などの全身症状とともに多形滲出性紅斑様の皮疹が急激に全身に出現し、口腔や眼などの粘膜にも広範なびらんが出現する。 多形滲出性紅斑、口腔内びらん、両側性の結膜炎 、眼瞼結膜の充血を来たす。検査所見は白血球増多、合併症は腎炎。
治療:重症例では副腎ステロイドの全身投与を行なう。
5023 アナフィラクトイド紫斑とは(あなふぃらくといどしはん) 紫斑を主とする皮膚症状、腹痛などの腹部症状、関節痛などの関節症状、蛋白尿などの腎症状などを主症状とする血管の病気。小児では上気道感染後に発症することが多く、溶血性連鎖状球菌との関連性があるといわれる。あまりはっきりしない腹痛や膝、足関節部の痛みや腫脹などがはじめにみられ、それと同時かやや遅れて下肢に紫斑がみられるようになる。全身症状では悪心、嘔吐、吐血、血便、 蛋白尿、血尿などがみられる。腸重積や腸管穿孔などの重篤な合併症は少ないが注意が必要。腎臓に障害 がおこる頻度が高いため、尿の異常に注意する。
治療:安静を保つことが最も大切で、できれば入院治療を受けるい。治療は血管強化剤、コルチコステロイド剤の投与。
5024 網状皮斑とは/リベドとは(もうじょうひはん、りべど) 皮膚の末梢循環障害による症状の一つで、原因の見つからない特発性のものといろいろな基礎疾患に伴っておこるものとがある。冷たい外気に触れた際に生じ、温めると消える一過性のものは大理石様皮膚という。寒冷刺激とは関係なく出現し、比較的長く存在するものには網状皮斑、分枝状皮斑がある。基礎疾患の有無を調べ、わかったらまずそれを治療する。なお、温熱刺激を受けた皮膚におこる褐色の色素沈着を伴った網の目状皮疹で温熱性紅斑(ひだこ)といわれるものがあり、よく似ているが、別の病気です。
網状皮斑の基礎疾患
1.動脈壁の病変
1)循環器疾患:動脈硬化症、心内膜炎
2)血管炎:結節性動脈周囲炎
3)膠原病:全身性エリテマトーデス
4)慢性感染症:梅毒、結核
5)代謝性疾患:アミロイドーシス、粘液水腫
6)中枢神経系疾患
7)悪性腫瘍
8)薬剤
2.血管の閉塞性変化
1)動脈塞栓
2)血小板血症
3)異タンパク血症:クリオグロブリン血症
5025 尋常性疣贅とは(じんじょうせいゆうぜい) いわゆる「いぼ」で主に手、足の指や足の裏にできる、はじめは平たい肌色のポツンとした皮疹で、大きくなると、表面が少しザラザラとしたドーム状の盛り上がりとなり、体のどこにでも移る。ただし、足の裏にできたものは、あまり盛り上がらないのでよくウオノメや、タコと間違われる。
原因:ヒト乳頭腫ウィルスによって起こる病気。手をつないだり、ブールや温泉などで感染。
治療:局所療法が主体。    
1)液体窒素凍結療法:液体窒素をいぼにあてる方法。多少の痛みはあるが、子供にも使える比較的安全で最も一般的な治療。
2)ブレオマイシン局注:いぼに注射する方法。液体窒素で効果が不十分な時に用いる。
3)電気焼灼術、レーザー療法 電気メスやレーザーによっていぼを焼く方法です。痛みが強い。
4)外用療法:特殊な軟膏をいぼに塗る方法。痛みもなく自宅でできるが、確実な効果が得られないことがある。 
5026 伝染性紅斑とは/リンゴ病とは(でんせんせいこうはん/りんごびょう) 伝染性紅斑は頬がリンゴのように赤くなることから、通称リンゴ病とも呼ばれる。5〜9歳ごろに最も多く発症。原因はパルボウイルス科エリスロウイルス属に属するB19ウイルスの感染。赤血球の膜表面にあるP抗原を受容体として感染し、主に赤芽球前駆細胞に感染して増殖。10〜20日の潜伏期ののち、通常、頬がリンゴのように真っ赤になり、その後手足にレース状の発疹が現れる。成人では頬の紅斑を認めないことが多く、手足の発疹、全身倦怠感や関節炎症状だけの場合があり、風疹と間違われることが多い。通常数日の経過で自然に治る。妊婦が感染すると、胎児に感染し重度の貧血から胎児死亡、流早産、胎児水腫を起こすことがある。
血清中のウイルス遺伝子(DNA)をPCR法で検出したり、急性期と回復期に採血してIgG抗体の陽転あるいは上昇を確認したり、急性期の特異的IgM抗体を検出することで診断。
治療:通常は対症療法のみです。症状が現れた時はすでに感染力がほとんどないため、感染予防が困難な病気。ワクチンもない。免疫不全や慢性貧血のある場合、発症時にγグロブリン製剤が投与されることがある。
5027 口腔乾燥症とは/ドライマウスとは(こうくうかんそうしょう、どらいまうす)   口腔乾燥症は安静時の唾液分泌量が10分間に1CC以下になるものをいう。原因には色々考えられるが主として以下のようなものがある。
@放射線治療の後遺症
A降圧剤や精神安定剤を代表とする薬物の影響B口呼吸
C喫煙
Dストレスや更年期障害
Eシェーグレン症候群や糖尿病などの全身疾患  症状が進むと就寝時に口の中が乾いて目を覚ましたり、食事がしにくくなる。また義歯装着時の疼痛の原因にもなる。治療法(対処法)は人工唾液(サリベート等)の使用などがあるが、特定の原因(放射線治療の後遺症やシェーグレン症候群)の場合には保険対象となるが、その他の多くの場合には保険対象外となるため自費で薬剤を購入する必要がある。
5028 ボーダーライン人格障害とは/境界性人格障害とは(ぼーだらいんじんかくしょうがい、きょうかいせいじんかくしょうがい) 神経症と精神分裂病のそれぞれの特徴をもち、そのいずれとも決めかねる病態をボーダーライ ン(境界例)と呼んでいた。その後の研究で、それらは神経症や精神分裂病といった病気ではなく、バーソナリティ あるいはその発達の障害、つまり性格の病理と考えられるようになった。しかしながら、ボーダライン(境界性) という用語があまりに有名であったので、その言葉が現在でも引き続いて用いられている。症状や行動の特徴としては
@さまざまな精神病症状、
A抑うつ、空虚感、
B些細なことで生じる敵意、うらみ、
C破壊的衝動行為、薬物乱用
D一過性の精神病状態、
E表面的あるいは逆に極端に依存的で不安定な人間関係などがある。このような特徴から考えて、スチューデントアバシーやリストカ ット症候群はこのポーダーライン人格障害の部分障害か、あるいは近縁関係にある。
5029 尿路結石除去術とは(にょうろけっせきじょきょじゅつ) 泌尿器科医は昔から内視鏡的操作には慣れている。例えば、膀胱鏡や前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TURP)などがある。 以前から下部尿路結石に対してレントゲンで見ながら、ループカテーテルやバスケットカテーテルなどを用いて結石を引っ掛けて、取りだす抽石術が行われていたが、成功率はあまり高くなかった。また、腰胱結石を手動式の砕石器を用いて砕くなどの方法もとられていた。最近10数年間に各種の機器の開発や技術の進歩により、開腹することなく内視鏡を用いて比較的簡便に結石を取り出したり壊したりすることができるようになった。その代表が経皮的腎結石破砕術(PNL)と経尿道的結石破砕術です。
5030 ウェルシュ菌中毒とは(うぇるしゅきんちゅうどく) ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は自然界に広く分布し食品、とくに生肉、肉製品、魚類の汚染度が強い。この菌は芽胞という熱に強い特殊な構造なため加熟調理では死滅させることができず、食品が20〜50度の温度下に保存されると食物中で増殖する。ウエルシュ菌は嫌気性(酸素のない環境下に発育する)であるため低酸素条件下で分裂し、増殖することができる。加熱、加圧調理を行った食物中からは酸素が追い出され、とくに食品の体積が大 きいほどその中心部がこの菌の発育に適 し適当な温度下では短時間内に天文学的な菌数にまで増え続ける。 本菌が産生するウエルシュ菌エンテロ トキシンはヒトに下痢を引きおこす。潜伏期間は8〜24時間、平均12時間です。下痢と腹痛が必発症状ですが、嘔吐や発熱はみられず、食事量を制限することと水分必要に応じて飲むことにより2日以内に回復する。 この菌による食中毒の予防上、最も大切なのは、加熱した食品をウエルシュ菌の増殖可能な条件下に長時間放置しない ことです。すなわち、調理後なるべく早 く摂食すること、長時間保存する場合は 10度以下あるいは55度以上に食品の温度を保つこと、嫌気性であることを弱 るために食品を小分けして保存すること、などが必要です。
5031 旅行者下痢症とは(りょこうしゃげりしょう) 海外旅行熱とジェット機という短時間内に海外遠隔地に旅行できる手段の確立によって、日本人の海外旅行者は著しく増加した。これら旅行者の渡航先として大きな比率を占め る開発途上国への旅行者で下痢をはじめとする胃腸炎症状を訴える者が多い。このような疾患を「旅行者下痢症」 と呼びその原因の多くは細菌である。最も多く検出されるのは毒素原性大腸菌であり、そのほかサルモネラ、腸炎ビブリオなど食中毒の原因となるさまざまな細菌が検出される。すなわち、旅行者下痢症の多くは旅行中に感染した細菌性食中毒です。しかし、なかには、赤痢やコレラなどの感染力の強い伝染病がみつかることもある。海外旅行に関連した下痢症で、とくに激しい下痢や血便、発熱などを伴う場合は、専門医に要相談。
5032 カドミウム中毒とは(かどみうむちゅうどく) カドミウムによる急性の中毒では、昭和52年1月に神奈川県の平塚市で、バーベキューによる食中毒が発生した。 そのときの原因物質がこれでした。カドミウムは、カルシウム代謝に影響を与えるもので、骨格系障害をもたらす。この中毒は、イタイイタイ病でよく知ら れています。
5033 セシリンとは(せしりん) まゆ糸の精錬工程でごく少量、採取される希少価値の極めて高いタンパク質。セシリンは絹になるフィプロインを取り囲むタンパク質。人間と共通して18種類のアミ ノ酸で構成され、その中でも重要な保湿成分であるセシリンを多く含む。人間の肌には天然保湿成分である「NMF」が存在しますが、セ シリンはこの成分と非常に似ているため、保湿剤として優れた効果が期待できる。 保湿剤として美肌ドリンクやクリームなどに配合される。
5034 NMFとは(NMF) NMF(Natural Moisturizing Factor)は自然(天然)保湿因子のこと。人がもともと持っている保湿成分で、皮ふの一番外側にある角質層、角質細胞の中にあり、水になじみやすく水分を保持する力を持つ物質です。主成分はアミノ酸類、乳酸、尿素、無機塩、糖類などで、いずれも水分を抱え込む性質を持っている。
5035 ビタミンA欠乏症とは(びたみんAけつぼうしょう) ビタミンAにはレチノール(ビタミンA1)と3-デヒドロレチノール一(ビタミンA2))など数種類あるが、ヒトの血中に存在するのは主にレチノールです。このビタミンA(レチノール)は、食物中のβ-カロチンなどのブロピタミンA(前駆物質の総称)から、肝、腎、小腸などで生成される。 通常、ピタミンAの血漿中濃度は0.3〜0.7/ml(平均0.5/ml) ですが、欠乏症の場合は0.3/ml以下になると症状が出現。ピタミンA欠乏症の原因には3つ考えられる。
第一の原因は栄養不足。ピタミンAは生体内で合成されないため食物から摂取しなけれぱなりません。第二の原因は脂肪の吸収低下。 ピタミンAは脂溶性で肝油や卵黄、バターなどの乳製品に多く含まれ慢性膵炎、下痢などがあると、ビタミンA不足になる。第三の原因は甲状腺機能低下症によるβ-カロチンからピタミンAへの転換障害がある。にんじん、かぼちゃ、トマトなどの有色野菜に含まれるβカロチンはプロピタミンAといわれ、 体内に摂取されるとピタミンAに変わる。
症状:
三大症状(夜盲症、眼球乾躁症、皮膚 ・粘膜乾燥症)がある。暗くなると物が見えにくくなり、さらに進行すると眼球粘膜の乾燥、粘膜から角膜にかけてピトー斑が生じる。 粘膜や皮膚では角化(毛孔性角化症)、乾燥状態を生じ、色素沈着する。また、感染抵抗力も低下し粘膜も脆弱化し、気管支炎や肺炎、膀胱炎を生じることもある。性腺の退行変性をおこすこともある。
治療:
タミンA製剤を1日に3,000〜5,000単位服用すればよくなる。
5036 ビタミンB1欠乏症とは(びたみんB1けつぼうしょう) ビタミンB1欠乏症は脚気とも呼ばれ、 かつては精製した白米を主食とする日本や東南アジアで多発した。1910年、鈴木梅太郎により米ぬかの中から脚気に対する有効成分が抽出されピタミンB1 (はじめはオリザニン)と命名された。ビタミンB1はチアミンとも言う。種々の酵素の補酵素 として働き、これが欠乏すると円滑な代謝が行われない。
病気の原因:
ビタミンB1は体外から補給しならない栄養素のため不足すると欠乏症になる。
症状:
ビタミンB1欠乏症の三大症状は多発性末梢神経障害、循環器障害、浮腫です。潜行性に全身脱力感、食欲不振 などの不定愁訴が現れ、進行すると、上 ・下肢とくに足のしびれ、口のしびれ、不快感覚、知覚鈍麻、神経痛、腱反射消失などの末梢神経症状、さらに筋肉痛・筋力低下、筋萎縮を生じ、まひすることもある。
治療:
一日20〜30mgのビタミンB1経口服用で有効。
5037 ビタミンB2欠乏症とは(ビタミンB2けつぼうしょう) 耐熟性のビタミンB2はリポフラビンとして知られ、代謝過程で種々の酸化還元酵素の補酵素として働く。すなわち、糖、脂質、アミノ酸の酸化的分解やミトコンドリアの電子伝達系に働く。 そのビタミンB2が不足すると欠乏症となるが、ビタミンB2欠乏症は単独でおこることはまれで、発展途上国などにみられる栄養失調症やペラグラ (ニコチン酸欠乏症)などに合併 して発生しやすく、慢性アルコール中毒、慢性消耗性疾患でもみられることがある。
病気の原因:
ピタミンB2を多く含む乳製品、卵、肉などの食品の不足や、腸内細菌によるピタミンB2合成低下、下痢などにおける吸収障害により欠乏症がおこる。また糖尿病や慢性消耗性疾患、抗生物質の大量使用時などでも欠乏する。
症状:
ロ内炎、口唇、口囲の潮紅、びらん、疹痛、灼熱感がおこり、口角の亀裂を生じる。また舌炎、咽頭痛、まぶたの周囲のあれ、眼の充血、流涙、羞明(まぶしいことをいう)などもおこり、角膜辺縁の血管新生も出現。そのほかにも、鼻唇溝、耳、眼角部に脂漏性皮膚炎を生じ、小児では肛門周囲や陰部の皮膚炎がみられる。
治療:
ピタミンB2を一日に10〜15mg 摂取。
5038 ニコチン酸欠乏症とは/ナイアシン欠乏症とは/ペラグラとは(にこちんさんけつぼうしょう、ないあしんけつぼうしょう、ぺらぐら) ニコチン酸(ナイアシン)は、1911年、鈴木梅太郎により発見され、犬の黒舌病やヒトのペラグラに有効なことから、ビタミンであることが確立した。
症状:
初期には全身倦怠感、食欲不振、消化不良、下痢、不安感、抑うつ状態など不定な病状を示し、進行すると、日光に露出される四肢(とくに手足の背部)、 顔面・頸部を中心に斑状に発赤、色素沈着、水疱、潰瘍を生じ、乾燥して角化・落屑する。鼠径部、会陰部にも同様の変化をおこす。消化管粘膜(舌、口内、食 道、胃、直腸)にも発赤を伴う炎症を生じ疼痛、下痢などのため食物摂取が困難となる。 その他の症状とLては頭痛、めまい、末梢神経症状(しびれ、知覚低下、腱反射消失)などが現れる。 また精神症状としても見当識の障害、せん妄、幻覚、抑うつ状態、痴呆がみられることがある。
治療:
ニコチン酸アアミドを50〜100mgを一日に2〜3回経口服用する。
5039 ビタミンC欠乏症とは(びたみんCけつぼうしょう) ビタミンCは結合組織の形成(コラー ゲンの生合成)やステロイドホルモンの合成、免疫機能の維持などに必要な栄養素で、それ自身は強い還元作用をもつ。 ピタミンCが欠乏すると毛細血管の浸透性が増すために、もろくな って出血傾向を示し、また白血球の作用が減退して、感染に対する抵抗力が弱くなる。さらに、骨格筋変性、副腎萎縮も生じる。
病気の原因:
ほとんどみられなくなったが生野菜の摂取不足のためにビタミンCが欠乏するとおこる。また、 長期の感染症や発熱などの後におこる。
治療:
アスコルビン酸を一日100〜200mgを投与する。
5040 ビタミンK欠乏症とは(びたみんKけつぼうしょう) ビタミンKはほうれん草、豚、牛の肝臓に多く含まれる脂溶性ピタミンで腸内細菌により合成される。血液を凝固させる因子をつくるのに必要な物質のため、不足すると出血しやすくなる。 未熟児ではビタミンKが不足すると、血液凝固因子の生成が不十分になり、新生児メレナのような出血性疾患をおこす。閉塞性黄疸などではピタミンKの吸収に必要な胆汁がなく吸収障害をおこす。
抗生物質の大量使用により正常なな腸内細菌が少なくなり、ビタミンK の産生が低下し、結果的に欠乏する。
治療:通常の食事をとっていれば、まず不足することはないが、欠乏により症状が現れた場合の治療法としては、ビタ ミンKを投与する。ただし、強い副作用があり専門医による治療が必要。
5041 ビタミンA過剰症とは(びたみんAかじょうしょう) ピタミンAは脂溶性ピタミンで体内に蓄積されるため過剰症がおこることがある。大量のビタミンAを摂取すると12時間前後に急性中毒症状が現れ、脳腫瘍が存在するかのような嘔吐、頭痛などの症状(偽性脳腫瘍症状)が現れる。慢性過剰症は、ビタミンAを数ヵ月以上摂取することにより徐々に発現し、偽性脳腫瘍症状のほかに食欲不振、体重減少、皮膚乾燥、落屑、口角の亀裂、手足疼痛、肝腫大、骨粗鬆症など種々の症状を現す。治療はピタミンA剤の投与を中止する。
5042 ビタミンD過剰症とは(びたみんDかじょうしょう) ビタミンDが過剰に摂取されると血液中のカルシウム濃度が高くなる。血中カルシウム濃度が異常に高くなると悪心、嘔吐、食欲不振、便秘などの胃腸症状のほか、多飲多尿、脱水、体重減少などの症状がおこり、ときには蛋白尿や腎結石を認めることもある。 このような症状はピタミンDの過剰摂取による場合のほかビタミンDに対する感受性が過敏な場合にもおこる。 また人工栄養を与えているときにみられる特発性高カルシウム血症の場合やサルコイドーシス、悪性リンパ腫等の患者でビタミンDと類似の活性型ビタミンDなどの過剰産生により同様の症状が認められることがある。
治療:
ビタミンD剤の投与中止。高値を示している血中カル シウムの濃度を低下させることが必要。専門医を速やかに受診。
5043 ビタミンD欠乏症とは(びたみんDけつぼうしょう) ビタミンDの活性化に紫外線が必要で日光に当たらないとピタミンD欠乏となる。とくに深夜作業従事者は欠乏症になることがある。 また、腸管から吸収されたり、皮下で合成されたピタミンDは肝臓、腎臓で変化を受け、活性型ピタミンDとなって作用するため、腸管からの吸収不良、胆管や膵管の閉塞による脂溶性ピタミンの吸収不全などや肝臓、腎臓障害がおきた場合もピタミンD欠乏症となる。
症状:
ビタミンDが不足すると、骨軟化症がおきる。症状は骨の痛み、変形、圧痛、骨折、筋力低下などで、ひどい時には身長が縮むことがある。発育途上で骨端線が閉鎖する前にビタミンDが欠乏するとくる病になる。
治療:
胃切除後の骨軟化症ではピタミンDの補充が必要。また日光浴や食生活の改善が必要ですが、ビタミンDは投与しすぎると副作用がおこるため、欠乏症の治療には専門医にかかることが必要。くる病の場合は早期治療が大切なため、 病気に気づいたら、早めに専門医を受診 。
5044 栄養失調とは/るいそうとは(えいようしっちょう、るいそう) 栄養失調は簡単にいえば十分食物をとらないためにおこるが、その原因を大きく分けると、食事摂取量の減少、食物の吸収障害、エネルギー消費の増大や利用の障害の3つに分けられる。つまり、食べてもやせるのか食べなくてやせるのかの問題。栄養失調をきたす病気には消化器の病気、肝臓の病気、腎疾患、慢性の感染症、 悪性腫瘍、内分泌疾患、アルコールなどの慢性中毒症、糖尿病、精神神経疾患など多くの原因がある。 栄養失調を診断するにあたっては、体重は重要な目安となるが、やせているという状態よりも、保持していた体重が急速にあるいは徐々にやせてきたという経過が重要になる。病気に気づいたらこれらの基礎疾患(かく れている病気)をの早期発見が大事なため、医療機関に受診。
5045 ナットウキナーゼとは/納豆菌(なっとうきなーぜ、なっとうきん) ナットウキナーゼとは納豆のネバネバに含まれている納豆菌が作り出す酵素のひとつ。他の大豆食品にはない納豆特有のもの。納豆菌は生きたまま腸まで届いて腸内の善玉菌を活性化させるため整腸作用や有害物質を排出する働きがある。そのため、便秘改善や肝臓にも良いとされる。ナットウキナーゼには、血栓を溶かす作用がある。そのため、血液をサラサラにし、心筋梗塞や脳梗塞、痴呆症などの予防、血圧を下げる働きもあるとされている。また、強い抗菌作用と免疫力を向上させる働きがあることから、感染症予防やガン抑制作用もあると期待されている。ただし、ナットウキナーゼは熱に弱いため、加熱調理した場合はナットウキナーゼの効果を得ることはできない。
5046 オクラの効用とは(おくら) オクラのネバネバの元にはペクチン、ムチンなどがある。ペクチンは血糖値の上昇を抑え、整腸作用があり、糖尿病の予防や便秘の改善に効果がある。ムチンはたんぱく質の吸収を助け、コレステロールの吸収を抑える。他にもネバネバは胃壁を守ってくれるので、アルコールを飲む前など摂るとよい。他にもβカロチン、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、鉄などを含んでいる。これらの栄養素を無駄なく摂るには、生で食べるか、ゆでる時間を短めにするのがコツです。
5047 腎周囲炎とは(じんしゅういえん) 腎周囲炎は腎盂腎炎等、細菌感染の炎症が、腎臓周囲や腎実質に波及するもの。腎盂腎炎等の炎症が原因である。 症状は発熱、腰痛 、腎臓付近の痛み。治療は安静にして、抗生物質を使う。膿を出す。
5048 副甲状腺がんとは/副甲状腺癌とは(ふくこうじょうせんがん) 副甲状腺がんは副甲状腺に発生する腺がんである。副甲状腺は甲状腺の裏側にあり、カルシウムの代謝を司っている。がんの発生で、副甲状腺機能亢進症が起き、血中カルシウム濃度が高くなる。症状はのどの渇き、尿量の増加 、進行、筋力低下、吐き気、便秘など。治療は副甲状腺を摘出する。
5049 副腎がんとは/ 副腎癌とは(ふくじんがん) 副腎に発生する悪性の腫瘍。副腎の腫瘍のほとんどは良性で悪性は少ない。ただし、良性でもホルモン過剰の症状は出る。症状は
クッシング症候群:満月顔、糖尿病、高血圧。
原発性アルドステロン症:高血圧、四肢の麻痺
褐色細胞腫:高血圧、顔面紅潮、発汗、動悸 。
治療は副腎摘出手術を行う。
5050 白血病とは(はっけつびょう) 白血病は血液を造る骨髄、脾臓等で、未熟な白血球系細胞が無制限に増殖し、正常な白血球の増殖を阻害するもの。造血器のがんと言われる。原因は不明だが、ウイルスが誘引とも言われる。全身の臓器で白血病細胞が増殖し、発症による細菌感染、出血等で死亡率が高くなる。成人は骨髄性のものが多い。
症状:
慢性骨髄性白血病:倦怠感、疲労感、体重減少、寝汗、上腹部不快感、脾臓の腫れ
急性白血病:貧血、動悸、息切れ、発熱、寝汗、眼底等の出血、脾臓等の腫れ
治療 :
化学療法、薬物療法を行う。造血幹細胞移植が積極的に実施されている。
5051 くる病とは/骨軟化症とは(くるびょう、こつなんかしょう) くる病、骨軟化症はカルシウム沈着吸収の阻害で、骨が軟らかくなって変形するもの。子供の発症をくる病、成人の発症を骨軟化症と呼ぶ。原因はカルシウム沈着吸収促進のビタミンD不足、カルシウム・リン不足等が原因。 症状は発育不全 、足の変形、はと胸、脊椎後彎、骨、関節の痛み 、歩行障害など。治療は ビタミンDやカルシウム、リンを投与し、食事療法を実施。変形には手術をすることもある。
5052 結核性関節炎とは(けっかくせいかんせつえん) 結核性関節炎は結核菌が関節に感染して起こるもの。原因は主に肺結核の結核菌が血液に運ばれて、関節に感染する。骨結核の場合もある。股関節と膝関節に多い。老人に多発する。症状は関節の腫れ、痛み、関節に炎症性の肉芽、関節運動不全、筋肉の萎縮など。治療は抗生物質のストレプトマイシン、抗結核剤の投与や、切開手術を行う。
5053 化膿性骨髄炎とは(かのうせいこつずいえん) 化膿性骨髄炎は骨髄、骨が化膿性の菌に感染して炎症を起こすもの。原因はおできや上気道炎等で、ブドウ球菌等の感染菌に感染して起こる。外傷で傷が骨まで達して起こることもある。症状は患部に熱感、激痛、赤い腫れ、悪寒、高熱。悪化すると骨髄内に膿の穴、化膿性関節炎で四肢変形。治療は冷やして抗生物質を投与する。膿の穴は手術が必要である。
5054 ウエルシュ菌性食中毒とは(うえるしゅきんせいしょくちゅうどく) ウエルシュ菌が腸管に毒素を生成して発症。原因は調理した肉、魚を室温保存することで、ウエルシュ菌が増殖し、これを食べた人の腸管内で毒素をつくることで起こる。
症状:潜伏期間は1日以内である。 腹部が張る、腹痛、下痢など。治療は輸液、化学療法を行う。
5055 セレウス菌性食中毒とは(せれうすきんせいしょくちゅうどく) 食品内のセレウス菌(Bacillus cereus )に感染して起こる。原因はセルウス菌を含む食品を食べることで感染する。セレウス菌は加熱で死滅しない。症状 は吐き気、腹痛 、下痢 など。治療は通常は治療なしで治癒するが、抗生物質を使うこともある。
5056 黄色ブドウ球菌性中毒症とは(おうしょくぶどうきゅうきんせいしょくちゅうどく) 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって発症する。原因は皮膚や喉にある黄色ブドウ球菌が食品に付着して毒素を生成し、この食品を食べることで発症する。症状は吐き気、激しい嘔吐、激しい腹痛 、下痢など。治療は胃洗浄や下剤を使う。治療の必要がない場合が多い。
5057 じゃがいも中毒とは(じゃがいもちゅうどく) じゃがいも中毒は、じゃがいも内の毒素で起きるものである。原因はじゃがいもの発芽部分にあるソラニンという毒素が原因で。症状は腹痛、めまい 、軽い意識障害など。治療はじゃがいもの芽を吐き出すか、胃洗浄をする。輸液をする場合もある。
5058 有鉤条虫症とは(ゆうこうじょうちゅうしょう) 有鉤条虫症は条虫の幼虫が体内で成虫となって発症する。原因は生の豚肉を食べて感染する。条虫の幼虫は、体内で最長3mの大きさの成虫となり、腸に寄生する。症状は腹痛 、下痢 、不眠、体重減少など。治療はカマラかプラジカンテルを使う。
5059 広節裂頭条虫症とは(こうせつれっとうじょうちゅうしょう) 広節裂頭条虫症は条虫の幼虫が体内に入り、成虫となって起こるもの。原因は生のマスやサケを食べることで感染する。成虫になると、最長10mに及び、腸に寄生する。症状は嘔吐、下痢 、腹痛、貧血など。治療はカマラかプラジカンテルを服用する。
5060 ぎょう虫症とは(ぎょうちゅうしょう) ぎょう虫症は、ぎょう虫の卵が体内に入り、孵化して、症状を起こすもの。原因は、ぎょう虫の卵が口から入り、体内で孵化して、肛門付近の大腸に寄生して起こる。症状は肛門のかゆみ、腹痛、下痢、注意力散漫など。治療は 駆虫のためにピランテルパモエイトを服用する。家族全体に広がる可能性があるので、家族全員服用する必要がある。
5061 無鉤条虫症とは(むこうじょうちゅうしょう) 無鉤条虫症は条虫の幼虫が体内に入って成虫となり、病気を起こすもの。原因は生の牛肉を食べることで感染する。条虫の幼虫は腸に寄生し、4〜10mもの長さの成虫になる。症状は腹痛、下痢、体重減少など。治療はカマラやプラジカンテルを服用。
5062 広東住血線虫症とは(かんとんじゅうけつせんちゅうしょう) 広東住血線虫症は広東住血線虫の幼虫が体内に入って病気を起こすもの。原因は広東住血線虫が寄生するアフリカマイマイを生で食べることで、発病する。症状は熱、咳 、
脊髄、脳への侵入し髄膜炎、脳性麻痺となる。
治療は抗マラリア剤や駆虫剤を使うが、決定的な治療法はない。
5063 イヌネコ回虫症とは/犬猫回虫症とは(いぬねこかいちゅうしょう) イヌネコ回虫症は、イヌネコを通して、回虫の卵がヒトの体内で孵化し、臓器に病変を起こす。
原因は犬や猫に寄生する回虫の卵が、糞等を媒介にして、ヒトの口から入り、体内で孵化して全身に病気を起こす。症状は発熱、肝臓の腫れ 、視力障害 など。治療はアルベンダソールを投与する。
5064 炭疽とは/脾脱疽とは(たんそ、ひだっそ) 炭疽(脾脱疽)は、本来、家畜の病気だが、ヒトにも感染して起こるもの。
原因:わが国では、炭疽菌が傷口から入る皮膚感染のみである。発症は少ないが、死の危険があり、4類感染症である。
症状:潜伏期間は1週間以内である。 高熱、・傷の潰瘍化、赤い発疹、水泡、かさぶた。放置すると敗血症で死ぬことがある。
治療:ニューキノロン剤、抗生物質のペニシリン、テトラサイクリン等を早急に投与。
5065 野兎病とは(のうさぎびょう) 野兎病は野兎病菌に感染することで起こる。
原因: 野兎を半生で食べたり、野兎の料理中、目や傷口等から野兎病菌が入ることで感染する。野兎のダニに刺されて感染することもある。
症状:寒気、高熱 、嘔吐、頭痛、関節痛、発疹、潰瘍 、リンパ節の腫れ、化膿、目の周囲の炎症、肝臓障害の合併など。
治療:抗生物質のテトラサイクリン、ストレプトマイシン、マクロライド等を使う。
5066 ツツガムシ病とは/つつがむし病とは(つつがむしびょう) ツツガムシ病は、ツツガムシ病リケッチアという病原体微生物に感染して起こるものである。 【原因 Cause】 野ネズミに寄生するツツガムシの幼虫に刺され、ツツガムシ病リケッチアに感染することで起こる。4類感染症である。従来から東北地方の風土病だったが、近年野ネズミの増殖で、発症が全国的に増加している。 【症状 Symptoms】 ・赤い腫れ、かさぶた ・リンパ節の腫れ ・寒気、高熱 ・頭痛 ・筋肉痛 ・目の充血 ・赤い発疹 【治療 Treatment】 クロラムフェニコール、テトラサイクリンを使う。治療が遅れると、肺炎等を併発し、死の危険がある。
5067 猫ひっかき病とは/ネコひっかき病とは(ねこひっかきびょう) 猫ひっかき病は、猫の保有する菌で感染する病気である。
原因:猫に咬まれたり、ひっかかれたりすることで、菌に感染する。欧米に多発し日本では少ない。症状:発疹 、発熱、頭痛 、リンパ節の腫れ、化膿など。
治療:化膿防止に抗生物質を使う。
5068 血清病とは(けっせいびょう) 血清病は動物血清の注射で、腎臓、関節等の組織が障害を起こすものである。
原因 :破傷風、ジフテリア予防に馬の抗血清を使用したため、過去に多発していた。現在は馬の抗血清を使用しないので、破傷風による血清病はない。
症状:発熱 、発疹 、倦怠感 、腎炎、関節炎、リンパ節の腫れ、アナフィラキシーショックなど。
治療:対症療法として、非ステロイド系消炎剤、抗ヒスタミン剤等を使い、重症には副腎皮質ステロイド剤を使う。
5069 アスタキサンチンとは(あすたきさんちん) アスタキサンチンはヘマトコッカスという藻類の一種に含まれる。これが食物連鎖により魚介類の体内に蓄えられる。カロチノイド系色素の一種で、鮭、イクラ、マス、オキアミ、エビ、カニ類などの赤色色素です。エビ、カニなどのアスタキサンチンはタンパク質と結合して青緑色で存在しています。加熱や酸処理を行うことでタンパク質から分離して赤色になる。 アスタキサンチンは体内で必要量だけビタミンAに変る。抗酸化力はビタミンEの約1000倍、β−カロチンの100倍で、自然界最強の抗酸化作用をもつ物質といわれる。血液により運ばれ全身で抗酸化力を発揮する。特にアスタキサンチンは選ばれた物質しか通過できない血液脳関門を通過できるので、脳の活性酸素を撃退し、不眠症や痴呆症、記憶障害、脳の萎縮、脳出血、動脈硬化、脳梗塞といった活性酸素が原因となって起こる疾病の予防・改善の効果が期待できる。アスタキサンチンの強力な抗酸化作用により、主に以下のような健康効果が期待される。不眠症予防、痴呆症改善、動脈硬化を抑える、老化防止、シミ、シワの予防、肌の白さを保つ(アスタキサンチンが表皮近くに蓄積し「一重項酸素」に水素を渡して無害化消去しメラニン色素の沈着を抑える)
5070 甲状腺悪性腫瘍とは(こうじょうせんあくせいしゅよう) 甲状腺悪性腫瘍は甲状腺に腺がんや悪性リンパ腫ができるもの。
原因:原因は不明である。
症状:前頭部に腫瘍の突起。自覚症状がないことが多い。
治療:甲状腺摘出手術をする。悪性リンパ腫には、化学療法、放射線療法を実施する。甲状腺のがんは治療効果が出るものである。
5071 低カルシウム血症とは(ていかりうむけっしょう) 低カルシウム血症は血中カルシウムが、1dl当たり8.5r以下となって、正常より極端に低くなるものである。
原因:原因は悪性腫瘍や低マグネシウム血症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、ビタミンD欠乏症等の疾患である。
症状:神経、筋肉の興奮 ・手足の先、口の周囲のしびれ ・手指が動かない(テタニー発作)、精神神経症状、消化器症状、低血圧、不整脈
治療:原因疾患の治療をする。カルシウム剤、ビタミンD剤の投与等をする。
5072 高カルシウム血症とは(こうかるしうむけっしょう) 高カルシウム血症は血中カルシウム濃度が1dl当たり10.5r以上のもの。
原因: ビタミンA・Dの過剰や、悪性腫瘍、原発性甲状腺機能亢進症等が原因となる。
症状:脱水症状(腎臓の尿濃縮不全による)、食欲不振、嘔吐、便秘、不整脈、精神神経症状、意識障害、昏睡状態など。
治療:原因疾患の治療をする。副腎皮質ステロイド剤、利尿剤、食塩水点滴、骨吸収抑制剤の注射等をする。
5073 ヘモクロマトーシスとは(へもくろまとーしす) ヘモクロマトーシスは小腸の鉄吸収が過剰になり、臓器に溜まって機能障害を起こすもの。
原因 :貧血、肝疾患、大量飲酒、輸血等が原因となる続発性と、原因が不明の特発性のものがある。
症状:皮膚の色素沈着 、糖尿病 、肝硬変 、心不全、不整脈
治療:原因疾患の治療をする。血液の抜き取りをして、鉄代謝異常を治療する。
5074 亜鉛欠乏症とは(あえんけつぼうしょう) 亜鉛欠乏症は身体機能を円滑にする微量金属の亜鉛が欠乏して起こるもの。
原因:微量金属の亜鉛が欠乏して起こる。肝硬変、腎不全、悪性腫瘍、ネフローゼ、食事ができない等の原因でも起こる。
症状 :脱毛症、性腺機能不全、食欲不振、鉄欠乏性貧血、味覚、嗅覚不全、糖代謝異常、成長遅延、皮膚炎 ・角化症
治療:亜鉛を服用する。
5075 副腎性器症候群とは(ふくじんせいきしょうこうぐん) 副腎性器症候群は副腎皮質ホルモン、アンドロゲンの分泌が増加し、性器の発達に障害が起こる。
原因:先天性の酸素欠損による副腎の過形成が原因である。副腎腫瘍が原因となる場合もある。症状 :
思春期:性早熟、ペニス巨大化、女児の男性化思春期以降:乳房萎縮、月経がなくなる、体型の丸みが失われる
治療 :ハイドロコーチゾンを服用する。腫瘍は摘出する。
5076 甲状腺良性腫瘍とは(こうじょうせんりょうせいしゅよう) 甲状腺良性腫瘍は甲状腺にできる良性の腫瘍で、甲状腺機能の異常はない。
原因:悪性同様、原因は不明である。良性腫瘍には嚢胞、腺腫等があり、女性に多い。
症状:首に瘤状の腫れ、痛み
治療:とくに治療を要しない。瘤が大きくなると摘出手術をする
5077 低カリウム血症とは(ていかりうむけっしょう) 低カリウム血症は血中のカリウム濃度が低下するものである。
原因:原因は腎臓のカリウム排泄量の増加によるものが多い。他に、カリウム摂取量の減少や、利尿剤使用、腎臓病、悪性高血圧、慢性腎炎等でも起きる。
症状:筋力低下、手足の麻痺、頻尿。 悪化すると生命の危険がある。
治療 :原因疾患の治療をし、塩化カリウム等を補給する。
5078 糖尿病性神経障害とは(とうにょうびょうしんけいしょうがい) 糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症のひとつで、インシュリン作用不足で、自律神経、末梢神経に障害が起きるもの。
原因:原因は不明である。
症状:両足の先のしびれ、痛み 、発汗異常、立ちくらみ、がんこな下痢、便秘 、尿意を感じない、インポテンツ、痛覚麻痺
治療:血糖を正常化する。ソルビトールの産生を抑えるアルドース還元酵素阻害薬、ビタミン、抗うつ剤を使用する。
5079 ガストリノーマとは(がすとりのーま) ガストリノーマは膵臓から分泌されるホルモン、ガストリンを分泌する細胞にできる腫瘍である。原因:ガストリンは胃液分泌促進機能があるため、ガストリノーマができることで、分泌過多となり、胃液が過剰分泌される。
症状 :胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発生
治療:腫瘍の摘出手術をする。胃全体の摘出が多い。胃液分泌を抑制する薬剤も開発されている。
5080 痛風とは(つうふう) 痛風は血中の尿酸が過多となる高尿酸血症のうち、尿酸が関節の骨膜に沈着して起きるもの。
原因 :原因は高カロリー食の過剰摂取、アルコールの飲みすぎ、遺伝体質、肥満、ストレス等。
症状:足親指の関節に激痛。痛みの発作は2〜3日続き、尿酸値が改善されないと、繰り返される。腎機能障害を招いたり、脳血管障害、心臓病の誘引となったりする。
治療:薬物療法として、副腎皮質ホルモンを含まない薬剤の大量投与、コルヒチン投与がある。尿酸値コントロールのために毎日の服用が必須である。
5081 高カリウム血症とは(こうかりうむけっしょう) 高カリウム血症は血中のカリウム濃度が上昇するものである。
原因:腎不全や副腎の疾患によって、アルドステロンの分泌が低下し、尿へのカリウム排出が減少して起こる。血液が酸性傾向になると、細胞組織のカリウムが血中に流入しやすくなる。
症状:筋力低下、不整脈(心臓の拍動異常) 。重症になると、生命の危険がある。
治療 :原因疾患の治療、カリウム排出増加の薬剤投与を緊急に行う。
5082 甲状腺機能低下症とは(こうじょうせんきのうていかしょう) 甲状腺機能低下症は甲状腺機能が低下し、甲状腺ホルモン不足の状態が起きるもの。
原因 :原因として多いのは、甲状腺自体の異常で機能低下をするもので、中でも甲状腺に自己免疫疾患の起きる慢性甲状腺炎(橋本病)が一番多い。血中の自己抗体で甲状腺組織に障害が起きるもの。
症状 :甲状腺の腫れ、声のかすれ 、首前部不快感 、倦怠感、汗が出にくい、・無気力、便秘、言語障害、むくみ、皮膚の乾燥、心不全、体温低下、意識障害、昏睡
治療:機能異常がなければ治療は不要である。機能低下にはホルモン剤を服用する。
5083 副腎皮質機能低下症とは(ふくじんひしつきのうていかしょう) 副腎皮質機能低下症は抗炎症、免疫抑制作用、血糖上昇作用等を持つ、副腎皮質から分泌されるコルチゾールの分泌が低下するもの。
原因:原因は副腎の疾患と、下垂体の副腎皮質ホルモン低下の疾患。
症状:食欲不振、吐き気、嘔吐、疲労、体重減少、低血糖、全身に褐色の色素沈着 。
治療 :原因疾患の治療と糖質コルチコイドを補給する。
5084 腎性尿崩症とは(じんせいにょうほうしょう) 腎性尿崩症は腎臓が抗利尿ホルモンに反応せず尿を濃縮できないため、大量の薄い尿がつくられます。尿崩症には2つのタイプがある。腎性尿崩症では、腎臓は抗利尿ホルモンに反応せず、多量の薄い尿を排出し続けます。もう1つの中枢性尿崩症はより一般的なタイプで、下垂体が抗利尿ホルモンを分泌しなくなる。
原因:腎臓は尿の濃度を調節します。腎臓は血液中の抗利尿ホルモンの濃度に合わせてこの調節を行う。抗利尿ホルモンは下垂体によって分泌されるホルモンで、水を体内に保持して尿を濃縮するよう腎臓にシグナルを出します。腎性尿崩症では、腎臓がこのシグナルに反応しません。腎性尿崩症は遺伝性の場合があります。
症状と診断:多飲症と、多量の薄い尿が出る多尿症。遺伝性の腎性尿崩症の場合は、生後すぐに症状が出はじめます。乳児はのどの渇きを伝えることができないため、激しい脱水状態になることがあります。
治療:腎性尿崩症は、激しい脱水状態が生じる前に診断されれば、経過は良好です。 脱水を防ぐには、のどの渇きを感じたら十分な量の水を飲む必要がある。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とサイアザイド系利尿薬がこの病気の治療に使われる。非ステロイド性抗炎症薬とサイアザイド系利尿薬はそれぞれ異なるメカニズムで作用するが、両方とも腎臓が再吸収するナトリウムと水分の量を増やし、尿排出量が少なくなる。腎性尿崩症では抗利尿ホルモンにわずかながら反応するため、デスモプレシンという抗利尿ホルモンによく似た薬で尿量を減らす。
5085 微量金属欠乏症とは(びりょうきんぞくけつぼうしょう) 微量金属欠乏症は身体の必須微量金属が欠乏する。
原因:身体に欠かせない必須微量金属である、鉄、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素等が欠乏して起こる。
症状:脳障害、貧血 、甲状腺機能低下、狭心症。金属の種類により症状は異なる。
治療:欠乏した金属と症状により異なる。
5086 糖尿病性昏睡とは(とうにょうびょうせいこんすい) 糖尿病性昏睡はインシュリン分泌量や作用の不足で、昏睡に陥るものる。
原因:原因はインシュリン注射をしない、ストレス、感染症の合併等である。これで血糖がエネルギーとならず、脱水状態になり、血液が酸性となって、昏睡に至り、生命の危険がある。
症状:糖尿病の症状、吐き気、頭痛 、腹痛、血圧が下がる、昏睡。
治療:緊急にインシュリン投与をする。大量輸液を要する。
5087 やせとは(やせ) やせは脂肪組織が、標準体重より10%減少するものである。
原因:消化器系疾患による食欲不振や、肝硬変等による栄養吸収障害、神経性の疾患等、病気を原因とするものと、遺伝性の体質によるものがある。
症状 :全身がやせる、めまい、倦怠感、低血圧
治療 :原因となる疾患の治療をする。標準体重の20%減となったら要治療である。
5088 続発性貧血とは(ぞくはつせいひんけつ) 続発性貧血はいろいろな疾患を原因として起こる貧血である。
原因:悪性腫瘍や腎臓病、肝臓病、リウマチ性疾患等が原因となる。
症状:倦怠感、動悸、息切れ。
治療: 原因となる疾患の治療をする。対症療法を行う。
5089 自己免疫性溶血性貧血とは(じこめんえきせいようけつせいひんけつ) 自己免疫性溶血性貧血は溶血性貧血のひとつで、抗体が赤血球を破壊して起こる。
原因 : 薬剤の副作用や膠原病、悪性リンパ腫等の疾患が原因となって、抗体ができる。溶血性貧血の中で最も発症が多い。
症状 :貧血症状、黄疸 、脾腫 。
治療 :免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤を対症療法で使う。根治は困難である。
5090 発作性夜間血色素尿症とは(ほっさせいやかんけっしきそにょうしょう) 発作性夜間血色素尿症は溶血性貧血のひとつで、後天性の原因で起こる。
原因:感染症、手術、輸血等を要因として、赤血球の膜の異常で溶血を起こす。
症状:夜間の突然の溶血、赤い尿、倦怠感 、頭痛
治療 :対症療法となり、根治の治療法はない。
5091 骨髄線維症とは(こつずいせんいしょう) 骨髄線維症は骨髄の線維が増加して、造血機能が低下するもの。
原因:重い血液疾患やがんの転移等が原因になる場合と原因不明の場合とがある。中年男性に多い。
症状:貧血症状、左上腹部の痛み。
治療 :輸血、ホルモン剤投与、X線照射、脾臓摘出。生命の危険が多く、完治困難である。
5092 顆粒球減少症とは(かりゅうきゅうげんしょうしょう) 顆粒球減少症は白血球のひとつである顆粒球が急減し、感染症にかかりやすくなる。
原因:主な原因は解熱消炎鎮痛剤、抗生物質等薬物の過剰反応である。
症状:倦怠感、高熱、リンパ節の腫れ、嘔吐、腹痛。 肺炎、敗血症等の二次感染を起こすこともある。
治療:原因となる薬剤の使用をやめ、二次感染には抗生物質を使う。顆粒球コロニー刺激因子(GICSF)が効く。
5093 脾腫とは(ひしゅ) 脾腫は脾臓が腫れるものである。
原因:原因は、白血病等血液の病気、細菌やウイルス感染、肝硬変や心不全、骨髄線維症等、さまざまである。
症状:上腹部に腫れ、痛み 、呼吸困難、吐き気、嘔吐、便秘
治療:脾臓摘出手術や、原因疾患の治療。
5094 アナフィラクトイド紫斑病とは(あなふぃらくといどしはんびょう) アナフィラクトイド紫斑病は血管支持組織の病変等で紫斑が出る血管性紫斑病のひとつで、下肢、でん部に紫斑が出るる。
原因:アレルギー性紫斑病とも呼ばれ、扁桃炎や食べ物等によるアレルギーによる血管炎が原因と言われる。
症状:下肢、でん部の紫斑、発熱、頭痛、倦怠感 、関節、腹部の痛み。
治療:1カ月程度で治癒するが、副腎皮質ホルモン投与、腎不全の合併には人工透析を行うこともある。
5095 遺伝性出血性毛細血管拡張症とは(いでんせいしゅっけつせいもうさいけっかんかくちょうしょう) 遺伝性出血性毛細血管拡張症は血管支持組織の病変等で紫斑の出る血管性紫斑病のひとつで、皮膚、臓器等の毛細血管が出血するものである。
原因 :先天的に毛細血管が薄く、血管が血圧に押されて拡張するために起こる。
症状:血管拡張部分が紫色になる、鼻、唇からの出血、貧血症状。
治療:輸血や鉄剤投与をするが、根治の治療法はない。
5096 赤血球増多症とは/多血症とは(せっけっきゅうぞうたしょう、たけつしょう) 赤血球増多症(多血症)は赤血球が過剰増加し、貧血と反対の状態になるものである。
原因 :腫瘍発生等によるホルモン分泌増加や、骨髄の造血細胞の増殖によって赤血球が過剰になるが、原因は不明である。
症状:顔の皮膚の赤み、かゆみ、目の充血、頭痛、めまい、耳鳴り、脾臓の腫れ、心筋梗塞、脳出血、脳血栓等の合併症を起こすことがある。
治療:血液の抜き取りや薬物療法、原因となる病気の治療をする。
5097 遺伝性球状赤血球症とは(いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう) 遺伝性球状赤血球症は赤血球内に血漿成分が浸透し、溶血が起こるもの。
原因:赤血球膜の遺伝性の異常が原因である。かぜや疲労が要因となる。先天性溶血性貧血のうち発症率が最多である。
症状 :脾腫(左上腹部の痛み、高熱、黄疸)、胆石症、頭蓋等の変形(合併症による)。
治療:脾臓の摘出手術で赤血球破壊を防ぐ。
5098 クインケ浮腫とは/血管神経性浮腫とは(くいんけふしゅ、けっかんしんけいせいふしゅ) クインケ浮腫は毛細血管から過剰に液が漏れ、組織間に溜まって、むくみが起きるものである。血管神経性浮腫とも言う。
原因:血管神経の過剰な興奮により、毛細血管の透過性が高くなるのが原因である。アレルギー体質、自律神経不安定な人に多く発症し、体質遺伝が多いと言われるが、後天性のものもある。クインケは医師の名である。
症状:
まぶた、唇等に直径数センチのむくみ、
胃粘膜のむくみ:嘔吐、腹痛、下痢
喉粘膜のむくみ:呼吸困難
治療:アレルギー対策として、減感作療法、自律神経調整のための変調療法等や、抗ヒスタミン剤投与があるが、根治療法は確立していない。
5099 慢性リンパ節炎とは(まんせいりんぱせつえん) 慢性リンパ節炎はリンパ節の炎症が長期化したもの。
原因 :急性リンパ節炎が治癒しない場合、他の疾患がリンパ節に刺激を与える場合等が原因となる。肺結核が原因の結核性リンパ節もある。
症状:・リンパ節の腫れ、痛み 。
治療:基礎疾患の治療を最初に行う。基礎疾患の治癒後にも、リンパの腫れが引かない場合がある。
5100 急性リンパ節炎とは(きゅうせいりんぱせつえん) 急性リンパ節炎は細菌等の感染を防ぐ働きのリンパ節が炎症を起こし腫れる病気。
原因:リンパ節が腫れる主な原因は細菌やウイルスの感染で、他に悪性リンパ腫と呼ばれる腫瘍の場合もある。
症状:リンパ節の腫れ、痛み 足のケガで太ももの付け根のリンパ節が腫れる等、感染部分付近のリンパ節が腫れる。
治療:感染には抗生物質の投与、腫瘍等は切開手術をし、治療後リンパ節を冷やす。感染が治癒すれば治る。