Namazu: [説明]

        Q&A本文(No4501-4650)

No
Q(お客の質問) A(答え)
4501 慢性甲状腺炎とは/橋本病とは(まんせいこうじょうせんえん、はしもとびょう) 慢性甲状腺炎は1912年に日本の橋本先生が報告され、橋本病とも呼ぶ。原因 は自己免疫の異常によりリンパ球が自己の甲状腺組織を破壊して、慢性炎症が生じる。症状は甲状腺が大きくなる。また、甲状腺ホルモンが不足してくると、顔や手足のむくみ、体重増加など、甲状腺機能低下症の特有の症状がみられる。治療は甲状腺機能低下があれば甲状腺ホルモン剤(チラーヂンSR)服用。甲状腺機能低下は治る場合もあり、一生内服が必要とは限らない。
4502 甲状腺機能低下症とは(こうじょうせんきのうていかしょう) 甲状腺機能低下症は甲状腺機能が低下し、甲状腺ホルモン不足の状態が起きる。原因として多いのは甲状腺自体の異常で機能低下をするもので、中でも甲状腺に自己免疫疾患の起きる慢性甲状腺炎(橋本病)が一番多い。血中の自己抗体で甲状腺組織に障害が起きる。症状 は甲状腺の腫れ 、声のかすれ、首前部不快感 、倦怠感、汗が出にくい、無気力 、便秘、言語障害、むくみ 、皮膚の乾燥、心不全、体温低下、・意識障害、昏睡など。機能異常がなければ治療は不要。機能低下にはホルモン剤を服用。
4503 甲状腺機能亢進症とは/バセドウ病とは(こうじょうせんきのうこうしんしょう、ばせどうびょう) 甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、典型的なものとしてバセドウ病があげられます。これは自己免疫疾患の1つで、日本では甲状腺機能亢進症の8割から9割はバセドウ病と診断される。症状はイライラ・動機・不眠・疲れやすい・発汗過多・体重減少など全身症状が現れる。しかし、どれもこの症状が甲状腺機能亢進症、バセドウ病だと決め手になる症状ではなく、甲状腺ホルモンを測って診断する。バセドウ病は甲状腺の細胞の表面にあるTSHのレセプター(受容体)に対して自己抗体ができてしまい、この抗体がレセプターを通じて勝手に甲状腺を刺激して、活性化させてしまうことが原因。バセドウ病の症状に眼球突出がありますが、目の周りの組織の脂肪や筋肉が増えたり肥大して、眼球を押し出してしまう。単に眼球が出るだけではなく、押し出されることで循環障害を起こしたり、瞼が閉まらず感染を起こしやすくなったり、視神経が前に出されるため、視神経の障害も引き起こす。
4504 副甲状腺機能亢進症とは(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう) 副甲状腺機能亢進症は副甲状腺ホルモンの過剰分泌で、血中カルシウムの濃度が高くなるものである。原因は副甲状腺にがんや腺腫ができることで、副甲状腺の活動が活発になるために起こる。重症になると、生命にかかわる。症状は頻尿 、喉の渇き、筋力低下、食欲不振、吐き気 、便秘 、集中力低下、意識障害、尿路結石、骨粗しょう症など。治療は対症療法を行う。
4505 副甲状腺機能低下症とは(ふくこうじょうせんていかしょう) 副甲状腺機能低下症は副甲状腺の萎縮で副甲状腺ホルモン分泌が減少するもの。原因は不明。甲状腺手術によって起こる。自己免疫疾患のひとつである。腎臓等の器官の異常の場合と、副甲状腺ホルモンの分泌が少ない場合とがある。 症状は手足のこわばり、けいれん(テタニー発作) 、全身のこわばり、けいれん、情緒不安定、不安感 など。治療 はカルシウム剤、ビタミンD剤を投与する。薬剤は一生服用する。
4506 クッシング症候群とは(くっしんぐしょうこうぐん) クッシング症候群は副腎皮質ホルモン、コルチゾールが慢性的に過剰になるもの。過剰になる原因は副腎の腺種、脳下垂体の悪性腫瘍や腺種等である。コルチゾールは免疫抑制作用、抗炎症、たんぱく質の合成、分解、血糖上昇作用等をつかさどる。症状は脂肪沈着によって、顔が丸くなる(ムーンフェイス)、胸、腹が太る 、手足が細くなる 、皮下出血しやすい、性欲、筋力低下など。合併症として高血圧、糖尿病、骨粗しょう症等が起きる。治療は緊急を要する。感染しやすく重症になりやすい。腫瘍摘出手術、放射線治療、ホルモン抑制剤投与を行う。
4507 原発性アルドステロン症とは(げんぱつせいあるどすてろんしょう)   この病気の症状は、血圧が高くなる事以外は、はっきりした自覚症状がありません。人により夜間に尿が多くなったり、脱力感、筋力低下、筋肉の麻痺が起こります。筋力の低下は過剰アルドステロンによるカリウム不足のために起きる症状。 アルドステロンは血圧を上げる作用がある。たとえば、副腎からアルドステロンが過剰に出来ると、腎臓に作用して尿として体外に排泄されるはずの食塩が体内、特に血管内に貯留し血圧を上昇させる。副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)の病気で、その腫瘍(腺腫が大半を占め極めて稀に癌がある)とか全体が大きくなる過形成によってアルドステロンの過剰分泌が起こる。副腎は体に2個あるので片側副腎腫瘍であればそれを摘出すると治癒する。両側過形成であれば原則的には薬物治療して血圧を正常化させる。
4508 アジソン病とは(あじそんびょう) アジソン病は副腎皮質が破壊されて、副腎皮質ホルモンの生成分泌が行われなくなるもの。 自己免疫や、副腎結核が原因となる。症状は皮膚の色素沈着、食欲不振、嘔吐、脱力感、疲労感 、体重減少、低血圧など。治療は副腎皮質ホルモン剤を、一生にわたり使用する。塩分も多く摂取する。
4509 副腎クリーゼとは/急性副腎皮質機能不全とは/急性副腎不全とは(ふくじんくりーぜ、きゅうせいふくじんひしつきのうふぜん、きゅうせいふくじんふぜん) 副腎クリーゼ(急性副腎皮質機能不全)は副腎皮質ホルモンの生成、分泌が異常になる。副腎の外傷等による副腎機能低下症や、アジソン病、副腎皮質ホルモンの服用停止等が原因となる。副腎皮質ホルモンは身体の代謝、機能調整をつかさどるもので、緊急に治療しないと、生命の危険がある。症状 は倦怠感、食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢 、発熱、血圧低下、呼吸困難 、チアノーゼ 、意識障害など。治療は緊急に副腎皮質ホルモンを供給し、ブドウ糖、電解質の輸液を要する。
4510 褐色細胞腫とは(かっしょくさいぼうしゅ) 褐色細胞腫は副腎髄質に腫瘍ができ、カテコールアミンの分泌が過剰になる。原因 はカテコールアミンは副腎髄質から分泌されるホルモンで、血糖の増減や血圧の上下に関与する。このホルモンの分泌が過剰となって起きる。 症状は血圧が上がる、頭痛 、動悸、発汗 、顔面蒼白 、体重減少、便秘、立ちくらみなど。治療は降圧剤で血圧を下げ、腫瘍摘出手術をする。
4511 末端肥大症とは/先端巨大症とは/下垂体性巨人症とは(まったんひだいしょう、せんたいきょだいしょう、かすいたいせいきょじんしょう) 下垂体にできた腫瘍によって成長ホルモン(GH)が過剰に分泌される病気。骨発育が停止(骨端線が閉鎖)してからGH分泌が過剰に起こる場合には末端肥大症(または先端巨大症)、骨発育停止前(骨端線の閉鎖前)にGH分泌が過剰に起こる場合には下垂体性巨人症と呼ぶ。臨床症状としては、末端肥大症(または先端巨大症)では、手足の先端、額、あご、唇、舌等が肥大することになり、指輪や靴のサイズが合わなくなってきて、顔つきも数年でかなり変わる。下垂体性巨人症では、身長の異常成長が見られる。
4512 成長ホルモン分泌不全性低身長症とは/下垂体性小人症とは(せいちょうほるもんぶんぴつふぜんせいていしんちょうしょう、かすいたいせいこびとしょう) 成長ホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性小人症)は脳下垂体から分泌される成長ホルモンの分泌が障害されているために、身長の増加に異常をきたす病気であり、放置すると、身長が130cm程度で止まってしまうこともある。 成長ホルモン分泌不全性低身長症の小児は知能は正常で、また、体の均整がとれているため、背が低く幼いこと以外は他の小児と異ならない。
4513 下垂体機能低下症とは(かすいたいきのうていかしょう) 下垂体機能低下症は下垂体前葉の機能障害により下垂体前葉ホルモンの欠落症状を呈する疾患。単独ホルモン欠落の場合を単独のホルモン欠損症と呼び、前葉ホルモンの全てが欠落した場合を汎下垂体機能低下症と呼ぶ。また下垂体自体の障害による場合と、視床下部の障害による場合とがある。下垂体機能低下症を起こす原因には腫瘍、梗塞、外傷など数多くあるが、頻度的には下垂体腫瘍が最も多い。臨床症状は欠落するホルモンの種類によって異なる。一般に性腺刺激ホルモンと成長ホルモンの欠落する頻度が高い。
1)無月経、性欲低下:性腺刺激ホルモン欠落による症状で高率にみられる。
2)陰毛、腋毛脱落:男性例では性腺刺激ホルモン欠落。女性では陰毛、腋毛は副腎アンドロジェンの支配下にあるので、女性例では副腎皮質ホルモン欠落。
3)乳汁分泌低下:泌乳ホルモン欠落症状。下垂体障害で、プロラクチン産生下垂体腫瘍によらない場合にみられる。
4)乳汁分泌促進:視床下部障害、あるいプロラクチン産生下垂体腫瘍により泌乳ホルモンが過剰に分泌された場合。
5)低血糖、低血圧、易疲労性、色素脱失:副腎皮質刺激ホルモン欠落による症状。低血糖は成長ホルモンによる症状でもある。
6)るいそう、肥満:下垂体性機能低下症ではるいそうがみられることがあるが、視床下部性機能低下症では肥満がみられることがある。
4514 中枢性尿崩症とは(ちゅうすうせいにょうほうしょう) 中枢性尿崩症は脳下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンであるバゾプレシン(AVP) の合成・分泌低下、あるいはその作用障害により体内への水の再吸収が減少するため、臨 床的には多尿、口渇、多飲を主症状として発症する。 AVPの合成分泌障害によるものを中枢性尿崩症(CDI),腎におけ る作用障害によるものを腎性尿崩症と呼び区別する。 CDIの原因は、胚細胞腫などの腫瘍によりAVP産生細胞のある視床下部が破壊され発症する続発性CDI、諸検査上原因を指摘できない特発性、遺伝性に発 症する家族性CDIに分類される。
4515 インスリノーマとは(いんすりのーま) インスリノーマは膵臓のランゲルハンス島細胞に腫瘍ができたもの。原因はインシュリン分泌をするランゲルハンス島に腫瘍ができるため、インシュリンの過剰分泌で低血糖が起きる。症状は空腹時の脱力感、腫瘍の摘出手術をする。転移には抗腫瘍剤を使う。ホルモン抑制剤を使うこともある。
4516 糖尿病網膜症とは(とうにょうびょうもうまくしょう) 糖尿病網膜症は糖尿病により、網膜に病変が起きるものである。原因は糖尿病が長く続くことで起こる。症状はものがゆがんだり、ぼやけて見える、急速な視力低下など。治療は糖尿病の治療をする。レーザー光線で、網膜の患部を凝固して、進行を止める。
4517 糖尿病性白内障とは(とうにょうびょうせいはくないしょう) 糖尿病による白内障は体内に糖分が増えるため、水晶体に糖分が蓄積され、白く濁ってくるもの。糖尿病による白内障は水晶体の後の部分が濁りやすいという特徴がある。白内障のほとんどが老人性白内障ですが、糖尿病のある場合は早めに白内障が起こり、濁るスピードも速い。糖尿病白内障の治療はほとんどの場合、老人性白内障と同じように水晶体の濁った部分を取り出して、眼内レンズを入れることでよくなります。しかし、糖尿病網膜症が重症になっている場合だと、後にレーザー治療や、硝子体の手術をする可能性がある。眼内レンズを入れていると、この手術が困難になる為、白内障の手術ができない場合がある。
4518 糖尿病性腎症とは(とうにょうびょうせいじんしょう) 糖尿病性腎症は糖尿病によって引き起こされる腎臓障害で、進行によって腎不全になることがある。症状 はタンパク尿 、高血圧、むくみ 、貧血など。治療初期は食物療法、薬物療法で糖尿病治療をする。腎不全には透析療法が必要になる。
4519 糖尿病性神経障害とは(とうにょうびょうせいしんけいしょうがい) 糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症のひとつで、インシュリン作用不足で、自律神経、末梢神経に障害が起きるもの。原因は不明である。 症状は両足の先のしびれ、痛み、発汗異常、立ちくらみ、がんこな下痢、便秘、尿意を感じない、インポテンツ 、痛覚麻痺など。治療は血糖を正常化する。向神経ビタミン、抗うつ剤を使用する。
4520 糖尿病性壊疽とは(とうにょうびょうせいえそ) 糖尿病になると高血糖のために、足や手などの末梢の血管が詰ったり、神経が侵されるために、手足の感覚が麻痺したり、感染に対する抵抗力が弱まる。手足に小さな傷などを受けると、細菌に感染しやすくなったり、傷を受けたことに気づかず放置したままなどの原因で、組織が腐る(壊疽)。これが進むと足の切断などの事態に陥る。
4521 妊娠糖尿病とは(にんしんとうにょうびょう) 妊娠糖尿病はそれまで糖尿病の症状がなかった人が、妊娠をきっかけに発症するもの。胎盤から出るホルモンは血糖を上げる働きを持っているので、糖尿病の素質を持っている人が妊娠した場合血糖の上がりすぎを抑えきれず糖尿病になってしまう。妊娠糖尿病になると、妊娠中毒症や羊水過多症、感染症などを引き起こしやすくなる。また、胎児への影響も心配され。母体の血糖値が高いと、胎児も高血糖の状態となり、巨大児や奇形児が生まれる可能性がある。巨大児になると難産になったり、帝王切開になる。妊娠糖尿病になった妊婦は、出産後は正常に戻るとはいえ、約60%以上の確率で約20年後に真の糖尿病を発症するとも言われている。分娩後も定期的な糖尿病の検査が大切。
4522 低血糖症とは(ていけっとうしょう) 低血糖症は血糖値が、正常に比べ、極端に低下する。低血糖はは経口血糖降下薬やインシュリンの過剰使用や、インシュリン自己免疫症候群、副腎皮質ホルモンの欠損等を原因とする。悪化すると、脳に障害が残ることがあり、生命の危険がある。症状は異常な空腹感、脱力感 、動悸、発汗、全身けいれん、意識消失、昏睡など。治療は経口血糖降下剤やインシュリンの過剰使用を止める。糖質のものを食べれば、軽症には効果がある。意識障害にはブドウ糖の静脈注射をする
4523 小児糖尿病とは(しょうにとうにょうびょう) 小児糖尿病とはインスリン依存型糖尿病と呼ばれ、膵臓でインスリンホルモンを作れなくなる病気。 先天性やウイルス感染が原因で、子どもに多く発症することにより、小児糖尿病という。健康な子どもと同じ生活をするために、毎日数回の血糖測定とインスリン注射が欠かせない。残念ながら今のところ、完治への治療法は確立されていない。その代わりに血糖コントロールをして日常生活を送る。
4524 肥満症とは(ひまんしょう) 肥満はもはや現代病のひとつですが、肥満している方に多い生活習慣病には高血圧、糖尿病、高脂血症、痛風、脳血管障害、動脈硬化症、虚血性心疾患などがあり、更に脂肪肝、胆石、月経異常、膝関節症などの原因にもなります。 肥満症というのはこれらの合併症がある場合や、将来合併症が起こる可能性が高い場合で病気と診断した肥満のことを言い治療の対象となる。

肥満の基準
肥満とは体重のうちでも、脂肪量が多いことを言います。標準体重としてはボディ マス インデックス(Body Mass Index、BMI、体格指数)が用いられ体重÷身長÷身長で計算されます。日本肥満学会ではBMIの数値が22を平均(20〜24が正常)として用いていますので、標準体重は身長(m)×身長(m)×22で計算されます。例えば、身長1.72mの男性の場合は、1.72×1.72×22≒65となり標準体重は65kgです。
4525 高尿酸血症とは/痛風とは(こうにょうさんけっしょう、つうふう) 高尿酸血症とは血液中の尿酸値が高くなった状態で、自覚症状はまったくない。しかし、尿酸は水に溶けにくい物質なので、この状態を放置すると関節などに尿酸の結晶がたまり、痛風になる。最初の痛風発作はとくに足の親指に起こりやすく、ある日突然、足の親指の関節が赤く腫れ、激痛が生じて動けなくなります。その痛みは、病名どおり「風が吹いても痛い」ほどです。
4526 鉄欠乏性貧血とは(てつけつぼうせいひんけつ) 鉄欠乏性貧血は貧血の一種で、日本の成人女性の約一割がこの病気であると言われる。病気や生理、出産、栄養不足、胃腸での鉄分吸収に問題がある場合に起こりやすい。鉄欠乏性貧血はその名の通り、鉄分が不足してヘモグロビンの形成が困難になることが原因で起こる。ヘモグロビンの役目は身体に酸素を供給することであり、その形成がうまくいかずにヘモグロビンの量が低下すると、組織や臓器の機能低下につながる。症状は全身倦怠感、動悸、息切れ、食欲不振など。症状が強くなると、つめが反り返る、物を飲み込めなくなるなどが起こる。治療は貧血の原因が病気にあれば、その病気を治療する。貧血そのものの治療は、長期間の鉄剤服用(または注射)である。
4527 鉄芽球性貧血とは(てつがきゅうせいひんけつ) 鉄芽球性貧血はヘモグロビン生成障害や骨髄の造血障害による貧血のことである。 ヘモグロビン生成障害は腫瘍、鉛中毒、薬剤の副作用が原因となる。造血障害は遺伝性である。症状は倦怠感 、息切れ、食欲不振 、骨髄内に環状鉄芽球(血球)ができる。治療は原因となる症状の治療や、薬物療法が行われる。
4528 巨赤芽球性貧血とは(きょせきがきゅうせいひんけつ) 巨赤芽球性貧血は赤血球生成に関与する赤芽球が、ビタミン不足で細胞分裂を阻害され、巨赤芽球という、未成熟な赤芽球が増加して赤血球生成ができずに貧血になるもの。ビタミン不足の原因は胃の障害等の疾患、アルコール接種過剰、野菜不足である。症状 は倦怠感、息切れ、動悸、舌が赤くなりひりつく、吐き気、下痢、胃液分泌低下、神経障害、歩行困難など。治療はビタミンの補給をする。鉄剤も使う。
4529 再生不良性貧血とは(さいせいふりょうせいひんけつ) 再生不良性貧血は骨髄機能の低下で、赤血球、白血球、血小板生成が阻害されるもの。原因不明が多いが、結核、肝炎、ウイルス性疾患等が原因となることもある。急性と慢性があり、難病指定を受けている。症状は倦怠感 、息切れ 、動悸、歯ぐき、鼻、皮膚からの出血、出血が止まりにくい など。治療はタンパク同化ステロイド剤を投与する。重症には骨髄移植、輸血を要する。免疫抑制剤、抗胸腺細胞グロブリンが有効である。
4530 溶血性貧血とは(ようけつせいひんけつ) 溶血性貧血は赤血球の補給機能が落ちて貧血となるもの。 原因 は赤血球の寿命が短くなり、それを補給する機能が低下するために起こる。原因は先天性と後天性があり、かぜや激しい運動がきっかけとなる。症状は倦怠感 、息切れ、動悸 、黄疸など。原因により、種々の治療が実施される。
4531 真性多血症とは(しんせいたけつしょう) 真性多血症は原因不明の赤血球増加症で、赤血球造血が正常の制御を受けず、自律的に増殖。慢性骨髄増殖症候群の1つとして、赤血球系・白血球系・血小板系3系統の増殖が見られるが、中でも赤血球系の増殖が顕著である。中年に多く、男性が女性の1.5〜2倍の発症率。 症状は赤血球の増加に伴い血液の粘稠度が増すために、中枢神経系の循環障害による症状(頭痛・めまい・顔のほてり・のぼせ感・耳鳴りなど)が見られる。全身のかゆみ(特に入浴後)や高血圧もよくある。また、皮膚(特に頬・鼻・くちびる)が赤く、粘膜は充血します。血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞などで時に致命傷となります。更に、皮下出血、消化管出血、脳出血などが起こる事がある。検査所見は末梢血では、赤血球、白血球、血小板のすべてが増加。 ストレス多血症と続発性多血症を除外する事が必要。治療は瀉血(血液を抜いて捨てること)と化学療法(骨髄抑制剤)を組み合わせて赤血球数をコントロールする。
4532 シェーンライン・ヘノッホ紫斑病とは(シェーンライン・ヘノッホしはんびょう) 小さな血管に炎症が起こる病気で、日本ではアレルギー性紫斑病とも呼ばれる。この炎症は血管炎と呼ばれ、よく皮膚や腸管、それに腎臓の小血管に起こる。この炎症血管から血液が皮膚へ漏れ出すために、紫斑と呼ばれる深紅や点状の出血斑がみられる。また腸や腎の血管で出血すると、それぞれ血便や血尿がみられる。今から100年以上前に、ヘノッホ医師とシェーンライン医師がそれぞれ独自にこの病気を発見し病名がついた。最初の症状は全ての患者にみられる独特な皮疹です。普通は小さな丘疹か赤い斑点か赤い隆起で始まり、次第に青や紫に変わる。盛り上がった部分は触れるので「触れることができる紫斑」と呼ばれます。紫斑は普通は下肢や臀部にみられますが、他の場所(上肢や胴体部分)にもみられます。
4533 播種性血管内凝固症候群とは(はんしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん、DIC) 播種性血管内凝固症候群(DIC)は播種性に全身の微小血管内に血栓形成が起こり、虚血などによる血管内皮細胞障害により臓器障害を呈するとともに、止血系因子の消費性低下および二次線溶亢進による著明な出血傾向を生ずる症候群で、悪性腫瘍、感染症や産婦人科疾患などに高頻度に合併する。 治療にはATV、ヘパリンやプロテアーゼインヒビターが用いられ、予後は基礎疾患の状態に左右されるが、DICの改善率は50-60%である。 このため、新しい治療薬が開発されつつある。
4534 急性白血病とは(きゅうせいはっけつびょう) 急性白血病は血液中の白血球の数が無制限に増殖し、芽球と呼ばれる非常に幼弱な白血病細胞で殆どが占められてしまう状態をいいます。白血病細胞は骨髄で作られるため、骨髄の検査を行うと白血病細胞が非常に多くなり、正常の細胞は殆ど認められない。骨髄が白血病細胞に占拠されると、正常な血液をつくる働きが低下して、貧血となり血小板数が減少する。また、正常な白血球も減少するので感染症にかかりやすくなる。感染症が起こると、発熱し、血小板が減少すれば出血も起こってきます。急性白血病は放置すれば感染症や出血により死に至る致命的な疾患で、血液のがんともいわれる。急性白血病は急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の2つのタイプに分けられる。
4535 急性骨髄性白血病とは(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう) 急性骨髄性(骨髄芽球性、骨髄単球性)白血病は、正常な状態では好中球、好塩基球、好酸球、単球に成長する細胞ががん化して、急速に骨髄の正常細胞に取って代わる、命にかかわる病気。 急性骨髄性白血病(AML)はどの年齢層でも発症しますが、特に成人に多くみられるタイプの白血病です。 急性骨髄性白血病では、未熟な白血球が急速に骨髄に蓄積して、正常な血球をつくる細胞を破壊します。白血病細胞は血流に放出されて他の臓器に運ばれ、そこで成長と増殖を続けます。これが皮膚や歯ぐきの表層付近や、眼の中に小さなかたまり(緑色腫)を形成することがある。このタイプの白血病の1種である急性前骨髄性白血病では、成熟好中球へと成長する初期段階の細胞である前骨髄球が染色体変異を起こし、ビタミンAの結合と活性を阻害します。ビタミンAの活性がないと正常な細胞が成熟できず、異常な前骨髄球が蓄積する。
4536 急性リンパ性白血病とは(きゅうせいりんぱせいはっけつびょう) 急性リンパ性白血病(ALL)は骨髄中のひとつの細胞のDNAが遺伝子レベルで傷ついて引き起こるものです。遺伝的なものではなく後天的です。そのために、血液の中のリンパ球の未熟な段階の細胞が悪性化して、骨髄や血液で制御不能なまでに異常に増殖し、急速に進行する病気です。緩やかに進行するものを慢性リンパ性白血病という。また通常の骨髄の生産が邪魔され、血液中で赤血球が減少したり、血小板、正常な白血球の減少などが起こります。 ALLの原因はまだ明確になっていないので、危険因子や予防法も明らかになっていない。小児から成人までどの年齢にも発症しますが、小児に多く見られ10歳までにもっとも多く発病する。成人は50歳以上から多く見られるようになる。症状 白血病細胞が増加する事によって直接起こる症状はないが、白血病細胞が増加するとその分骨髄で正常な血小板、赤血球、白血球が作られなくなるのでいろいろな症状がでてくる。
4537 骨髄異形成症候群とは(こつずいいけいせいしょうこうぐん、MDS) 骨髄異形成症候群(MDS)は血球の異形成、すなわち骨髄および末梢血における血球(赤血球、白血球、 血小板)の数量的ならびに質的異常を特徴とする病態で、不応性貧血とも称されます。通常の貧血治療薬である鉄剤やビタミン剤では治らない慢性進行性の造血障害で、30%の患者さんは経過中に白血病に移行する。発病年齢のピークは60〜70歳代にあり、わが国の人口の高齢化とともに増えつつある。MDSの治療反応性や予後(病気のたどる経過についての医学上の見通し)は芽球(若い細胞)比率、染色体異常および血球減少の程度などで予測することができる。低リスク群、中間リスク群、高リスク群に分かれ、群によって治療法が異なります。
4538 慢性骨髄性白血病とは(まんせいこつずいせいはっけつびょう) 慢性骨髄性(顆粒球性)白血病は正常では好中球、好塩基球、好酸球、単球に成長する細胞ががん化する病気。慢性骨髄性白血病(CML)は年齢、性別に関係なく起こるが、10歳未満の小児にはまれです。40〜60歳の成人に最も多く見られる。慢性骨髄性白血病では、白血病細胞の大半が骨髄で生じるが、一部は脾臓と肝臓で産生される。急性白血病では多数の未熟細胞がみられるのに対し、慢性骨髄性白血病の慢性期には、正常にみえる白血球が(ときに血小板も)著しく増加します。病気が進行するにつれて、白血病細胞が骨髄を満たすようになり、その他の細胞が血液中に出てくる。 白血病細胞はさらに変化し、病気が進行して移行期に移り、最終的には急性転化といって急激な悪化を示す状態になる。急性転化期には、未熟な白血病細胞しかつくられなくなり、脾臓が腫れて大きくなり(脾腫)、発熱や体重減少がみられる。
4539 慢性リンパ性白血病とは(まんせいりんぱせいはっけつびょう) 慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)は一般的に「血液のがん」といわれる白血病のひとつ。骨髄やリンパ系組織の中で発症します。通常、血液の中に成熟したリンパ球が著しく増加した状態が慢性リンパ性白血病です。リンパ球の種類により、B細胞とT細胞とに分けられます。白血病細胞は、リンパ節、骨髄、脾臓などで非常にゆっくり増殖し蓄積します。 慢性リンパ性白血病は、小児には少なく、成人でも中年以降に好発します。頻度は年間、10万人に1〜3人の発症率です。リンパ球のがんには、悪性リンパ腫や他の白血病がありますが、これらとは病態や治療法が異なる。慢性リンパ性白血病の原因はまだ明確ではない。そのため、危険因子や予防方法も明らかではない。
4540 成人T細胞性白血病とは(せいじんTさいぼうせいはっけつびょう) 成人T細胞白血病はヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)が全身の臓器に入って起こる白血病である。原因 はウイルスがTリンパ球に感染し、全身の臓器に入ることで起こる。急性は死の危険がある。輸血や血液製剤が感染経路となる。症状は潜伏期間は数10年で、40代、50代に多い。 貧血 、発熱 ・寝汗 ・肺、消化管、肝臓、脾臓、リンパ節、皮膚等の腫れ ・全身にリンパ性白血病の症状など。免疫不全で悪性腫瘍、感染症を合併しやすく危険である。治療は免疫不全の進行を抑制し、抗白血病、抗腫瘍剤を使用する。
4541 悪性リンパ腫とは/ホジキン病とは/濾胞性リンパ芽腫とは/(あくせいりんぱしゅ、ほじきんびょう、ろほうせいりんぱがしゅ) 首、わきの下などのリンパ節がはれ、やがて全身のリンパ節はれてくる症状で白血病に近い症状。この症状にはホジキン病、濾胞性リンパ芽腫などと呼ばれる病気がふくまれておりこれらを一括して悪性リンパ腫という。この病気は一般に男性に多く見られ、症状は、いずれもリンパ節のはれ(腫脹)である。悪性リンパ腫はリンパ組織(免疫組織)から発生するガンである。
4542 多発性骨髄腫とは(たはつせいこつずいしゅ) 多発性骨髄腫は骨髄中で免疫抗体を造る形質細胞ががん化して増殖するもの。正常な抗体の減少で感染しやすくなり、骨髄で造る血液の量が減少して、骨折しやすくなる。症状は肋骨、背骨、腰骨が痛む 、動悸、息切れ、体重減少 、疲労。歯肉、歯からの出血 、のどの渇き、腎機能の低下など。治療は鎮痛剤を使い、抗がん剤の化学療法を行う。
4543 かぶれとは/接触性皮膚炎とは(かぶれ、せっしょくせいひふえん) かぶれはの原因となるものに、皮膚が直接触れることで起きるものである。原因となるのは、酸、アルカリ、化粧品、衣類、化学製品、動植物等である。症状は皮膚のかぶれ、赤斑、腫れ、びらんなど。治療 は原因物を避け、患部を冷やす。抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤等を使う。
4544 アトピー性皮膚炎とは(あとぴーせいひふえん) アトピー性皮膚炎はアトピー体質の皮膚に発生する皮膚炎と言われる。遺伝性のアレルギー素因が原因とされるが、不明な点が多い。カビやダニ、花粉等に触発されて起こると言われる。症状は広範囲、左右対称に発疹が出る、かゆみ、慢性化する、赤い皮疹、頭にかさぶた、皮膚が厚くなるなど。治療は副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤等を使う。睡眠時間を十分とり、香辛料等を避けることも必要。
4545 貨幣状皮膚炎とは(かへいじょうひふえん) 貨幣状皮膚炎はかゆみ、発疹、炎症が持続する状態で、小水疱、かさぶた、うろこ状の皮膚を伴う、コインのような形の湿疹が特徴。貨幣状皮膚炎の原因は不明。この病気は中年の成人に発症することが多く、皮膚が乾燥している場合に現れ、冬に最もよくみられる。はっきりした原因なしに発疹が出たり消えたりすることもある。まずかゆみのある円形の発疹ができますが、この発疹は吹き出ものや水疱を伴い、これがそのうちじくじくしてきてかさぶたになる。発疹は広がることもある。発疹は腕や脚の内側、尻の部分に出ることが非常に多いが、胴体部分にもでる。多くの場合、保湿剤で効果が得られる。その他の治療法としては、抗生物質の内服、ステロイドのクリームか注射、紫外線照射を受ける光線療法があある。しかし、どの治療法も、十分な効果を上げることが難しい。
4546 自家感作性皮膚炎とは(じかかんさせいひふえん) 自家感作性皮膚炎は湿疹の原因となった物質で、全身につぶつぶができるもの。原因はやけどや、接触性皮膚炎、貨幣湿疹等が他の部位に移ったり、治療を誤ったりすることで起こる。 症状はかゆみ ・悪寒、発熱など。治療は抗ヒスタミン剤、副腎皮質皮質ホルモン剤を使う。
4547 脂漏性皮膚炎とは(しろうせいひふえん) 脂漏性皮膚炎は頭、顔、陰部等、皮脂腺の発達した部分(脂漏部位)の皮膚が赤むけするもの。真菌感染、脂質代謝異常が原因となり、皮膚の分泌異常が起こって発症する。
症状
乳児:頭部、眉毛等にかさぶたのある紅斑
成人男性:フケ症、顔、耳の皮膚の赤むけ
治療は ビタミンB2、B6、副腎皮質ホルモン剤等が有効である。
4548 主婦湿疹とは(しゅふしっしん) 主婦湿疹は家事をする主婦に特有の皮膚炎。水仕事や掃除等が原因となる。アトピー体質や、皮膚分泌の少ない人に多い。 症状は
湿潤型・・・手の腫れ、丘疹、水泡、膿胞、強いかゆみ
手指に硬い腫れ、あかぎれになりやすい
進行性指掌角皮症・・・手のひら、指の腹のかさつき、ひび割れなど
治療は保湿剤、副腎皮質ホルモン剤を使う。手袋着用で保護する。
4549 皮脂欠乏性皮膚炎/皮脂減少性皮膚炎(ひしけつぼうせいひふえん、ひしげんしょうせいひふえん) 健康な皮膚は角質層に一定量の水分を含みうるおいがある。皮膚の角質層の水分量は、皮脂(皮脂腺から分泌される脂)、天然保湿因子、角質細胞間脂質(セラミドなど)の3つによって保たれる。年をとるにつれて皮脂やセラミドが減少し、高齢者では角質層の水分量が減ってカサカサ乾燥肌になりやすい。皮膚が乾燥しているとかゆみを生じやすく、軽い刺激や掻くことにより湿疹病変がでる。冬は皮脂の分泌が減少し、空気が乾燥するため、症状が悪化しやすい。
症状:皮膚は乾燥し、表面には細かい白い皮がむけ、湿疹病変が見られ、特に下腿に起こりやすい。
治療:皮膚の乾燥を抑えるために保湿外用剤を塗布し、湿疹病変に対してはステロイド外用剤を用いる。かゆみが強ければ抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服を併用。
4550 蕁麻疹とは(じんましん) 蕁麻疹は食品等が原因となって、全身に発疹ができるもの。原因は心因性、肉魚等の食品、薬剤、ダニ等があるが、ほとんどは原因不明。症状は全身に発疹 、発熱、下痢など。治療 は原因となってものを避け、抗ヒスタミン剤を使用する。
4551 虫刺症とは/虫さされとは(ちゅうししょう、むしさされ) カ、ノミ、ブユ、ダニなどの吸血昆虫やアチ、アリなどの非吸血昆虫に刺され激しいかゆみと紅色の盛り上がった皮疹を生じる。放置して自然に治るものから、全身を刺され痒みが強く不眠症になるほどのものまで、程度はさまざま。虫刺症の診断は通常容易であるが、時に他の疾患との鑑別が難しいこともある。一般的には虫刺症の場合、虫の刺し口がみられる。虫刺症の治療 (1)軽症の場合:ステロイド剤外用 (2)中等症の場合:トラネキサム酸(トランサミン錠)および抗アレルギー剤(抗ヒスタミン剤)併用 (3)腫脹の強い場合:漢方薬(五苓散)の併用 (4)結節性痒疹の場合:ステロイドの貼付剤(インファナルもしくはトクダーム等) (5)重症の場合:ステロイド剤内用
4552 皮膚掻痒症とは(ひふそうようしょう) 皮膚掻痒症は発疹の発生しないかゆみが起きるもの。原因は皮膚の老化や、腎臓等内臓疾患、血圧異常、薬剤等が原因となる。陰部、肛門のかゆみは、アトピー性皮膚炎や性感染症等が原因となる。症状はかゆみ、温めるとひどくなる。治療はレスタミン軟膏、尿素軟膏、副腎皮質ホルモン剤を使う。
4553 多形滲出性紅斑とは(たけいしんしゅつせいこうはん) 多形滲出性紅斑は手足に赤い斑が出るもの。原因 は細菌、真菌、ウイルス等の感染や、薬物、食物アレルギー等がある。春秋に多発し、女性に多い。全身症状が出ると、多形滲出性紅斑症候群となり、生命の危険がある。症状は微熱、頭痛、倦怠感 ・手、腕、下肢にかゆみのある複数の赤い斑、対称的に出る
多形滲出性紅斑症候群:口、鼻、外陰部等の粘膜のただれ、リンパ節の腫れ、発熱。
治療は副腎皮質ホルモン剤等を使う。
4554 オクラは血圧を下げる?(おくら、オクラ) おくらの独特のぬめりは、ペクチンなどの食物繊維とムチン(やまいもなどにも含まれる)とが含まれている。ペクチンは整腸作用があり、便秘解消、血圧を下げたり、コレステロールを下げたり、糖尿病や動脈硬化の防止にも有効。ムチンはタンパク質の消化吸収を助ける効果がある。他にも、カロチン、カルシウム、鉄、、ビタミンCを含んでおり、栄養価の高い野菜である。納豆などの良質のタンパク質と食べると、特に効果がある。
4555 結節性紅斑とは(けっせつせいこうはん) 結節性紅斑は皮膚の下に軟らかく赤い隆起(結節)ができる炎症性の病気で、むこうずねによくできるが、腕その他の部分にできることもある。他の病気の症状として、あるいは薬に対する過敏症として現れることが非常に多い。若い成人、特に女性が最もこの病気を発症しやすく、数カ月から数年にわたって繰り返し再発する。細菌や真菌、ウイルスの感染から結節性紅斑が起こることもある。結節性紅斑の原因として最も多いものはレンサ球菌感染で、特に小児では多い。ほかに多いのは、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、サルファ系抗菌薬や経口避妊薬などの薬が挙げられます。さらに、さまざまな感染症や癌が結節性紅斑を発症させる。治療は結節性紅斑の原因となる薬の使用は中止し、感染症がある場合はその治療を行う。レンサ球菌感染が原因の場合、ペニシリン、セファロスポリンなどの抗生物質を服用。 結節は治療をしなくても3〜6週間で消える。痛みを抑えるには、安静にすることと、非ステロイド性抗炎症薬が効果的です。結節が多い場合は、痛みを緩和するためにステロイド薬かヨウ化カリウムを処方。
4556 紅皮症とは(こうひしょう) 紅皮症は全身の皮膚が赤くなる。 原因 は皮膚の悪性リンパ腫等の感染症や、重症化した皮膚炎、湿疹等が原因となる。症状は全身の皮膚が赤くなる、皮膚のはがれ、かさぶた、発熱 、倦怠感 、食欲不振 皮膚がむけて栄養バランスが悪くなり、心臓に負担がかかったりする。 治療は原因疾患の治療をし、全身状態を改善する。
4557 血小板減少性紫斑病とは(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう) 血小板減少性紫斑病は血小板が激減し、出血しやすくなって紫斑が出るもの。
原因
特発性血小板減少性紫斑病:原因不明で免疫疾患が起きる。急性は子供に多く慢性は女性に多い。難病指定である。
続発性血小板減少性紫斑病:再生不良性貧血、白血病等の病気が原因となる。
症状は出血による紫斑、血尿、性器出血、月経過多など。 進行すると生命の危険がある。 治療は副腎皮質ホルモン剤投与、脾臓摘出、免疫抑制剤を、進行度に応じて行う。
4558 レイノー現象とは(れいのーげんしょう) レイノー現象とは発作的に手足の血の流れが悪くなって、皮膚の色が蒼白または紫色(チアノーゼ)になり、痛み、冷感、しびれ感を自覚し、ついで血液の流れが回復すると、逆に充血し赤くなる現象をいう。身体全体や手足が冷たい空気や水などにさらされたり、強い精神的緊張やストレスなどが引き金となり、手足の細い動脈の強い収縮が起こることによって生る。原因が不明の場合と、膠原病などの他の病気に伴って出てくる場合がある。
4559 下腿潰瘍とは(かたいかいよう) 静脈の循環障害によって起こる下腿の潰瘍。下腿の1/3の部位に好発する。慢性でなおりにくい潰瘍。下腿の静脈の弁に障害があることが多い。静脈の循環が悪くなると静脈瘤を生じたり、湿疹様変化(うっ血性皮膚炎)が見られる。これが長い期間続くと皮膚の障害をきたし潰瘍ができる。治療は静脈の弁障害がある場合は外科的に取り除く。潰瘍が難治性であれば切除して植皮術を行う。全身的には感染の防止や循環をよくする薬を使う。潰瘍面には細菌感染が起こらないように外用療法をおこなう。
4560 薬疹とは(やくしん) 薬疹とは薬の内服や注射で生ずる発疹。薬を投与されたごく一部の人に生ずるアレルギー性薬疹です。ふつう薬疹といった場合には、このアレルギー性薬疹を指し、薬に対して反応するような細胞や抗体がある人(これを薬に感作された状態)にのみ生じる。薬に反応するような細胞や抗体が出来るのに内服を始めて1〜2週間かかるので、そこで初めて発症すると考えられる。薬を中止すれば回復する。しかし薬疹の中でも重症の薬疹とされているものに、中毒性表皮壊死融解症、スチーブンス・ジョンソン症候群、ウイルスが関与する薬剤性過敏症症候群などがある。これらの重症薬疹では、原因となった薬を中止しただけで良くならず、どんどん悪化するので早く対応することが重要。
4561 天然痘とは/痘瘡とは(てんねんとう、とうそう) 天然痘(痘瘡)は紀元前より、伝染力が非常に強く死に至る疫病として人々から恐れられていた。 また、治癒した場合でも顔面に醜い瘢痕が残る。天然痘ワクチンの接種、すなわち種痘の普及によりその発生数は減少し、WHO は1980年5月天然痘の世界根絶宣言を行った。以降これまでに世界中で天然痘患者の発生はない。天然痘ウイルス(Poxvirus variolae)は200 〜300nm のエンベロープを有するDNA ウイルスで、牛痘ウイルス、ワクシニアウイルス、エクトロメリアウイルスなどとともに、オルソポックスウイルスに分類される。低温、乾燥に強く、エーテル耐性であるが、アルコール、ホルマリン、紫外線で容易に不活化される。臨床的には天然痘は致命率が高い(20〜50%)variola major と、致命率が低い(1%以下)variola minor に分けられるが、増殖温度を除きウイルス学的性状は区別できない。
4562 水疱性類天疱瘡とは(すいほうせいるいてんほうそう) 水疱性類天疱瘡は自己免疫疾患の1つで皮膚に水疱ができ、高齢者によくみられる。この病気は天疱瘡ほど重くなく、死亡する人はほとんどなく、皮膚が広範囲にわたってはがれることもない。免疫システムが皮膚を攻撃する抗体をつくり出し、そのために皮膚に大きくてぴんと張った、とてもかゆい水疱ができる。その水疱の回りの皮膚は赤くなり、炎症を起こす。軽症の場合、特に治療をしなくても治ることがあるが、それには数カ月から数年かかる。ですから、大半の患者は薬による治療を行う。ほとんどの場合、ステロイド薬の高用量投与をすると効果がみられる。ステロイド薬の投与量は数週間後から徐々に減らす。アザチオプリン、シクロホスファミドを投与する場合もある。免疫グロブリンを静脈注射する場合もある。
4563 掌蹠膿庖症とは(しょうせきのうほうしょう) 掌蹠膿庖症の掌は手のひら、蹠は足の裏の意味で、手のひらと足の裏に膿疱ができる病気。ふつう細菌などが感染した時に防御反応として膿疱ができますが、この病気の場合には感染はないにもかかわらず、小さい膿疱がたくさんできる。原因はよく分かっていませんが、体のどこかに細菌の巣があると、一種のアレルギー反応が起き、細菌がいないのにもかかわらず手足に膿がたまってくるという説もある。この細菌叢としては扁桃腺や、虫歯が考えられており、扁桃腺を取り除くと病気がよくなる場合もあすな。また虫歯の治療に使われた金属へのアレルギーの場合もあるとされ、金属アレルギーも検査した方がよい場合もある。治療にはステロイド外用やビタミンAの内服などがるが、細菌感染、金属アレルギーへの対策も必要。
4564 黒色表皮腫とは(こくしょくひょうひしゅ) 良性と悪性があり良性は若い人や肥満者に見られる。悪性は年配者に多くその70%以上にがん、とくに内臓癌が合併しているといわれる。つまり、内臓癌のサインであることが多い。大腿内側や擦過部、乳首などにも発生する。入浴してよく洗うのがよくビタミンAD軟膏を塗布しトランサミン(抗プラスミン薬 :一般名 トラネキサム酸) を内服する。中年以降に発生した場合は必ず全身癌の有無をチェックする。
4565 鶏眼とは/胼胝腫とは/うおのめ・たことは(べんちしゅ、うおのめ・たこ) うおのめ・たこは正式にはそれぞれ鶏眼(けいがん)、胼胝腫(べんちしゅ)と言い、機械的圧迫やまさつが絶えず加わる部分の皮膚のかわ(角質)が厚くなり痛みが生じる。治療は一般的に皮膚を柔らかくする薬(スピール膏など)を貼って数日後、けずりとる。
4566 尋常性乾癬とは(じんじょうせいかんせん) 尋常性乾癬は境界のはっきりした軽いかゆみを伴う紅斑ができ、その表面に銀白色のかさぶたがつくのが特徴。ただし、紅斑は、乾燥しているので、水ぶくれになったり、ただれたりすることはない。形や数はさまざまで、髪の毛の生えぎわ、ひじ、ひざ、腰などにあらわれやすく、全身に広がって紅皮症になることもある。 乾癬は決してうつらない病気です。
種類
尋常性乾癬はいくつかの種類に分けられます。最も一般的なのが尋常性乾癬で、紅斑は乾燥し銀白色のかさぶたがありますが、水疱や膿疱はありません。爪が厚くなったり点状の陥没を形成する症状がでるものもあります。 紅斑の上に無菌性の膿疱が多数生じ、発熱や倦怠を伴う膿疱性乾癬、リウマチに似た関節症状を伴う関節性乾癬、子どもに多くみられる全身に紅斑が多発する滴状乾癬、きわめてまれに、紅斑が全身に及ぶ乾癬性紅皮症もある。
4567 類乾癬とは(るいかんせん) 滴状類乾癬と局面性類乾癬が代表的で、敵状類乾癬は落屑性紅色小丘疹が全身に発生し、発疹後に色素斑、脱色素斑を残す慢性の病気で慢性苔癬状粃糠疹ともいわれる。局面性類乾癬は鱗屑を伴う大小の斑状の紅斑ないし色素斑の多発する病気で慢性に経過し、悪性化することもある。いずれも原因は不明。滴状類乾癬は光線療法やPUVA療法が試みられることもある。局面性類乾癬はステロイド外用薬やPUVA療法を行う。菌状息肉症へ移行した場合は放射線療法が必要。
4568 扁平苔癬とは(へんぺいたいせん) 扁平苔癬は薬剤との関係(降圧剤、抗精神薬、利尿剤、メチコバール、カラーフィルム現像液など)があると言われる。また、金属アレルギー(主に歯科金属)との関係も指摘される。メンタ油(歯磨き粉、チューインガム、湿布、食品香料、医療衛生材料などに含まれる)アレルギーが原因になることもる。通常は手背、四肢、躯幹、外陰部にみられる。口腔内や口唇にも皮疹(粘膜疹)をみる場合がる。口唇では下口唇に皮疹がみられる場合がほとんどです。口唇に限局した扁平苔癬の場合は、しばしばC型やB型肝炎の合併がみられる。原因は不明。
4569 ジベールばら色粃糠疹とは(じべーるばらいろひこうしん) 粃糠様(皮疹の中央が粉がふいたような状況)の落屑を伴う紅斑が全身性に多発する病気。全身症状やかゆみは軽く多くは1〜2ヵ月の間に消失する。原因は不明。最初、粃糠様の落屑を伴う比較的大型の卵円形紅斑が1〜2個出る。7〜10日後に小型の楕円形落屑を伴う状況が躯幹、上腕、大腿に播種状に多発する(続発疹)。皮疹の分布と形に特徴がある。治療は効力が弱い外用ステロイド剤と止痒剤の内服が有効。
4570 慢性円板状エリテマトーデスとは(まんせいえんばんじょうえりてまとーです) 皮膚限局性の疾患で全身症状や血液中の異常はない。皮疹は円板状の紅斑で少し厚みがあり、表面がかさついている。後に、中央部は白色、辺縁は黒くなり、やけどの後のようになる。日光露出部、とくに顔面に好発する。副腎皮質ホルモン剤の外用や日光照射をを予防することでよくなる。
4571 限局性強皮症とは(げんきょくせいきょうひしょう) 内臓病変を伴わない強皮症でその形態によって斑状、線状、帯状に分ける。躯幹や四肢に好発し、全身性強皮症のように手指などの末端部にはでず、レイノー症状もない。皮膚が硬くつまみにくくなり、辺縁部は黒ずみ中央部が光沢をもつようになる。硬化期を過ぎると軟らかい傷の跡のようになる。線状強皮症が上肢の関節部に出た場合は運動障害が残ることがある。少量の副腎皮質ホルモン剤の内服や外用が効くこともあるが確実な治療法はない。また、全身型の初発症状として出ることもあるが通常は皮膚のみで予後良好。
4572 成年性浮腫性硬化症とは(せいねんせいふしゅせいこうかしょう) 60%以上が急性感染症に続いて発症する。特に上気道感染症に発症する。大部分は数ヶ月から2年以内に自然消退する。主として成人女性の項頸部から肩、上背部の皮膚が硬くなり毛孔が拡大しミカン皮様となり皮膚のしわができなくなる。皮膚は光沢を伴い、指で圧迫しても陥没しないが浮腫がある状態で指で皮膚をつまむことができない。次第に対称性に上腕、前胸、顔面、体幹に広がる。首の回転、上腕の挙上、そしゃくなどの運動障害がおこり舌や咽頭に病変が及ぶと嚥下困難になる。糖尿病による変化と区別することが重要。
4573 アミロイドーシスとは/アミロイドージスとは(あみろいどーしす、あみろいどーじす) アミロイドという特殊なタンパク質がいろいろな臓器に蓄積し、その臓器の機能が障害される病気。原因不明の原発性と骨髄腫に合併するもの遺伝性の家族性アミロイドポリニューロパチー、透析患者に合併するものなど続発性のものに区別される。神経の病気としては家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)が知られている。.四肢の末梢神経、脳神経、自律神経などが障害され、温痛覚障害、筋力低下、深部反射低下およびインポテンツ、発汗障害、起立性低血圧などの自律神経障害がみられる。
4574 ポルフィリン症とは(ぽるふぃりんしょう) ポルフィリン症はヘモグロビンを構成する生体色素のポルフィリンが異常に増加するもの。原因はポルフィリンが異常に増加して、尿として大量排泄されたり、体内に蓄積されて起こる。症状は日焼けしやすくなる、水泡、じんましん 、便秘、吐き気 、不眠など。治療はポいまだに発症時の対症療法しかない。血を抜き取るのが有効な場合もある。
4575 色素性乾皮症とは(しきそせいかんぴしょう) 幼児期より日光照射を受けて露出部に紅斑や小水庖が持続性反復性にでき、皮膚は次第に色素沈着、毛細血管が拡張する。その後、同じ皮膚に種々の腫瘍ができる。結膜炎、角膜炎を同時に伴うこと があるほか、知的障害、構音障害、難聴、 発育障害を認めることもある。紫外線照射によって障害を受けたDN Aは、通常では修復されますが、本症で はDNA復生酵素が欠如しているため、 修復機能がおこらないことが原因にななる。サンスクリーン剤、サングラスなどによって紫外線から遮断する。皮膚悪性腫瘍は早期切除が必要。悪性腫瘍と して基底細胞上皮腫、有棘細胞がん、悪性黒色腫を合併しやすくなる。
4576 尋常性座瘡とは/にきびとは(じんじょうせざそう、にきび) 思春期の男女の顔面、胸部、背面に発症する毛嚢・皮脂腺系の慢性炎症性疾愚 。その症状は生理的現象の場含も ある。30歳頃には軽快するが、ときに中年女性の口の周りに発生するこ ともある。原因が細菌感染よりも、ホルモン関与が強いため、皮膚感染症に入らない。初潮時に生理的におこるものもあるが、多くは素因や脂漏体質があり、これに皮膚不潔、食事(脂肪分や糖分の過 食)、精神不安定、化粧品、胃腸障害、 機械的刺激、月経、気湿、薬剤(避妊薬など)が誘因となっておこる。皮脂腺機能亢進による脂漏のため、毛嚢に一 致して皮脂の貯溜や毛孔、皮脂腺排出管の角化によって面皰が発生し、この面皰は皮脂を分解しにきびへと発展する。軽症例では、日常生活の改善で治る。多くの場合、規則正しい生活、洗顔 や洗髪の励行、不眠や精神的不安の除去、 厚化粧の中止、食事や便通の調整などに より20歳代を過ぎると自然に消失する。難治の場合、面皰に対する局所療法と して、面皰圧出・外用療法(角質溶解剤、 硫黄ローション、抗生物質、ピタミンA 、過酸化ベンゾイルなど)をする。
4577 乾皮症とは(かんぴしょう) 生理的な範囲を超えて、角質層内の水 分の低下や皮脂分泌の低下のために生じ る皮膚の乾燥状態をいう。高齢者で とくに冬期に多くみられる。本来生理的な皮膚の老化によっておこる。皮膚に皮脂が少なくなり角質層 が水分保持をしにくくなると、不感蒸泄を低下させることにより水分が失われる ために発生する。加齢、寒冷、機械的 刺激、心因などが誘因になる。皮膚は乾燥性で細かいしわ、ふけ様鱗屑、浅い亀裂がみられ、光沢を失い、しぱしば網状の紅斑を生る。増悪因子として暖房・入浴時の過度の 石けん使用、ナイロンタオルやタワシでの摩擦、毛織物や化繊などの密着する肌着などがあげらる。これらの悪化因 子を避ける日常の生活指導が大切。外用剤としては油脂性の軟膏、尿素軟膏、 ピタミソA軟膏などがある。入浴時には、保湿性のスキンケア製剤を使用。湿疹化している場合は、ステロイ ド外用剤。かゆみが発生した ら就寝前に抗ヒスタミン剤を内服。
4578 頭部粃糠疹とは/ふけ症とは(とうぶひこうしん、ふけしょう) ふけは健康な人でもみら れる生理現象であり、病気ではない。それが多くなるとかゆみを伴う。ふけには乾燥性と油性の二種類があるが、普通より目立つと「ふけ症」(頭部粃糠疹)と呼ぶ。病気の原因は体質的な要因が大きいが、不明のことも少なくない。必要以上の洗髪や、シャンプー・ヘア トニックなどヘアケア製品の質やパーマ後のふけ増加もある。油っこいものや甘いものなどによる 食生活も関与する。
どんな現れ方か:角質層と呼ばれる皮膚の一部がむけて、 頭皮や毛髪に付着して目立つ。ふつ うは乾燥性ですが、皮脂分泌が多すぎて厚く固まることもある。二次的な細菌感染もおこる。ふけが多くなると かゆみや脱毛も生じ、頭の皮膚が赤くかゆくなったり、厚ぽ ったくなったら、他の皮膚病を考える。通常は無害な状態なので治療の必要はない。ふけが多く、かゆみを伴うと治療が必要。ふけとりシャンプー、石けんで頭髪や全身の皮膚を十分に洗い、清潔を保つ。ピタミンB群は有効。
4579 酒さとは(しゅさ) 顔面、特に鼻を中心として頬や額にも生じる、びまん性の紅斑や毛細血管拡張が特徴で、症状が進むとニキビ様の丘疹や膿疱(ウミをもつ水疱)がみられるようになります。 かゆみやほてり感、刺激感がある場合があります。合併症が見られる場合もあり、注意が必要です。
4580 せつとは/フルンケルとは(せつ、ふるんける) せつ(フルンケル)は皮膚の感染症で、毛包全体と隣接する皮下組織が影響される。ブドウ球菌は、皮膚表面に通常に見られます。毛包が損傷すると細菌が毛包と皮下組織の深くまで入り込んでしまう。せつ(フルンケル)は体のどの部分の毛包にも起こりますが、多くは顔、首、腋窩、お尻、太股に起こる。 一般的に黄色ブドウ球菌が原因で起こるが、その他の細菌や真菌が原因になることもある。最初は赤くて圧痛のある皮下結節ですが、最後には波動性になります(水を満たした風船のように感じられる)。せつは自然に液が出て、膿と固い芯ができる。せつは1つまたは複数でる。繰り返し膿瘍ができて予防できない場合もあり、せつが耳道や鼻にできると大変痛みます。抗菌性セッケンや外用抗生物質はほとんど効かない。治療には全身性抗生物質(内服、注射)が有効。
4581 ようとは/カルブンケルとは(よう、かるぶんける) 隣接した毛穴にブドウ球菌が感 染したもので、せつが一度にたくさん集 まってできたもの。隣接する毛穴を中心にして皮膚が赤くはれ、鶏卵大ときに手のひら大に及ぶことがある。そして発熟と悪寒を伴っ て、激しい痛みがあり、毛穴に一致して点々と化膿して、黄色いうみが出る。表面はちょうど篩(ふるい)の目が詰ま ったように見える。化膿は皮膚の深いところで進行し、皮膚の表面にプツブツと穴がたくさ んあいてくる。好発部位は首の後や体です。そして、あとに瘢痕を残して、治る。治療はできるだけ早期に抗生物質を使用。排膿を促L、早く治すためには、切開 を必要とすることもある。糖尿病、甲状腺機能亢進症のある人は、同時にその治療も必要。
4582 化膿性汗腺炎とは/乳幼児多発性汗腺膿瘍(かのうせいかんせんえん、にゅうようじたはつせいかんせんのうよう)) 汗の出口にブドウ球菌が感染しておこる。乳幼児の顔、首、頭、背中など汗の出口にブドウ球菌が感染しておデL ります。乳幼児の顔、首、頭、背中など の汗をよくかく部位の汗腺が化膿しておこる。乳幼児多発性汗腺膿瘍とも呼び、しばしばあせもと合併する。そのほか、成人の腋の下や陰部のアポクリン汗腺におこるものも化膿性汗腺炎 という。
成人では汗かきの人の腋の下や外陰部 に、爪の大きさ程度のしこりができて痛 み、化膿が進むと、皮膚が赤くはれ、軟らかくなって、うみかでてくる。抗生物質はよく効くので、早期 に内服すれば、切開をする必要はほとんどない。そして抗生物質の軟膏を塗布し、その上から冷湿布をする。
4583 とびひとは/伝染性膿痂疹とは(とびひ、でんせんせいのうかしん) とびひを起こすのは、誰もが鼻の中などに持っている黄色ブドウ球菌、または溶血性連鎖球菌という細菌。鼻の穴をさわって細菌がてにつくと、その手で菌がついたところにとびひができたり、とびひの人と接触してはじまる。大小さまざまな水ぶくれで、中には菌が入っている。かきこわして菌のついた手で他のところをさわると、次々にうつって全身に飛び火してひろがるのでとびひと呼ばれる。水ぶくれは、破れるとただれてかさぶたができる。アトピー性皮膚炎で皮膚のバリア機能が弱っているととびひにかかりやすい傾向にある。虫刺されやあせもなど、他の皮膚炎で肌が傷ついているときも、菌のついた手でかきこわして、とびひになることがある。
4584 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群とは(SSSS)(ぶどうきゅうきんせいねっしょうようひふしょうこうぐん) 咽頭や鼻腔などに感染した黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥離性毒素(ET)が血流を介して全身の皮膚に達し、広範な熱傷様の表皮の剥離を起こす。黄色ブドウ球菌は伝染性膿痂疹(とびひ)の原因菌の一つであるが、皮膚局所に感染した黄色ブドウ球菌が産生するETにより、その部に水疱が生じるものが伝染性膿痂疹である。遠隔部位(咽頭、鼻腔など)に感染・増殖した黄色ブドウ球菌の産生するETが循環系を通して全身に送られ、表皮剥脱をきたすのがSSSSであり、伝染性膿痂疹のほうが軽症である。ウイルス性上気道炎が引き金になることが多い。
治療:
1)年齢が幼いほど重篤である。原則として入院、全身管理、輸液を行う。
2)抗生物質の全身投与:抗生物質の感受性を知るため初期に原因菌の培養を眼脂、皮膚、咽頭などから行い、黄色ブドウ球菌に感受性のある薬剤を点滴静注する。有名なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が起因菌の場合には注意が必要。3)熱傷処置と同様の局所処置を行う。
4)解熱したらシャワー、入浴などで皮膚を清潔にする。
4585 ひょうそとは(ひょうそ) 手足の指先に、主としてブドウ球菌が感染Lておこる。手指を便う職業の人によくみられる。どんな現れ方か 指先の小さな傷などから感染がはじま り、急に指が赤くはれ、ズキンズキソと 脈を打つような激しい痛みがある。炎症が皮膚だけにとどまるときは、はれ ている中心に黄色いうみが現れ、それが 自壊すると痛みが軽くなる。しかし 病変が深部へ進むと指の機能障害が残る。早期に抗生物質を服用し 、炎症を抑える。局所を高くして安静にし、とくに足の親指にできたときは 歩かないで安静を保ち、氷で冷湿布。黄色いうみがたまっているときは、切開をしてうみをだしたほうが痛みもとれ、 早く治る。
4586 丹毒とは(たんどく) 顔面や耳の左右のいずれかが、急に発赤、腫脹して熱がでる。おもに溶連菌が感染しておこるが、原因菌がはっきりしないことが多い。顔以外の時は蜂窩織炎(蜂巣炎)という。突然、顔の一部分が赤くはれ、続いて寒気と熟がでる。赤いはれは境界 が比較的はっきりしていて、その表面は 緊張して光沢があり、触ると硬く、熱く、圧痛がある。炎症が瞼に波及すると、開眼できないほどひどくは れることがある。そして首のあたり のリンバ節がはれて痛む。ピニール袋 に氷を入れたものか、保冷剤をタオルに包んで冷湿布をする。抗生物質を服用。習慣性丹毒、ときに脳膜炎、腎炎、敗血症 などを併発することがある。
4587 蜂窩織炎とは/蜂巣炎とは(ほうかしきえん、ほうそうえん) 最近は蜂巣炎と呼ぶことが多い。細菌でおこる急性の皮膚病の中で、丹毒とこの病気はおもに成人の病気で、子どもにおこることは、まれ。皮下組織の急性炎症で、手足の気づかな いような小さな傷から主としてブドウ球菌が感染しておこる。 四肢(手足)に痛みのある赤いはれが現れ、寒気がして熱がでる。炎症が皮下組織にまで及ぶため、境界がはっきりしない。はれは硬いが薬を飲まないで放置していると、次第に中央が軟らかくなって、うみがでてく る。治療は痛みのあるときは安静にし、ときに足 にできたときは足を少し高くして休む。そして氷嚢やビニール袋 に氷を入れるか、保冷剤をタオルで包ん で冷湿布。中央部が軟らかくぶよぶよしてきたら、切開して排膿したほうが早く治る。
4588 ハンセン病とは(はんせんびょう) らい菌の感染でおこる病気。らい菌は結核菌の仲間である抗酸菌であり、慢性に経遇し、結核と同じような薬で治 癒します。 伝染力はきわめて弱く、たとえ感染しても健康な日常生活をLている人では、 発病することはない。その理由は リンパ球やマクロファージなどにより菌 を貧食して破壊するからです。以前は斑紋癩、神経癩、結節癩の三つに分類されていました。現在では国際的に癩腫型(L型)、類結核型(T型) と境界群(B群)、未定群(I群)の二 型二群に分類される。しかしどれ にも属さないような症状(臨床像)を示 すこともある。いずれの病型にも共通する症状として は、神経症状と発汗低下がある。神経症状とは四肢の湿覚、冷覚、痛覚が侵 される。そのため、しばしば気づかないやけどやけがを繰り返して、や っとハンセン病とわかることがある。 そのほか、手足の変形、失明、声がか すれたりすることもあります。 各型のおもな症状を簡単に述べると次 のとおりです。
1.癩腫型(L型)
鈍い光沢のある結節 と黄褐色のびまん性の浸潤よりなり、ひどいときは獅子づら(ライオンのような顔貌)になる。鼻汁などか ら、らい菌が多数検出されます。
2.類結核型(T型)
うすい赤色から褐色の境界のはっきりした丸い形をしたしこりが現れ、発汗低下と知覚まひが目立 ち、顔面・四肢に好発する。。伝染の危険性はない。3.境界群(B群)
前の二型の中間的な症状と所見を示す。境界のはっきり しない赤色の盛り上がりが多発し、しば しばらい菌が見つかる。
4.未定群(1群)
手足に赤い斑点や色素脱出があり、知覚障害のために潰瘍ができやすく、しばしばやけどを繰り返す。放置していると前述のいずれかへ進行することがある。ハンセン病の初期症状と考えられる。 手足がしびれ、しばしばやけどをした り、発汗低下と前述のような症状があれ ば、皮膚科と神経内科を受診する。レクチゾール、リファンピシン、ニューキノロンなどの服用で完治する。
4589 頭部白癬とは/しらくもとは(とうぶはくせん、しらくも) 頭部白癬は皮膚糸状菌の感染で、頭部に病変が起こるもの。
原因:皮膚糸状菌は真菌(カビ)の一種で、皮膚から感染する。他に胴体に感染する体部白癬(ぜにたむし)、股間の股部白癬(いんきんたむし)、足白癬(みずむし)がある。
症状:頭髪部分に紅斑 、皮膚のはがれ、かゆみ、脱毛
治療:抗真菌薬、抗白癬菌軟膏等を使う。
4590 体部白癬とは/ぜにたむし(たいぶはくせん、ぜにたむし) 白癬菌が体の皮膚の表面の角質層内に 寄生することによって拍こります。 白癬菌の中でも紅色白癬菌と犬小胞子菌の二種がおもな原因菌です。 ■どんな現れ方か 環状の皮疹が特徴的で、二重の輸を描 くこともあります。輪のところに小さな 寸-冊ヨ酋唖ヨしん 水庖や丘疹(ツブツブ)が並び、輸の内 側は軽快して多くの場合正常に近く見え ます。この形状が貨幣(コイン)に似て いるので、ゼニたむしと坪ばれてきまし た。 輪が不規則で、輪の内側にも丘疹や病 ひ 皮(カサブタ)がたくさんあって、湿疹 に似ることもあります。・州裂糾0,痂ルペ鰍州二」り一考-しり、 苛性カリで封入すると、そこに多数の菌 糸がみられます。これで診断は確定しま す。痂皮やふけから菌を培養して菌の種 類を決めます。 ■病気を治す 抗白鰯菌剤軟膏の外用(一日一`二回 塗布)によって、二`三週間で治ります。 ■病気に気づいたらど一つする 湿疹と誤診されやすく、湿疹の薬では かえって増悪します。早めに皮膚科専門 医を受診することが必要です。 (高瀬孝子)
4591 股部白癬/いんきんたむしとは(こぶはくせん、いんきんたむし) 白癬菌が鼠径部の皮膚表面の角質層に 寄生しておこる病気。原因菌が一番多いのは紅色白癬菌です。鼠径部に、辺縁が堤防状に隆起し、内側は慢性湿疹に似た皮疹ができまる。は じめは片側のみ、後に両側性になる。かゆみがあり、夜問はとくに強くなる。男子では、不思議に陰嚢はおかされない。辺縁から痂皮(かさぶた)や鱗屑 (ふけ)をとり、水酸化カリウム標本と して検鏡し、菌糸が見つかれば診断か確定。治療
4592 足白癬とは/水虫とは(あしはくせん、みずむし) 白癬菌が足底・足縁・趾間の皮膚の角質層に寄生しておこる病気。足白癬は白癬の中で最も多い。みずむ しは手のひらや手の指の間にもできるが、頻度は多くなく、足のみずむしの1/10くらい。小水抱ができるのが特徴的で、それが破れると水がでてあとがびらんするので、水虫の名がある。水虫の原因菌は二種類ある。一つは紅色白癬菌、もう一つは毛瘡白癬菌ですが、紅色白癬菌の場合のほうが多い。水虫には三つの病型がある。
1)小水疱型
2)趾間型
3)倒角化型で、ふ つうははじめ片方の足のみにおこる。
小水庖型:足底や足縁の皮膚に小水庖が生じ、それが破れたあとに鱗屑縁 (水庖の蓋がレース状に残った状態)が みられる。
趾問型:足の指の間に小水庖ができて、 それが破れたあとの皮膚が白くふやけて、下にびらん面をみる。
角化型:足の裏の角質層が厚く硬くな り、白く見え、とくに大きなしわのとこ ろに鱗屑がたまっているように見える。
治療は外用剤をかなり長期問続ける必要がある。角質軟化剤(サル チル酸、尿素化合物)を併用するのがよい。とくに角化型では、グリセ オフルビンの内服が必要。その他の 内服薬とLては、アゾール系の薬剤。
4593 爪白癬とは(つめはくせん) 爪白癬はそれ自体単独でおこることは なく、他部位の白癬病巣のかき壊しによ り(手指爪の場合)、または近くの白癬病巣から連続的に(足趾の爪の場合)、 爪もおかされて発症する。爪白癬の原因菌のほとんどは紅色白癬菌です。菌は爪の先端や側面から侵入し、 硬い角質層の内部深くに寄生する。はじめは1〜2本の爪がおかされ、放置すると、後に多くの爪がおかされる。爪は白く混濁し、肥厚・変形し、爪の角質が脆くぼろぼろになる。自覚症状はない。内服用のグリセオフルビンと いう抗白癬菌剤を用い、内部から菌に作 用させ、菌を追い出す。薬は半年くらいの内服が必要です。外用抗白癬菌剤、角質軟化剤を 併用することもある。 ■病気に気づいたら手の爪白癬は他部位(例えば、体部白 癬、股部白癬)の感染源になりえます。 また、足の爪白癬はみずむしの感染源になり得ます。したがって、爪白癬は早く 治療することが望まれる。
4594 乳児皮膚カンジダ症とは/乳児寄生菌性紅斑とは(にゅうじひふかんじだしょう、にゅうじきせいきんせいこうはん) 乳児の糞便中のカンジダがオムツ部位に寄生し、それが背部に上行する場合と口腔内のカンジダがよだれに含まれて頸部から背部に下行する場合とがある。乳児寄生菌性紅斑とも呼ばれる。乳児の肛囲に糞便が長時問放置され紅色小水庖や膿庖を生じ、それが、鼠径部のしわの部位、腎部、陰嚢などに拡が り、びまん性の湿性紅斑落屑局面を多発する。 また、汗ばんだまま放置されると背部に付着した菌が増殖し、あせも様の紅色丘疹を生じ、少しずつ増加拡大する。オムツを日に数回かえて、オシリを清潔にし汚物を除くとともに、皮膚を乾かすす。とくに湿潤してびらん 面を形成しているときは、ステロイド外用剤の併用もやむをえないが、一般的にはイミダゾール系抗真菌剤のクリーム、エンペシド液もが有効。
4595 黒ナマズとは/癜風とは(くろなまず、でんぷう) 常在真菌(カビ)Malassezia furfurによって出来る。主に成人の前胸部や背中などにでき皮膚が茶色と白色のまだらになる。しかしかゆみなどを伴うことが少ないので、放置すると白斑(皮膚が白くなること)や色素沈着が長期化することがある。かゆみを伴うと少し赤みがある。このカビが、いると必ずできるわけではない。皮脂の分泌が関係していると言われるが、汗かきの男性に多い傾向がある。
4596 カポジ水痘様発疹症(かぽじすいとうようほっしんしょう) カポジ水痘様発疹症はアトピー性皮膚炎等の湿疹が重症化したものである。原因は単純性疱疹ウイルスの感染で、湿疹が重症化する。乳幼児に多い。 症状は高熱、食欲不振、脱水、リンパ節の腫れ、湿疹に水疱、膿疱、潰瘍化など。治療法は薬物療法、化学療法、輸液等がある。
4597 伝染性軟属腫、みずいぼとは(でんせんせいなんぞくしゅ、みずいぼ) みずいぼ(伝染性軟属腫)とはみずいぼウイルスに感染しておこる小さな水泡をつくる病気。小さな丘状の水ほう様のぶつぶつをつくる。つぶすと白い小さな固まりが出てきます。この中にはウイルスがたくさんいる。これが感染する。また、周りに湿疹ができる性質を持っている。
治療  
1)つまんでとる。ピンセットでつまんでとる、中から白い芯が出てくる。
2)塗り薬:硝酸銀など塗る治。焼くので痛みがある。硝酸銀40%のものを直接塗ったり、小麦粉で硝酸銀をまぜる。硝酸銀を使うと後が焦げたようになる。治癒すると跡が白くぬけたようになる。
3)その他:6ヶ月から1年半くらいで自然に治るのでほっておく方法もある。なぜかというと、取ってもまた出てくるからです。目に見えないくらい小さいものが残っていて、取りきれないものが沢山ある。
4598 しみとは/肝斑とは(しみ、かんはん) しみは、皮膚に褐色の色素沈着が起こるもの。原因はホルモン異常や妊娠が関係すると言われるが、はっきりとしたことは不明。症状は顔面を中心に、褐色の色素沈着が現われる。治療はビタミン剤、グルタチオン製剤等で症状を軽減させる。紫外線を浴びないことも必要。
4599 尋常性白斑とは/しろなまずとは(じんじょうせいはくはん、しろなまず) 尋常性白斑にはA型とB型の2種類があり、経過や治療法が異なる。
1)A型白斑
小児期から老年期まで全年齢層で初発し、始めは数箇所で、次第に数が増え、患部の面積も大きくな り、ついには全身に及ぶ。
A型白斑は生涯進行型ですから、手術をして白斑に色をつけても、また脱色してしまうことが多いのです。A型白斑は少なくとも新しい病巣には薬がよく効きます。 これには、副腎皮質ホルモンの「外用、内服」治療や、光線の感 受性を高める薬を飲んだり、塗布した後に、患部に長波長の紫 外線を照射する「PUVA]療法がある。
2)B型白斑
小児期から25歳ころまでの若年層に多く 発症し、神経分布に関係した一定の部位に急速に広がる。しかし、1年前後で進行はとまり、以後は生涯そのままで存続しま す。B型白斑は病状の進行が止まってから手術をすれば、大部分は正常の色を取り戻すことができる。
4600 柑皮症とは(かんぴしょう) ビタミンAの前駆物質、カロチンか皮 膚に沈着して発生。カロチンはニンジン、ミカンなど多くの植物に含まれる黄色色素。摂取されたカロチンは小腸粘膜でピタミンAに変換され、一部はそのまま吸収されて血中に入る。カロチンの血中濃度が高くなると皮膚に沈着するようになる。手掌、足底が黄色になる。高度になると全身が黄色になるが、黄疸とは違い眼球結膜は決して黄変しない。治療の必要はない。気になる人は食生活を考慮する
4601 老人性色素斑とは(ろうじんせいしきそはん) 加齢に伴う現象で、病的ではない。中年以降徐々に出現し、数が増える。数については個人差が著し。長期にわたり皮膚を日光にさらすことが影響する下腿にかなり出現する。色素斑は通常、爪の大きさ程度までですが、融合して大きな局面になることもある。色調は均一なものが多いが、ときに濃淡が混在することもある。後者では悪性黒色腫の前駆状態と の鑑別が必要。
4602 扁平母斑とは(へんぺいぼはん) 皮膚におけるメラニン色素の増加がみられるが、それが何に起因しているかは不明。遺伝性はない。出生時、あるいは出生後、早期に出現する。手のひら、足底以外のどの部位にも生じる。数ミリから数センチで、数は3〜4個までです。 治療は雪状炭酸圧抵法やグラインダー による皮膚剥削術などが行われますが、 再発しやすい。病気に気づいた時 レクリングハウゼン病などとの鑑別が重要。
4603 母斑細胞母斑とは(ぼはんさいぼうぼはん) 胎生期に神経細胞やメラニン色素をつ くる細胞のもとになる細胞が異常な発展 をとげて皮膚に遊走して本症を形成する。遺伝性は認められない。出生直後よりみられるものは15mm以上くらいの扁平黒褐色斑が多く、後天的に発症するものは小さく、少し盛り上がる黒褐色丘疹が多くなる。治療は切除することが基本ですが、悪性化が考えられる場合や美容上の場合に限る。ほとんどは放置して差 し支えのないものです。手のひら、足底の皮疹や比較的大型のもの、皮疹部にかゆみ、発赤、あるいは、 皮疹の拡大傾向がある場合は皮膚科医を受診。
4604 青色母斑とは(せいしょくぼはん) 幼少児期に発生Lているものが大多数 で、手掌、足底以外、どこにでもみられる。10mm程度の青色結節です。遺伝性はない。メラニソをつくる細胞は皮膚の表皮に分布するが、真皮内に とどまった結果、本症が発生すると考えられる。本症には細胞増殖型があ り、徐々に巨大となり、悪性化するものもある。治療は、切除。増殖性のないものは放置。細胞増殖型があるので、 皮膚を受診。
4605 太田母斑とは(おおたぼはん) メラニンをつくる細胞は胎生3カ月頃に表皮に分布するが、この細胞が真皮内にとどまった状態でメラニンを産生する。本症ではこのメラニン産生細胞が三叉神経の第一枝、第二枝、すなわち、額から頬にかけて存在するため、同部に青色調の斑を示す。遺伝性はない。症状は生後まもなくから、思春期頃までに、褐青色斑が片側の額、眼球、眼瞼、頬に出現する。良い治療法はない。ドライアイス圧抵治療法が効果的な症例もある。
4606 蒙古斑とは(もうこはん) ほとんどすべての日本人にみられる。白人でも9.6%に存在する。真皮のメラニン産生細胞の存在によりおこるが、思春期には消失する。4.1%に残存するものがある。症状は、生後4〜5カ月で顕著となる灰青色斑が乳幼小児の腰臀部にみられる。これ以外の部位に発生したものを異所性蒙古斑といい、治療の対象となる。斑はドライアイス圧抵療法である程度薄くなる。病気に気づいたら異所性のものや思春期になっても消失 しない場合は皮膚科医を受診。
4607 結節性硬化症とは/プリングル病とは(けっせつせいこうかしょう、ぷりんぐるびょう) 先天性の病気で体中の至るところ、特に皮膚、神経系の異常がおこる。この病気のの約1/3は、遺伝 性(優性遺伝形式)が明らかにされている。 この病気の発生頻度は、10万人に5〜7人。いちばん最初に気づくのは、知能発達の遅れ。首のすわり、歩行の開始、言葉の開始など赤ちゃんの自然の発育の遅れで気づく。てんかんも早い時期からはじまる。顔のにきび様発疹は、知能低下、てんかんよりも遅れて生じる。このにきび様発疹より先に 皮膚に現れるのが、木の葉の形をした白斑(皮膚の色が白くぬけた部分)です。 ナナカマドの葉と表現され、これは生ま れたときからすでにあるようです。先天性の病気のため完治させる治療、 あるいは進行を止める治療はない。この病気でいちばん大きな問題はてんかんで治療が必要。
4608 レクリングハウゼン病とは(れくりんぐはうぜんびょう) 先天性の病気で皮膚、神経、骨などの全身に異常、腫瘍が出現する。 この病気の約半数のは遺伝性(優性遺伝形式)が明らかにされている。頻度は、10万人に30〜40人といわれる。この病気のほとんどは、しみ、ソバカ スのような皮膚の色の変化で気づく。いちばん代表的なのは、カフェオレ斑 です。カフェオレ色のしみが5〜6歳に現れ、思春期頃に数が増える。そのほかに首、腋にはソバカス状の小さな色素斑も現れる。 カフェ才レ斑よりも遅れて、成人に達 してから現れる神経線維腫は、米粒大から卵大、ときに皮膚の一部がたれ下がるほど大きな腫瘍になる。やわらかく、 押すとへこむ感じがするもので、次第に数を増す。神経系の腫瘍が生じる。とくに聴神経に多く難聴、めまい、頭痛などの症状に注意し、脳神経外科、耳鼻科の診察。先天性のため、治療は困難。
4609 老人性疣贅とは/脂漏性角化症とは/老人性いぼとは(ろうじんせいゆうぜい、しろうせいかくかしょう、ろうじんせいいぼ) 50歳以降の男女にごく普通にみられる一種の皮膚の老人性変化で、皮膚における良性腫瘍の代表格。はじめ褐色〜黒色のアザが次第に隆起Lてくることが多い。ごくまれに悪性のものがあり、その場合は増悪Lたり転移したりする。一般には治療の必要はないと思われるが、繰り返し炎症をおこすものや悪性の疑いがあるものについては、治療を兼ねて切除の上、組織検査をする必要がある。
4610 アテロームとは/粉瘤とは(あてろーむ、ふんりゅう) 皮膚面から少し隆起する表面が平滑な、おできで、通常は痛み、かゆみは伴いない。しばしば二次感染をおこし、赤くなっ たり、はれたり、痛みを伴ったりする。表皮下への迷入によるもの、外傷後に表皮の一部が真皮内に陥入したもの、毛包(毛根の鞘)からなるものがあり、いずれも皮膚から皮下組織に嚢腫 (袋状の構造物)が形成され、それが徐々に増大して症状がでてくる。発生部位は、ほぼ全身にわたり、とくに顔面、躯幹に多い。圧迫すると悪臭を伴う粥状の内容物の排出がみられることもある。治療は嚢腫全体を外科手術で除去。炎 症や二次感染を伴っている場合は抗生物質を服用。
4611 ケロイドとは(けろいど) ケロイドとはひと言でいえば皮膚の肥大増殖です。瘢痕ケロイドと真性ケロイドに分類される。 前者は外傷の治癒や炎症が長びくため にできてくるとされ、誰にでもできるが、後者は、いわゆるケロイド体質が大 きく関与しているため、軽徴な外傷でも発症する。また類似のものとして肥厚性瘢痕がある。これは外傷後一時的には、隆起するが、数年以内に萎縮性の瘢痕となり、しばしば瘢痕拘縮をきたし、 機能障害やがん化の原因となることがある。治療はスポンジによる圧迫固定(初期)副腎皮質ホルモン剤の外用塗布や局所への注射、外科的切除が行われる。ことに拘縮を伴っているものでは、機能障害をおすので、積極的な治療ないし観察が必要。
4612 サーモンパッチとは(さーもんぱっち) 新生児期から乳児期に、前額中央部、 眉問、上眼瞼などにみられる。皮膚より隆起せず、境界がやや不鮮明な淡紅色の毛細血管拡張性紅斑で、自然消退傾向がある。新生児の20〜40%にみられ病因は不明。白然消退する。
4613 赤ブドウ酒様血管腫とは/赤ぶどう酒様血管腫とは(あかぶどうしゅようけっかんしゅ) 生下時より存在する皮膚面より隆起しない境界鮮明な紅斑。主として片側性に認め、色調が一様に赤ぶどう酒色である点でサーモンパッチと区別できる。大きさ、形ともさまざまで、一定の傾向ない。中年過ぎには隆起 してくることもある。病気の原因は不明。自然消退しない。治療は早期にドライアイス圧抵療法がよいといわる。その他、外科的手術、アルゴンレーザー療法などもある。広範囲のものや外科的適応でないものはカバーマークを用いる。
4614 いちご状血管腫とは(いちごじょうけっかんしゅ) 生下時もしくは生後1カ月以内に発症する結節状、腫瘤状に隆起する鮮紅色の血管腫。通常やわらかく、いちご様の表面細穎粒状で局所熱感がある。好発部位はとくにない。水平方向に拡大する傾向のもの(局面型)と、 垂直方向に増大するもの(腫瘤型)とが ある。 5〜6歳までに自然消退することが多 く、経過観察のみで、とくに積極的な治療は行わないのが原則。ただし、100%消退するとは限らない。消退しないものは積極的治療が必要。治療法としてはホルモンの内服、局注も行うこともある。
4615 くも状血管腫とは(くもじょうけっかんしゅ) あたかも、くものようにみえるもので、 中央部に小さな紅い結節があり、その周囲に毛細血管の細い枝が放射状に広がったものを言う。直径は1.5cmまでです。自覚症状は全くない。一つだけでることもあるが、数が多いこともある。とくにたくさんできた場合は、肝硬変 など慢性肝障害に伴うことが多い。また妊娠中に現れることもある。この場合出産後に消失することもある。好発部位は、顔、頸部、胸部や手背など。 慢性肝障害によるものでは、肝におけるエストロゲンの不活化が障害されるためと考えられてる。手掌紅斑や女性化乳房、腋毛、陰毛が少なくなることも慢性肝障害でみられるが、これが原因と思われる。一定はしてないが、徐々に増えることが多い。治療は電気焼灼術がよく用いられる。何回も再発するものは切除することもある。放置しても問題ないので、放置することもある。
4616 がん前駆症とは/癌前駆症とは(がんぜんくしょう) がん前駆症の段階では、がん細胞はすでに発生しているがこのがん細胞は、幸い皮膚の表面の表皮の中に限局した状態にある。いわゆる表皮内がんの状態です。したがってこの時点では遠隔転移は起さない。がんといっても早期で完全に治る。原因は不明。
ボーエン病の
口腔や外陰部の粘膜におこると、そこの粘膜が白くふやける。いわゆる白板症の状態です。バイプタバコや義歯が原因となることもある。
日光角化症(老人性角化症)
長年日光にあたった皮膚にできます。日光の紫外線が原因です。
どのがん前駆症も、その発育は大変ゆっくりしている。数年もかかってやっと3〜5cm,くらいになる。白覚症状 がなく、発育(拡大)がゆっくりしていることから見逃されやすい。ボーエン病は体のどこにでもできるが、日光角化症は日光にあたる部分(顔、 頸、手背)にのみ、ぺ-ジェット病は中年女性の乳輸か、老人の外陰部に発生する。いずれもジクジクしてかゆみがあるため、かぶれ(乳輪)やいんきん(外陰部)と思い違いされやすい。治療は皮膚科の専門医の診断が必要。
4617 皮膚癌とは/皮膚がんとは(ひふがん) 皮膚がんは典型的ながんの一つ。有棘細胞がんは、悪性で遠隔転移もおこす。その結果、生命への危険度が増す。基底細胞がんは、がんと いう名前はつくが、その本質は 大変おとなしい。少々大きくなっても3cmくらいでは、転移はまずおこさない。適切な治療を受ければ完全治癒も期待される。原因は不明だが、がんが発生する下地(がんの発生母地)はある。有棘細胞がんの多くは、昔の熱傷や交通外傷のあとなどの古傷あとから出てくる。瘢痕ができてから20年くらい たつとがんが発生しやすくなる。小児のときに大やけどをすると成人期 にがんが出やすく、青年期の交通外傷の傷あとでは中年以降にがんが発生しやすくなる。放射線照射部位では、これより短い期間(10年)、日光紫外線ではずいぶん後で(50年後)がんが発生しやすくなる。基底細胞がんの多くは、長年日光にあたった顔の中央部に発生する。白覚症状はない。適切な治療により完全治癒も十分 期待される。
4618 皮膚悪性リンパ腫とは(ひふあくせいりんぱしゅ) 皮膚の中にあるリンバ球(白血球の一 種)が悪性化したもの。リンバ球の”がん"です。 皮膚は人体全体を包んでいる。そ して外からの様々な有害な刺激が内臓にまで及ばないように防御している。この防御の中の一つの大きな役目が、リンバ球が主役を演じている免疫です。し たがって、皮膚全体が一つの大きなリンバ節とも考えることができる。皮膚に何らかの刺激が加わると、良性のリンバ球が悪性化すると考えられる。したがって悪性リンバ腫は、いわゆるリ ンバ節から出るだけでなく、皮膚からも発生する。原因のはっきりわかっている悪性リンバ腫に、成人T細胞白血病がある。原因はHTLV-1というウイ ルスがリンバ球へ感染することによりおこる。何年も続く、出没する湿疹の型、全身 の皮膚が紅くなり、皮膚がポロポロとむける紅皮症型、直径1〜3cmの結節がポコボコできる菌状息肉腫型、細かい紅い斑点や環状になる型など多彩です。湿疹、紅皮症型を除き、一般には痛みやかゆみを伴なわない。悪性リンパ腫に特異的なものはない。従って診断のためには、皮膚 の一部を切除(生検)し、それを顕徴鏡で見る、いわゆる病理組織検査が不可欠。 治療は薬剤療法が一般的です。電子線、放射線、紫外線照射も効果がある。
4619 悪性黒色腫とは(あくせいこくしょくしゅ) いわゆるほくろのがんである本症は、大変悪性です。遠隔転移をおこしやすく、 抗がん療法に抵抗する。原因は不明。手足に発生する悪性黒色腫は有色人種に多く、白色人種では少ない。症状のない褐色斑(しみ)が現れ、これが年月とともに少しずつ大きくなる (2cm大になるのに数年かかる)。 この型は掌蹠、爪甲下(爪の黒い縦線状)、粘膜部に発生しやすい。直径が1cm,を超えると、その表面 がやや凹凸してくる。この時点で切除すると、完治も十分可能。 体幹、四肢からは、小児期からあるほくろがだんだん大きく盛り上ってくる結節型が多く、この型は色が真っ黒いのが一般的。治療はやや大きめに切除することが大切。転移があっても、リンバ節にとどまっている場合は、完治も可能。
4620 疥癬とは(かいせん) ヒト疥癬虫(ヒトヒゼンダニ)と呼ばれるダニが、皮膚の最表面である角質層に寄生するため、全身あちこちがかゆくなる。疥癬虫はメス虫が皮膚の角層内にもぐり込み卵を生む。簡単な顕微鏡検査によって虫体(体長0.4mm)や虫卵を確認することができる。感染力か強く、男女問の性的銭触のほか、家族内感梁、療養所や病院内の入院患者間、あるいは医療従事者にも容易に感染する。 治療は入浴を徹底すること。入浴時はムトウハップを薄めたものでよく洗う。入浴できない場合は清拭を徹底し、衣類や寝具を清潔にする。外用剤としてはクロタミ トン(オイラックス軟膏)、安息香酸ベ ンジルやリンデン(rBHC)などがある。
4621 毒蛾・毛虫による皮膚炎とは(どくが、けむし、ひふえん) 蛾や蝶による皮膚炎は成虫の鱗粉に よってアレルギー性におこる場合と、幼虫(毛虫)期に生ずる毒毛によって発症する場合とがある。日本に分布するチャドクガ、モンシロドクガなどの有毒蛾には毒針毛がある。それが人の皮膚に刺入すると、毒針毛の内腔にある毒液が作用してチクチクする痛みと強いかゆみをおこす。刺し口は点状の紅斑となり、じんま疹様の膨疹となることが多く、小水疱となることもある。治療は抗ヒスタミン剤の内服と副腎皮質ステロイド剤の外用がよく行われる。
4622 円形脱毛症とは(えんけいだつもうしょう) どのような病気か たいてい本人が気づかないうちに部分的な円い脱毛病巣ができる。単発型 は一個のみ病巣ができ多発型は次々に新Lい脱毛部が何箇所もできる。多くは頭におこるが、顔、体や四肢にもできる。ときには頭全体、 さらに全身の毛がほとんど抜ける。これらを全頭型、全身型という。本症は伝染しない。脱毛が進むとき、皮膚の中では毛根が萎縮して十分な毛をつくれない状態になる。原因は不明ですが、円く脱毛するので、 その部分に分布する血管の異常が関係しているかもしれない。精神的なストレスが誘因もある。単発型は自然に治り、多発型や全身型は難治です。病巣の治療に、ドライアイス圧抵法、副腎皮質ホルモンの外用や局所注射、紫外線照射法、SADBEという物質を用いてかぶれさせる局所免疫療法などがある。抗生物質の内服。広範囲な脱毛で難治な例 には局所免疫療法が最も効果がある。
4623 壮年性脱毛症とは(そうねんせいだつもうしょう) 早いときは男性で20才代から前頭部の生え際や頭頂部から髪がうすくなる。しかし、本当に髪がなくなるのではなく、生え変わるうちに細く短いうぶ毛のようになる。男性型脱毛症やアンドロゲン性脱毛症ともいい、男性ホルモソの作用とみられるが、なりやすさは遺伝による。男性ホルモンが多いと、ひげ、胸毛や性毛は太く長く前頭や頭頂の毛は細く短 くなる。病気とはいえず、治療法はない。いろいろな育毛剤が市販されているが、 それほど効果はない。まれに女性がなると、男性ホルモン過剰症の可能性がり皮膚科専門医と要相談。
4624 抜毛狂とは/トリコチロマニアとは(ばつもうきょう、とりこちろまにあ) 学童期に家庭や学校内の精神的ストレスが引き金になることが多い。本人が意識していても、自分から家人に言いません。 頭髪の一部を指でつまんで抜き、病巣は不規則な形で切れ毛と正常の毛が入り 混じる。治療は医師が穏やかに尋ねると、たいてい患児は抜毛の行為を認める。温かい家庭内の環境づくりが必要。もし抜いていたり、髪に触ったりしていても、叱らずにそれとなく注意する。なかな か行為をやめられない場合は、精神心理学的検査や精神科専門医の指導が必要。
4625 多汗症とは(たかんしょう) 汗は通常、全身に分布するエクリソ腺 から分泌される。発汗には大きく分けて湿熱発汗、精神性発汗、味覚性発汗の三つがある。
1)温熟発汗
体温を調節するための発汗であり、全身におこる。すなわち全身性多汗症などはわずかな湿熟や運動で強く発汗する状態をいう。
2)精神性発汗
精神性発汗は精神的な緊張でおこる発汗のことで、手に汗を握るとか、冷汗をかくという表現のときにみられる。局所性多汗症はちょっとした精神性緊張で強く手掌、足底、腋窩に発汗することをいい、これは先天的、遺伝的な傾向がみられる。
3)味覚性発汗
香幸料とか熱い食べ物をとったときに主
として顔や頭にみられる発汗であり、とくに強く発汗する場合に局所性多汗症と言える。全身性多汗症の大部分はその人の体質による。
治療:大部分のものは放置してもかまわない。 全身性の多汗症では基礎疾患の発見と治療が必要。精神の安静、タバコ、アル コール、香辛料の飲みすぎ食べすぎを慎む。薬物療法としては精神安定剤や交感神経遮断剤が有効ですが、 効果は一時的。局所多汗症では頻繁に手などを洗い、 20%塩化アルミニウム溶液を塗ると効果がある。皮膚科では手足の多汗症に対し軽い通電によるイオントフォレーゼでの治療も可能。
4626 汗疹とは/あせもとは(かんしん、あせも) 汗疹には白いあせもと赤いあせもがあり、赤いあせもは表皮の中で管が破れ、かゆみが強くなる。あせもが皮膚の深いところでおこると全身症状を表す熱射病を引き起こす危険性がある。この場合の皮疹は発赤がなく、かゆみがない丘疹が特徴。白い水疱性のあせもは皮膚表面の角質層の中で管が破れて汗がたまった場合で、水晶様汗疹という名で呼ばれるように、 すき透ってキラキラ光った小さい水抱が多数でる。
いずれの汗疹もエクリン汗腺の排泄で 汗が詰まって途中で管が破れて汗が皮膚内に貯溜するためにおこる病気。 とくに汗がなかなか蒸発できない体の屈曲部位、すなわち肥満した人の頸、腋窩、乳房下部、バンド部、陰股部に発生 しやすい。
治療:表在性のものは汗をよく洗い流し、涼しいところで過ごす。さらに副腎皮質ホルモン軟膏で水分の吸収のよいプラスチベース基剤のものを塗布する。熱射病は、管が表皮直下で破れ、 汗が深くたまった場合にもおこることがある。この場合は涼しいと ころに移し、電解質の点滴など、医師に よる救急処置が必要。
4627 汗疱とは(かんぽう) 汗が角質または表皮内に貯溜すること が原因と考えられる。通常は1〜2週のうちに治癒する。四季を問わず常に出没を繰り返すものもある。手のひら、足底に小水庖が多発し、1〜2日のうちに吸収されたり、破れてその周辺に薄い膜(鱗屑)をつくる。一種のあせもとも考えられ、精神性発汗の強い人(局所多汗症)に出やすくなる。
治療:局所多汗症の人は頻繁に手を洗い、20%塩化アルミニウム溶液の塗布が必要。さらに5%サルチル酸ワセリン軟膏を塗布し、角質層をやわらかくし、汗がスムーズにでるようにする。湿疹化したときは副腎皮質ホルモン軟膏を塗布。全身的療法として精神安定剤や交感神経遮断剤の内服。
4628 日本脳炎とは(にっぽんのうえん) 日本脳炎は日本脳炎ウイルスをもった豚を刺した蚊(コガタアカイエカ)が人を刺すことで感染する。動物と人の両方に感染(人畜共通感染症)する。日本脳炎ウイルスは人から人へは感染しない。感染者のうち1000人〜5000人に1人が脳炎を発症する。脳炎のほか髄膜炎や夏かぜ様の症状で終わる人もある。脳炎の死亡率は約15%ですが、神経の後遺症を残す人が約50%ある。日本では予防接種の普及でほとんど発症者はないが、西日本など暖かい地方で5歳未満の子供と高齢者が感染し注意が必要。ウイルスを媒介する蚊がいる中国や東南アジアなど亜熱帯地方では流行がみられる。この地域に行くときはワクチン接種をすませておく。症状はぐったりしている、ボーッとしていて反応が鈍い、ウトウト寝てばかりいる、などといった意識障害がおもな症状です。場合によってはけいれんが起こることがある。また、発熱や嘔吐、頭痛を伴うこともある。
ワクチン接種:第1期は標準として3歳のときに1〜4週間隔に2回接種、概ね1年後、4歳のときに追加として1回接種。第2期は9歳で1回接種。
4629 急性灰白髄炎とは/ポリオとは(きゅうせいかいはくずいえん、ぽりお) ポリオはウイルス感染によって、脊髄神経の灰白質部分が病変を起こす。ポリオウイルスの感染が原因で起こる法定伝染病である。
症状:潜伏期間は1〜2週間。 ・発熱、頭痛、手足の麻痺。悪化すると死亡する場合もある。
治療:かつては、幼児に多発したが、予防接種によって、発症は減少した。海外に行く場合は予防接種をする必要がある。
4630 流行性髄膜炎とは/急性脳脊髄膜炎とは(りゅうこうせいずいまくえん、きゅうせいのうせきずいまくえん) 流行性髄膜炎について髄膜炎菌性髄膜炎ワクチン(日本では接種できません)がある。 この病気は髄膜炎菌による病気で、飛沫感染により、ヒトからヒトへ広がる。わが国では稀ですが、欧米では局地的小流行が繰り返される。主に小児が感染しますが、大人も感染し、適切な治療を行わないと死亡する。サハラ砂漠の南に髄膜炎ベルトと呼ばれるA群菌による流行地があり、毎年、12月から6月までの乾季に多発する。 メッカ巡礼者の間にも流行があり、予防接種証明書が要求される。ペニシリンGなどで治療するが、耐性菌の出現のためにワクチンが注目される。数種類のワクチンが作られていて、流行地の菌の血清型により選んで使用する。予防はワクチンを接種すること、埃が舞い上がる乾季に人ごみに出かけないこと、帰宅したらウガイをすることなど。
4631 結核性髄膜炎とは(けっかくせいずいまくえん) 肺、リンパ腺、骨結核などに続発することが多く、結核菌が血行性または近接の結核病巣から波及して、脳内の髄膜に感染して炎症をおこす。結核性髄膜炎の病変は脳底部(大脳巣脳幹部の下面)にとくに多い。このため脳神経がおかされ脳神経まひをおこす。発病は緩慢で易疲労感などの前駆期が2〜3週問続き、発熱、頭痛、嘔吐などの髄膜刺激症状が出現して発症する。早くから出現する脳神経症状としては複視、顔面神経まひなどの神経まひがある。続いてけいれん、片まひ、意識障害が出現する。
治療:できるだけ早期に抗結核薬を投与する。髄膜の癒着を防ぐために副腎皮質ホルモンを使用することもある。
4632 真菌性髄膜炎とは(しんきんせいずいまくえん) 真菌(カピ)によっておこる髄膜炎。体の防御機能が低下している状態(がんの末期、エイズなど)におきるが、ときには健康な人にもおきる。カビによる髄膜炎の原因菌としてはクリプトコッカスが最も頻度が高く、次いでカンジダ、アスペルギルスの順で、ほかにノカルジア、ヒストブラズマなどがある。
感冒様症状が前駆し、頭痛をもって徐々に発症する。髄膜刺激症状のほか 脳神経症状(複視、聴力障害など)、片まひ、失語などをおこすこともある。
クリプトコッカスの場合、クリブトコ ッカスは主として鳥類(とくに鳩)排泄物が気道を介して肺内に入り肺感染巣が形成される。防御機能低下により菌は血中に入り、脳内に入り髄膜炎をおこす。最近、HIV感染症の経過中、免疫力の低下によってクリプトコッカス髄膜炎でのエイズ発症の増加が注目される。
治療:抗真菌薬(アムホテリシンB、ミコナゾールなど)を、診断がついたらただ に投与する。経口、静脈注射あるいは 髄液中に投与して救命できるようになったが、治療の難しい病気。
4633 ウイルス性髄膜炎とは/無菌性尾髄膜炎とは(ういるすせいずいまくえん、むきんせいずいまくえん) 各種ウイルスで髄膜炎をおこすが、とくに、子どもに多く、春は流行性耳下腺炎ウイルス、初夏から秋にかけてはコクサッキーウイルス、エコーウイルスなどの夏かぜに伴うことが注目される。ウイルス判明例では、エンテロウイル スが最も多い。
4634 ジフテリアとは(じふてりあ) ジフテリアはジフテリア菌による感染症で、法廷伝染病である。幼児に多発する。伝染性が強く死亡の危険があるが、予防接種によって減少した。
症状:潜伏期間は1週間以内である。
のど:高熱、扁桃、リンパ節の腫れ、咳、呼吸困難、心臓の筋肉に影響
鼻:鼻づまり、扁桃から耳までの炎症
肺炎、血圧低下、心不全等を併発することもある。神経麻痺の後遺症が残ることがある。
治療:抗生物質、抗血清を使う。三種混合ワクチンで予防できる。
4635 百日咳とは(ひゃくにちぜき) 顔を真っ赤にして激しくせき込む発作が1ヵ月以上も続く病気。
原因:百日咳菌の飛沫感染が原因でおこる病気。潜伏期は1〜2週間で、この病気はお母さんから免疫をほとんどもらえないので、新生児でもかかることがある。
症状:くしゃみ、鼻水、咳、微熱など普通の風邪と同じ様な症状が約1〜2週間続いた後、次第にせき込みが見られるようになる。このせき込みはレプリーゼと呼ばれ、顔を真っ赤にしてコンコンと激しくせき込み、最後にヒューッと音を立てて大きく息を吸う発作です。1回の発作は2〜3分ですが、1日に数回〜数十回(夜間に多い)見られ、2〜3週間続く。6カ月未満の赤ちゃんでは咳の発作で呼吸が止まってしまうことがあり、入院が必要。
診断:上記の特有の症状からこの病気ではないかとの疑いを持ち、抗百日咳抗体価をはかることで診断が確定。 
治療:咳止めと初期には百日咳に有効な抗生物質を使用。
4636 細菌性赤痢とは(さいきんせいせきり) 細菌性赤痢は赤痢菌が大腸で繁殖し、粘膜に潰瘍ができるものである。原因は赤痢菌が、食べ物や水から体内に入ることで起こる。2類感染症である。東南アジア等からの輸入感染が増加している。症状:潜伏期間は5日以内である。食欲不振、高熱 、下腹部の痛み、下痢など。
治療:抗生物質を投与し、食事療法を実施。
4637 腸チフスとは/パラチフスとは(ちょうちふす、ぱらちふす) 腸チフス・パラチフスは腸チフス菌、パタチフスA菌の感染で、全身に病変を起こすもの。
原因:保菌者の便、尿から排泄された腸チフス菌が食べ物や水を汚染し、口から入って発症。この菌が肝臓、脾臓で増殖、小腸で潰瘍をつくる等の病変を起こす。死の危険があるが、発症率は減少している。
症状:発熱 、下痢、倦怠感、食欲不振、口の渇き、赤い発疹、肝臓、脾臓の腫れ
重症例:意識障害、便秘、下痢
全身に病変が及び、骨髄炎、腎盂腎炎、肺炎等の併発もある。
治療:ニューキノロン剤、抗生物質のクロラムフェニコール等を投与。
4638 コレラとは(これら) コレラはコレラ菌が小腸で繁殖して起こる感染症である。
原因:コレラ菌が口から入り、小腸で繁殖するのが原因。2類感染症で、多くは海外で感染する。
症状:
エルトール型コレラ(軽症)はひどい下痢
潜伏期間が数時間〜1週間である。
嘔吐と激しい下痢 、水様便 、脱水症状、呼吸が速まる、脈拍が弱まる、手足が冷たくなるなど。
治療:輸液やブドウ糖で脱水症状の治療をし、抗生物質を投与する。
4639 ワイル病とはレプトスピラ症とは(わいるびょう、れぷとすぴらしょう) ワイル病は、黄疸出血性レプトスピラが感染する病気。
原因:スピロヘータの一種の黄疸出血性レプスピラが犬やネズミに感染し、その尿に汚染された水を通して人間に感染する。
症状:黄疸、出血傾向、タンパク尿、高熱、吐き気 、嘔吐、筋肉痛、結膜充血など。 進行により、腎不全、心不全が起こる。
治療:抗生物質を早期に投与するのが有効。合併症のある場合、その治療をする。
4640 風疹とは/三日はしかとは(ふうしん、みっかばしか) 風疹は感染によって発疹が出る。
原因 :唾液による飛沫感染で発症。潜伏期間は2〜3週間。3〜10歳くらいの小児に多い。
症状:発熱、鼻炎、頭痛、目の充血 ・全身にピンクの発疹など。 発疹は、まず耳の後ろに出、次に顔、手足等に出る。
治療:自然に数日で治癒する(三日はしか)。一度かかれば、一生免疫ができる。ただし妊婦が罹患すると、先天性の障害を持つ子供が生まれる可能性がある。予防接種によって予防できる。
4641 麻疹とは/はしかとは(ましん、はしか) 病原体は麻疹ウイルスで、感染経路は飛沫感染。 潜伏期間は9〜11日、感染期間は発病1〜2日前から発疹出現4〜5日後、好発年齢は乳幼児期。症状:カタル期、発疹期、回復期の3期に分けられます。
カタル期
38度前後の発熱、咳、鼻汁などがみられ、この時期には通常の風邪とは見分けがつかない。
カタル期は3日ほどで終わるが、最後の方で一度熱が下がりかける。この頃に、頬粘膜のところをよく見るとはしかに特徴的な「コプリック斑」という小さなブツブツがみられるようになる。
発疹期
一度下がりかけていた熱が、再び高くなり、それと前後して赤い発疹がまず耳の後ろや首や顔に、やがて下の方に広がっていって全身に出現してくる。発疹期は4〜5日ですが、この間がはしかで最もきつい時期。熱が下がりはじめると回復期です。
回復期
赤かった発疹も次第に黒ずんできて、色素沈着を残して消退し、全身状態も回復する。
4642 突発性発疹とは/小児バラ疹とは(とっぱつせいほっしん、しょうにばらしん) 突発性発疹とは乳児やごく幼い小児に起こる感染性のウイルス感染症で、高熱が出た後に発疹が出る。突発性発疹は春と秋に最もよく起こり、ときには局地的な流行がみられる。通常、原因はヘルペスウイルス6ですが、これは沢山あるヘルペスウイルスの1種です。突発性発疹を発症する子供の大半は6カ月齢から3歳。感染後約5〜15日で症状が現れる。約40℃の熱が突然出て、3〜5日間続く。5〜15%の子供では高熱のためにけいれんが起こすが、これは特に熱が急に出てすぐに下がる際に起こる。高熱にもかかわらず、子供は普通元気で活発です。軽度の鼻水、のどの痛み、胃のむかつきなどがみられる子供もいる。頭の後ろ、首の横、耳の後ろのリンパ節が腫れることもある。熱は普通4日目には下がる。子供の約30%では、熱が下がってから数時間後、遅くとも1日以内に発疹が現れる。この発疹は赤くて平らですが、部分的に盛り上がることもあり、ほとんどは胸部と腹部にできて、顔面や腕、脚にはあまり広がらない。発疹にはかゆみはなく、数時間から2日で消える。 発熱はアセトアミノフェンかイブプロフェンで治療。けいれんと発疹には、特別な治療は不要。
4643 伝染性単核症とは(でんせんせいたんかくしょう) 伝染性単核症とは発熱が続き全身リンパ節がはれる病気です。幼児から年長児までみられる。年齢が大きい子どもの方が多い。
原因:主にEB(エプスタイン・バー)ウイルスがというウイルスが感染して起こる病気。サイトメガロウイルスというウイルスによって起こることもある。
症状:発熱するが、かなり長く続くことが多い。咽頭痛があり、強い扁桃腺炎がかなり見られる。扁桃腺には白い膜のようなものがみられることがある。ほぼ同時に頚部リンパ節、後頭部リンパ節、また全身のリンパ節が腫れます。 鼻閉や鼻声になることがある。その他、肝臓や脾臓がはれ、発疹、黄疸がみられることもあり、まれには中枢神経の合併症を起こし意識障害が出現することもある。
診断:血液中に異型リンパ球といわれる単核の細胞が増えてくるためにこのような名前がある。 EBウイルスの血液中抗体を測定し、確定診断する。
治療:特別な治療はない。抗生物質も効果がない。多くは2週から4週にかけて、自然に治癒する。 合併症として、肝炎によって肝機能異常を示すことがかなりあり、この場合肝炎の治療を行うが、自然に回復する。
4644 水痘とは(すいとう) 病原体は水痘・帯状疱疹ウイルスvaricella-zoster virus(VZV)で感染経路は飛沫感染。気道からのウイルス以外に水疱内のウイルスも感染源となる。潜伏期間は10〜21日(多くは14〜16日)で感染期間は発疹出現1〜2日前から水疱が痂皮化するまでの7〜10日程度。 好発年齢は乳幼児・学童で性差なし。
症状:発疹は皮膚が赤くなる数mmから1cm程度の紅斑が最初にでき、2〜3日の間にそれが水疱となり、やがて痂皮という黒いカサブタができる。発疹は3日くらいの間に急速に増え、その後はあまり増えなくなる。全身に多い時には数百もの発疹ができる。顔や体にたくさんできるが、手足には比較的少ない。頭の中や口の中、陰部にもできる。細菌に感染すると膿疱という膿をもつこともある。純粋な水ぼうそうの発疹であれば、やや時間がかかるもののいずれ消える。しかし、細菌感染を発疹のところに合併すると、瘢痕を残すことが多い。発熱は発疹が増えてくる時に70%の人にみられるが、通常は1〜2日で解熱する。季節的には1年間を通して発症がみられるが、冬から春にかけて比較的多い。伝染力は麻疹に次いで強く、不顕性感染もほとんどない。母親が抗体を持っている場合は、赤ちゃんは生後6ヵ月くらいまでは母親の移行抗体を有しており、感染は防御される。移行抗体の量が少ない時には発病するが、その場合も通常よりもかなり軽症で経過する。一度感染すると、終生免疫が獲得できる。
治療:発疹には軟膏を塗布。かゆみには抗ヒスタミン剤を処方。また、水痘の原因療法として内服薬の抗ウイルス剤を使用。発症後3日以内に投与開始することで発熱や発疹数の軽減、治癒までの時間の短縮などの軽症化が期待できる。新生児や免疫不全の方の場合は、抗ウイルス剤を静脈注射。二次性の細菌感染を伴った場合は抗生剤を使用。
4645 猩紅熱とは(しょうこうねつ) 猩紅熱は菌がのど等に感染して起こる病気。
原因 :溶連菌ののど等への感染で起きる。3歳〜9歳ぐらいに多発する。急性糸球体腎炎、リウマチ熱を合併することがある。
症状:潜伏期間は1週間以内である。
高熱、のどの痛み 、リンパ節の腫れ、舌が赤くなる、全身に赤い発疹など。 発疹は1週間程度で消え、熱も下がる。
治療:抗菌薬を使う。
4646 狂犬病とは(きょうけんびょう) 狂犬病ウイルスによって起こり、人を含めた全ての温血動物が感染する。 発症した動物の唾液中にはウイルスが含まれ、咬まれることによって感染。ウイルスは傷口近くの神経を伝って脳へ侵入し、興奮、麻痺、けいれん等の症状を起こす。人では水を飲もうとするとけいれんを起こすために恐水症と呼ばれることもある。この病気は発病してからでは有効な治療方法がなく、ほぼ100%死亡するが、ワクチンで予防することができるので、ワクチン接種は狂犬病の予防対策には非常に重要。日本では昭和25年に制定された狂犬病予防法によって、国内の犬の登録及びワクチン接種と輸出入時の検疫が義務づけられてきた。このため昭和32年以降国内では狂犬病の発生はない。一方、海外に目を転じると、依然として多くの国で、人、犬、猫、家畜やあらいぐま、きつね、スカンクなどの野生動物の感染が報告されている。近年のペットブームなどによりこれらの動物を身近に飼う人が増え、狂犬病が日本に侵入した場合、人に感染する危険性もますます大きくなってきている。
4647 破傷風とは(はしょうふう) 破傷風とは急性感染症のひとつで、土や動物の糞などにいる破傷風菌に感染することにより起こる。感染した人の半数が死亡するが、伝染性はない。原因:破傷風は、傷口から土や動物の糞にいる破傷風菌が入り込んで繁殖し、毒素を出して末梢神経や脊髄前角細胞をおかすことで起こる。
症状:数日から数ヵ月の潜伏期間後、全身の筋肉が痙攣することによる諸症状が見られる。
1.首が張る、不眠、全身の倦怠感など。
2.口が開けにくくなり、物を飲み込むことや言葉を発することが困難になる。
3.排尿や排便が困難になる
4.胸や腹から全身にかけての筋肉がひどい痙攣(けいれん)発作を起こすようになる。
5.呼吸困難や心臓衰弱などにより死亡する。
治療:破傷風の治療は抗毒素血清や抗生物質の投与などがある。また、外傷を受けてすぐにワクチンを接種することにより、破傷風の発症を予防することができる。
4648 痘瘡とは/天然痘とは(とうそう、てんねんとう) 1967年以来WHO(世界保健機関)が中心となって全世界で種痘(痘瘡の予防接種)を推し進めた結果、1977年を最後に痘瘡(天然痘)の患者は出現していない。日本では1976年に定期の予防接種ではなくなりました。痘瘡(天然痘)の病原体はvariola virusというウイルスです。予防のためには種痘と呼ばれる予防接種がある。痘瘡(天然痘)の病原体のウイルスに接触してから4日以内に種痘(痘瘡の予防接種)を行えば、症状が軽くなったり、(昔,種痘を受けたヒトでは)発病を抑えたりする効果が期待でき。
4649 ペストとは(ぺすと) ペスト菌に感染して発症。ペスト菌保有の齧歯類に付着しているケオピスネズミノミなどのノミ類がペスト菌を媒介する。ヒトに感染し(腺ペスト)、 さらにヒトからヒトヘ感染する(肺ペス ト)場合がある。ときには感染動物 のうみから感染することもある。法定伝染病および検疫伝染病です。日本では、1926年の発生例が最後 で、その後の報告はない。
腺ペストは通常みられる病型で、潜伏期は2〜6日です。感染部位の所属リンパ節が痛みを伴って腫脹し自潰するほか、二次的に菌血症をおこして髄膜炎などを併発する。 肺ペストは伝染性が強く、血痰を伴い重篤な肺炎の型をとる。肺炎をおこ すと、短期間で死亡。潜伏期は通常は2〜4日。診断に際しては、問診などで流行地域の旅行歴、居住歴、ネズミとの接触歴、 ノミに刺された既往歴などを十分に聴取して参考とする。検査は、病変リンパ節の穿刺液、血液、喀疲、咽頭分泌液の堵養・塗抹検査などを行って、菌を検出。
治療:早い時期にストレブトマイシンやテトラサイクリソを投与するが、とくに8〜24時間以内に投与すると、予後は比較的良い。
予防:日本には存在しないので、検疫を徹底 させ、外国からの侵入を防ぐ。侵入の恐れがある地域では、 ネズミの駆除に努め、侵入したと書は早 ら、ただちに隔離。
4650 ラッサ熱とは(らっさねつ) 西アフリカ・ナイジュリアのラッサにおける1969年の報告例が最初で、西アフリカの諸国にみられる病気。ラッサウイルスの感染が原因です。マストミネズミが媒介するが、長期問保有して唾液や尿中に排泄し、汚染された物を介Lて感染する。ヒトヘの感染は傷口からの経皮感染が主で、接触感染や飛沫感染もある。日本では指定伝染病。頭痛、発熱、全身倦怠感、せき、下痢、 腹痛、腰痛などではじまり、口の中やのどに潰瘍ができ、リソバ節がはれる。重症例では胸水貯溜、ショック、心不全、腎不全の徴候が現れ、意識混濁を来す。
治療:患者の血液、血清、咽頭ぬぐい液、尿、 胸水、剖検時の病変臓器などからウイルスの分離はでき、第3週以降には血清に抗体を検出。 しかしきわめて危険なウイルスなので、抗体検出を含め、このようなことが扱えるのは世界でも特別な研究所だけです。 潜伏期は1〜2週間とされるが、治療法は確立されていないので、患者は隔離する必要がある。なお回復期の患者の血清が治療には有効とされている。