Namazu: [説明]

         Q&A本文(No4051-4200)

No
Q(お客の質問) A(答え)
4051 ペプタイド(ペプタイド)とは ペプタイド(ペプタイド)とは、2個以上のアミノ酸が結合して出来た化合物の総称です。
4052 エマルジョンとは エマルジョンとは、乳濁液ともいわれ液中に混じりあわない他の液体が微細粒子となって、分散、浮遊している混合物。 エマルジョンは、水と油の混合物に、分離を防ぐための乳化剤を加え、安定させた混合物.。用途は化粧品用、繊維加工用、食品添加用など幅広い分野にわたる。
4053 肺塞栓症とは(はいそくせんしょう) 肺塞栓症とは血管を詰まらすようなものが静脈血流にのって肺動脈あるいはその分枝を閉塞し肺循環障害を起こす病態です。原因としては、最近「エコノミークラス症候群」として知られる病態のように下肢の深部静脈にできた血栓が大部分を占め、他には骨折により放出される脂肪組織や羊水・空気等があります。急性の場合は突然の呼吸困難が多く、全身倦怠感、胸部痛やときに失神を起こすこともあります。慢性の場合は労作時息切れが多く、ときには咳・血痰も認められます。治療はすぐに血栓の溶解を図り、カテーテルで吸い出すことや、大きいものは外科的に取り払うこ。予防的には下大静脈にフィルターを入れる。
4054 肺気腫とは(はいきしゅ) 肺には何億個もの肺胞がぶどうの房のようについていて、絶えず伸縮を繰り返しながら空気の出し入れをする。この肺胞を包むように微細な血管が呼吸で吸い込んだ新鮮な空気から血液中に酸素を取り込み、いらなくなった二酸化炭素と入れかえるというガス交換が行われる。  
肺気腫とは、肺胞の細胞が壊れて弾力性がなくなり、小さな肺胞がどんどん膨れて肺胞どうしの境界線がしだいになくなり、隣り合った肺胞がどんどん合わさっていき、いずれ大きな気腔を形成し、ガス交換ができにくくなる病気です。症状は、息切れ、呼吸困難で、入浴中や労作時に強まる傾向がまず最初に現れ、咳、痰、むくみ、頭痛のほか、バチ状指やチアノーゼが現れることもある。
4055 塵肺症とは/じん肺症とは(じんぱいしょう) 粉塵による肺の線維性増殖性変化を総称して塵肺症という。 直径が2μm以下の粉塵では肺胞にまで到達し、炭粉以外のほとんどの粉塵は肺胞マクロファージに取り込ま れるが、リソゾームで分解されないため、マクロファージの崩壊とともに漏出される。 これが周辺組織の繊維性増殖を促進し、肉芽腫が形成される。
1.種類
1)珪肺症 silicosis
遊離の珪酸は石英やメノウなどに含まれており、トンネル掘削や陶磁器原料の混合などで暴露される。 特に結核を合併することが多い。
2)炭粉沈着症,炭肺 anthracosis
3)アスベスト症
アスベストは自動車のブレーキや建築資材に多用されてきた。悪性中皮腫を合併することがある。
4)溶接工肺
アーク溶接作業において高温環境で粉塵化した酸化鉄を吸入して生じる。
5)セメント肺
セメントの袋詰め作業で酸化カルシウムを吸入して生じる。
6)ベリリウム症 berylliosis
過敏性肺炎,ベリリウム肉芽腫を合併する。
2.症状
乾性咳嗽、聴診で捻髪音 fine crackle
4056 肺サルコイドーシスとは サルコイド肉芽腫が全身の臓器にできる疾患で原因は不明。罹患部位では肺病変が95%以上で目、皮膚、表在リンパ腫にもみかける。
4057 自然気胸とは(しぜんききょう) 自然気胸は肺に突然穴が開き、空気が胸腔内に漏れて肺が圧迫されて縮んでしまう病気で、突然かなり激しい胸の痛みに襲われ、息苦しさや咳などの症状を伴う。両側の肺に同時に起きれば命に関わることもありますが、そういったケースは稀で、たいていは片側の肺に起きる。
4058 縦隔炎とは(じゅうかくえん) 縦隔炎は、左右の肺の間である縦隔に炎症が起きる症状である。 原因は誤飲や食道がん、胃カメラ等の医療行為時に、食道が損傷して発症する。結核等の感染症が原因となって慢性化することもある。 症状はショック 、激しい胸痛、高熱、悪寒、咳 、呼吸困難、胸部圧迫感、喘鳴など。治療は慢性の場合は、感染症の治療となるが、急性のときは、大量の抗生物質を投与して膿を除去する手術を実施する。
4059 縦隔腫瘍とは(じゅうかくしゅよう) 縦隔腫瘍とは縦隔とは左右の肺に挟まれた間の場所にある心臓や 食道、気管、胸腺、神経などにできる腫瘍で、胸腺と呼ばれる臓器に発生する胸腺腫、胸腺のう胞、奇形腫に対する外科治療が主であります。悪性リンパ腫や精巣上皮腫のような悪性腫瘍の場合もある。
4060 一過性脳虚血発作とは(いっかせいのうきょけつほっさ) 一過性脳虚血発作(TIA)は一時的に脳血流が低下したり小さな血栓により一時的に動脈閉塞を生じて一過性に神経症状が出現する病態。その症状としては片麻痺,失語症,知覚障害などがありその症状が数分から数時間続きその後はそれらの症状は完全に回復する。このように一過性脳虚血発作は可逆的病態ですが多くの場合脳梗塞に移行する確率が高いことが知られる。
4061 脳動脈瘤とは(のうどうみゃくりゅう) 脳動脈瘤は脳の血管(脳動脈)にできる「血管のこぶ」です。 脳の表面にはたくさんの血管が走っており、まるで木の枝のように、太い幹となる血管から細い血管が枝分かれして脳組織に血液を送る。「血管のこぶ」は普通「血管の枝分かれの部分」に発生する。こぶができただけでは何の症状もないのが通常ですが、ある日、突然、破裂して「クモ膜下出血」という恐ろしい病気を引き起こす。
4062 もやもや病とは(もやもやびょう)
もやもや病はウィリス動脈輪閉塞症とも呼ばれる。脳に栄養を与える動脈は両側の頸動脈と椎骨脳底動脈でこれらの動脈は頭蓋内に入るとウィリス動脈輪を形成する。もやもや病ではこの動脈の輪であるウィリス動脈輪が徐々に閉塞する。この閉塞原因は現時点では不明。ウィリス動脈輪が閉塞すると脳の血流を補うため側副血行ができる。頭蓋底動脈よりの側副血行がもやもやとした状態に見えるためもやもや病という病名がついた。動脈が閉塞していくと脳虚血発作さらに多発脳梗塞になる。脳梗塞をおこすもやもや病は子供や若年者に発生する。また脳動脈が徐々に閉塞しても側副血行が十分に発達すれば脳梗塞をおこさないこともある。しかし側副血行であるもやもや血管は正常動脈組織に比べて壁が弱く,また偽性動脈瘤が発生することもある。もやもや血管が破綻したり偽性動脈瘤が破裂すれば脳出血を生じる。こうした脳出血をおこすもやもや病は成人に好発する。
4063 脳静脈洞血栓症とは(のうじょうみゃくどうけっせんしょう) 脳静脈洞血栓症の病因は多岐にわたる.感染性と非感染性に分類されることがあるが前者の頻度は8%程度である.非感染性の中には,外傷,悪性腫瘍,凝固系の異常(prothrombotic condition),抗リン脂質抗体症候群,産褥,妊娠,経口避妊薬の服用,重篤な脱水症,心疾患などがある。しかし,約20-30%の症例で原因は不明である。症状は一定でなく頭痛,局所脳症状,痙攣,意識障害,鬱血乳頭がしばしば認められる。中でも頭痛がその70-90%を占める。症状は徐々に進行する症例が多いが,突然発症する症例もあり,他の原因(脳梗塞,脳出血,脳膿瘍,脳腫瘍,脳炎,代謝性脳症,良性頭蓋内圧亢進など)との鑑別が難しい場合がある。
4064 高血圧性脳症とは(こうけつあつせいのうしょう) 高血圧性脳症は血圧が急激に200mmHg以上になり、迅速に降圧治療を行わないと、生命に危険が及ぶか、あるいは後遺症が残る病態を高血圧性緊急症といいいます。このような状態で激しい頭痛、嘔気、嘔吐、視力障害、脱力感などの脳症状を訴えるものを高血圧性脳症と呼ぶ。こうした症状は血圧が下がってから数時間ないし数日以内に消える。
4065 慢性硬膜下血腫とは(まんせいこうまくかけっしゅ) 慢性硬膜下血腫とは頭部外傷後、3カ月以内に硬膜下腔,すなわち頭蓋骨の内側にある硬膜と言われる厚い膜と脳を包むクモ膜と言う膜の間に血液が貯留する病気で,男性高齢者に比較的多くみられる。外傷以外の誘因としてアルコール多飲,脳圧の低下,感染,動脈硬化,貧血などが知られる。硬膜下腔にでた血液はしだいに被膜に包まれ硬膜下腔で血腫となる。硬膜下腔の血腫はふつう吸収されず,被膜から繰り返す出血によりゆっくりと増大する。その結果,意識障害,知能障害,頭痛,嘔気,片麻痺,失語など様々な症状が出現し,放置すると死亡することもる。治療法は穿頭血腫洗浄除去術と開頭血腫除去術などの手術で血腫を取り除く。
4066 多発性硬化症とは(たはつせいこうかしょう) 脳と脊髄をあわせて中枢神経と呼びます。中枢神経の周りにはミエリンと呼ばれる脂肪質のカバーが覆っています。電気コ−ドの外側を取り巻くビニ−ルのようなものです.多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)は中枢神経のミエリンが破壊される病気。神経を伝わる電気信号がうまく伝わらないために,ミエリンの破壊された場所に応じて様々な症状が出現する。国が定める特定疾患の一つで医療費の免除を受けることができる。日本における有病率は10万人対1〜4です。世界的には緯度の高い地域ほど有病率の高い傾向にある。また、20〜40代に多く、男性よりも女性に多い。 症状はミエリンの破壊される場所に応じた症状が現れる。視力障害、手足の脱力やしびれ、痛み、歩行障害、感覚障害、排尿障害という症状がみられることが多い。
4067 脳腫瘍とは(のうしゅよう) 脳腫瘍は脳組織の中に異常細胞が増殖する腫瘍で、良性と悪性の2種類ある。さらにその細胞の形や性質により細かく分類される。一般に、脳組織内に発生する腫瘍は悪性のことが多いのに対し、脳組織の外側に発生する腫瘍は良性の場合が多い。この他、脳腫瘍全体では、悪性と良性の数はほぼ半々です。脳腫瘍には、脳組織自体から発生する原発性脳腫瘍と、他の臓器のがんが脳へ転移してきた転移性脳腫瘍の2種類がある。脳腫瘍と言う場合は通常、原発性脳腫瘍を意味します。良性脳腫瘍には髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫の3種類があり、ほぼ治癒する。
4068 聴神経腫瘍とは(ちょうしんけいしゅよう) 聴神経腫瘍は聴力や平衡感覚をつかさどる聴神経にできた良性脳腫瘍です。めまい・難聴、顔面の運動障害、歩行障害、さらに大きくなると激しい頭痛や意識障害をきたす。治療法はすでに症状がある場合には腫瘍体積を短時間で減らすことができる開頭手術が一般的です。高齢者で無症候性の小さい腫瘍では、定期的に腫瘍の大きさを観察する場合もある。
4069 小脳失調症とは(しょうのうしっちょうしょう) 小脳失調症は別名、脊髄小脳変性症と呼ばれる。徐々に発病し運動失調を主症状とする原因不明の変性疾患の総称であり,小脳実質または脊髄後索および脊髄小脳路など小脳への入出力線維に系統的変性が認められる。主要病型として,1)小脳型(晩発性小脳皮質萎縮症,オリーブ核・橋・小脳萎縮症など),2)脊髄小脳型,3)脊髄型(Friedreich型運動失調症,遺伝性痙性対麻痺など)がある。有病率は人口10万人につき約3名,約3分の1が家族性発症。 臨床病状は1)歩行障害:歩行時のふらつき。速く歩けない。足幅が広く,左右によろめく酩酊様歩行。片足立ち困難。両足を前後一直線にそろえるMannの肢立保持困難。Romberg試験閉眼により動揺 。つぎ足歩行不十分。  2)言語障害:緩徐言語。一語一語の区切りのはっきりとしない話し方(SlurredSpeech)。ある言葉が不自然に強くなる爆発性(explosive)の要素もある。3)眼球運動障害:眼振,上方視障害,平滑追跡性眼球運動障害。  4)協調運動障害:指鼻試験,踵膝試験は測定過大(hyper-metria)となりがちで,円滑さを欠く。  5)交互変換運動障害:前腕の回内回外試験振幅大きく,不規則で遅くなる。6)その他:錐体路症状,錐体外路症状,深部知覚REF="imd00011.html">知覚障害。
4070 脊髄小脳変性症とは(せきずいしょうのうへんせいしょう) 脊髄小脳変性症とは小脳と脊髄およびこれらに関係する神経路が障害され,徐々に言語障害,酔っ払いのようなふらつき歩行,手足のふるえ,複視などをきたす疾患群を総称。これには遺伝する疾患と遺伝しない疾患がありますが,後者の方が多いようです.現在,国内での患者数はおよそ2万人程度といわれている。原因は不明。脊髄小脳変性症の中には次のような疾患が含まれています。
多いのは,遺伝しない疾患のオリーブ橋小脳萎縮症,遺伝する疾患のマシャド・ジョセフ病です。
A.遺伝しない疾患:
1) オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)
2) 小脳皮質萎縮症(CCA)
B. 遺伝する疾患:
1) 家族性脊髄小脳失調症
2) 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)
3) 家族性痙性対麻痺 4) フリードライヒ病
4071 ウイルソン病とは(ういるそんびょう) ウイルソン病は体内に銅が蓄積することにより、脳・肝臓・腎臓・眼などが冒される病気です。多くの遺伝性代謝疾患は治療が不可能なものが多いが、ウイルソソ病 は、治療ができます。また、早期発見により発症を予防することもできる。多くの場合、3〜15歳の小児期に、肝障害にて発見されます。肝症状は、疲れやすかったり、白眼のところや皮膚が黄色(黄疸)くなったりして気づかれます。脳障害の多くは、思春期ごろからあらわれます。初期においては、ことばが不明瞭になり、何かをしようとすると、手指がふるえたりして字を書くことや細かい作業が下手になり更に進行すると、表情も硬くなり、だんだんと歩くことができなくなり、ついには寝たきりになってしまいます。これらの多彩な症状は、すべての患者にでるのではなく、肝型、神経型、肝神経型に分かれます。治療しなければ進行し、ついには死亡したり、荒廃したりする。  
4072 ギランバレー症候群とは(ぎらんばれーしょうこうぐん) ギランバレー症候群は急性炎症性脱髄性多発神経根炎:AIDPとも言われてる。1〜3週前に風邪症状や下痢などの消化器症状を前触れとすることがある。下肢から次第に筋力が低下してくることが多く、感覚障害は無いか、あっても軽度のことが多いと言われている。末梢神経伝導検査や髄液検査、血液中の自己抗体などで診断がつく。症状は4週間以内で進行が停止し、その後徐々に回復してきますが、重症例では血漿交換(単純血漿交換もしくはトリプトファンカラムを用いた血漿吸着)およびガンマグロブリン静注療法の適応となる。
4073 偏頭痛とは(へんずつう) 偏頭痛とは脳の中にある血管が収縮し拡張するときに起こる血管性の慢性頭痛のこと。突然おこり時には激しく痛み眩暈や嘔吐といった症状も現れることがあり、女性に多い。はっきりとした原因はまだ分かっていません。 誘因は精神的ストレス、疲労、睡眠不足、生理 など。偏頭痛の起こる前触れとして、稲妻のような光るもの(閃光暗点)が見えたり視野障害の起こることがあります。 この後に、心臓の動きを合わせるようにズキンズキンと頭痛が起こり、食欲不振、嘔気、嘔吐、めまいといった症状も見られる。 偏頭痛の起こる前触れのない場合もある。
治療
1.鎮痛剤(アスピリン、セデスなど。)
2.カフェインや塩酸エルゴタミン
3.血管収縮剤
4.脳波異常がみられる場合: 抗てんかん剤
5.心因性によるもの: 精神安定剤
4074 緊張型頭痛とは(きんちょうがたづつう) 片頭痛が「血管性頭痛」であるのに対し、緊張型頭痛は「筋収縮性頭痛」とも言われるように、 首筋から頭部にかけてある筋肉が、なんらかの原因で緊張する(つまり"こり")ことが原因で起こる。 原因は仕事での長時間にわたる不自然な姿勢や、精神的ストレス、疲労の蓄積、あわない枕の使用などで身体(特に首、肩周り)の筋肉が緊張し、血液の循環が悪くなることで発症する。 症状は頭を何かで締めあげられるような「ジワジワ」とした痛みを特徴とし、特に後頭部から後頚部、側頚部にかけて痛みが続く。目の奥の痛みや頚部、肩部の強張りを伴う。中高年に多く、慢性頭痛の実に7〜8割はこの緊張型頭痛だと言われる。 予防は首や肩周りに筋肉の緊張を起こさせない事です。同じ姿勢を長く続けず、ストレスや疲労はその日の内に解消する。適度な運動やストレッチを決まった時間に行う事は、とても有効です。
4075 側頭動脈炎とは(そくとうどうみゃくえん)  別名、巨細胞性動脈炎ともいい、 主に60歳以上の高齢者に発症する頸動脈とその分枝の動脈、特に側頭動脈の炎症を主徴とする原因不明の血管炎です。頭の側面に存在する側頭動脈が、血管炎により、痛みを伴い、肥厚、発赤することから側頭動脈炎と呼ばれる。動脈組織学的検査では巨細胞を含む肉芽腫が認められるため、巨細胞性動脈炎とも呼ばれる。リウマチ性多発筋痛症の症状が約30%の患者さんに認められ、両者はきわめて近似した疾患と考えられている。特定疾患(難病)の1つに指定されていますが、患者さんへの医療費給付は行われれていない。
4076 神経痛とは(しんけいつう) 神経痛とは末梢神経にそって起こる発作性の痛みをいう。代表的なものに坐骨神経痛、三叉(さんさ)神経痛(頭部顔面に起こる)や肋間(ろっかん)神経痛があり、この3つが神経痛の70%を占める。痛みの原因は脊椎や脊髄の異常、その周辺の変形で知覚神経の圧迫によって起こる場合がもっとも多い。また、糖尿病や腫瘍、薬物、貧血、アルコール中毒なども原因の一つである。
4077 三叉神経痛とは(さんさしんけいつう) 三叉神経は顔面の知覚をつかさどる神経のひとつです。痛みの特徴は、発作性の激痛で長くともほぼ2分以内におさまり、その後は痛みもなく普通の状態に戻る。生活の中で痛みを誘発する原因があることが多く、食事や会話の時、また軽く顔に触った時、風に当たった時などにも起こる。また、顔面がピクピクすることがある。原因についてはいまだに不明で、はっきりしていませんが、女性に多く(男性の約2倍)50才台以上に多く見られる。一般の鎮痛剤はもちろんのこと精神安定剤、麻薬も効果がない。 治療法は 内服療法としては、現在広く用いられているのは抗痙攣剤であるテグレトールです。
4078 座骨神経痛とは(ざこつしんけいつう) 座骨神経痛は腰椎から出て尻、太ももの後ろ、膝、ふくらはぎ、足の先まで云っている末梢神経である座骨神経が、圧迫されたり刺激されたりすることにより、片側の臀部、大腿の後面、ふくらはぎが痛み、かかとやくるぶし、足のうらの方まで痛みが走る神経痛です。 症状は軽い痛み、しびれなどの知覚障害、重い麻痺などがある。
4079 肋間神経痛とは(ろっかんしんけいつう) 肋間神経痛は脊髄の胸髄から出て肋骨に沿って胸部や腹部に分布している末梢神経。肋間神経痛は肋骨と肋骨の間や、おなかにある腹直筋のあたりに圧痛点が存在し、肋間神経のあるところに痛みが現れる。からだをひねったり、痛みのないほうにからだを曲げて肋間神経を伸ばすような姿勢をとると、刺すような痛みがでる。咳やくしゃみ、深呼吸などをしたときも、痛みが誘発されたり、強まったりする。また、脊椎をたたくと、痛みが肋骨のあたりに響く。
4080 顔面神経麻痺とは(がんめんしんけいまひ) 顔面神経麻痺は顔の表情を作る筋肉を調節している神経がなんらかの理由で麻痺し顔の筋肉を動かせなくなる病気。顔面神経は脳を出て内耳道という骨 のトンネル、鼓膜の奥の中耳、骨に囲まれた乳突洞の順に通り、耳たぶの付け根の下から顔 に出てきて顔の筋肉に分布する。大部分が骨のトンネルで守られているが、逆に何ら かの原因で神経が腫れるような状況になった時に、周りの骨に圧迫されてしまうのです。原因はウィルスによるもの、ケガによるもの、腫瘍によるものなど様々ですが、最も多いのは原因不 明のものです。この原因不明のものをベル麻痺という。いずれにせよ何かが原因で神経 が圧迫されているわけですから、治療はその圧迫を取ることです。
4081 てんかんとは てんかん発作は以前は、大発作、小発作、精神運動発作など発作の症状によって分類されたが、現在では、てんかん及びてんかん発作の国際分類が一般的で世界共通 です。 大きく分けて、1)局所関連性てんかん(部分てんかん)
約35%
2)特発性全般てんかん(原発性全般てんかん)約60%
3)症候性全般てんかん(続発性全般てんかん)約5%
予後のよい(抗てんかん剤でコントロールしやすい)のは、特発性全般てんか ん、局所関連性てんかん、症候性全般てんかんの順になります。局所関連性てん かんの中には、ローランドてんかんのような予後のよいてんかん群(機能性部分 てんかん群)と難治性の複雑部分発作のような症候性部分てんかん群が含まれて います。症候性全般てんかんは、ウェスト症候群(点頭てんかん)やレンノック ス症候群のような難治性てんかん群が含まれており、発作頻度が多く脳波所見も 悪いのが特徴です。
4082 ソラニンとは(そらにん) ジャガイモの芽に含まれる毒性物質である。ソラニンはアルカロイド配糖体で、ステロイド骨格をもつソラニジンと呼ばれるアルカロイドにソラトリオース(ラムノシル‐グルコシル‐ガラクトース)が結合した構造。 平常時のジャガイモには1kgあたり0.04〜0.12g程度のソラニンしか含まれていないので、特に害はない。発芽時には1kgあたり1.0g以上のソラニンが含まれるため、摂取量によっては中毒症状を起こす。ソラニンの成人経口中毒量は0.2〜0.4gであるため、ジャガイモの芽を200g程度食べれば中毒症状が出る恐れがある。また、ソラニンは水溶性であり、熱に対して比較的安定であるので、加熱調理しても充分に分解されない。
4083 骨粗鬆症とは/骨粗しょう症とは(こつそしょうしょう) 骨粗鬆症は「骨塩量の減少によって骨微細構造の破綻をきたし骨強度が低下し骨折に対するリスクが高まった全身性疾患」と定義される。骨粗鬆症を診断する上で念頭におくべきことは骨量を減少させる基礎疾患の存在です。内分泌異常、カルシウム吸収障害、関節リウマチなどは二次性 (続発性)骨粗鬆症の原因となります。骨粗鬆症の臨床症状としては、変形、胸腰背部痛、そして骨折の3つがあげられる。
4084 ニートとは(にーと) ニートとはNEET(Not in Employment, Education or Training)で直訳すると 「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」。英国で名づけられた。 学生でもなく、 就業者でもなく、 求職「活動」もしておらず、 主婦(主夫)でもない という者をさす 「フリーター」はニートに含まれない。 また、就業意欲があっても求職活動していなければ「ニート」になる。
4085 変形性関節症とは(へんけいせいかんせつしょう) 慢性の関節炎を伴う関節疾患で、関節の構成要素の退行変性により、軟骨の破壊と骨、軟骨の増殖性変化を来たす疾患。 簡単に言うと「関節」は骨と骨が接して動く部分をいうが、この部分の骨は動きをスムーズにするために軟骨でおおわれている。この軟骨は関節軟骨といわれ、ゴムのようなやわらかさと弾力性をもち、さまざまな動きに対して骨どうしの滑りをよくするとともに、摩擦を最小限、少なくすることにより、衝撃を和らげるはたらきをする。 変形性関節症とは骨と骨の間にある関節軟骨が、使いすぎによってすり減り、骨が徐々に変形していく病気。
4086 化膿性骨髄炎とは(かのうせいこつずいえん) 化膿性骨髄炎は急性化膿性骨髄炎と慢性化膿性骨髄炎とがあり、急性化膿性骨髄炎は、新生児期や学童期に多くみられる。多くは、大腿骨(太ももの骨)や脛骨(すねの骨)におこる。抗生物質によって治療する。慢性化膿性骨髄炎は、急性のものが慢性化するものと、最初から慢性型で発病し、骨腫瘍とまぎらわしいものがある。  急性化膿性骨髄炎の症状は、悪寒、高熱、局所の疼痛ですが、近年、このような症状が少なくなり、亜急性といわれるような、わりにゆるやかな症状で始まることが多い。患部は腫れて、乳幼児では手足を動かそうとしない。慢性化膿性骨髄炎では、発熱などの全身症状は、さらにゆるやかで、患部の踵れや痛みだけということが多い。
4087 化膿性関節炎とは(かのうせいかんせつえん) 化膿性関節炎は関節内に主に黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、関節の機能を障害する疾患です。 体のどの関節にも起こる可能性がありますが、膝や肘、肩、股関節などに多く見られる。 原因は細菌に関節が侵されて起こりますが、ケガなどから直接細菌が入る場合と、体の他の部分の炎症から血液を通して細菌が入ってきて関節を侵す場合とがある。 最近では、長期間の副腎皮質ホルモン剤の関節内注射によって起こる化膿性関節炎も多い。化膿性関節炎を放置すると急激に関節軟骨が破壊され、動く範囲が狭くなったり、変形したりします。 患部を切開して膿を出し、関節洗浄を行って安静を保ちながら抗生物質を投与する治療を行う。
4088 悪性骨腫瘍とは(あくせいこつしゅよう) 悪性骨腫瘍とは骨にできる「がん」のこと。また筋肉、脂肪、神経、血管等の柔らかい部分にできる「がん」をまとめて悪性軟部腫瘍という。転移性骨腫瘍も悪性骨腫瘍と同じく骨の「がん」ですが、悪性骨腫瘍とは異なり、他の臓器に発生した「がん」が骨に転移した「がん」のこと。
4089 斜頸とは(しゃけい) 斜頸とは首が左右どちらかに傾いている状態を言う。原因はいくつかあるが、首の筋肉が短くなって起きるものが筋性斜頸です。たいてい生後1、2週間で見つかる。赤ちゃんがずっと同じ方向ばかり向いていたり、反対側を向かせると嫌がったりする場合は注意が必要です。母胎内での圧迫や出産時の刺激で赤ちゃんの耳の裏側から胸にかけて伸びる胸鎖乳突筋に一時しこりができることがあり、それが消えても筋肉の一部が異常になり短くなる。幼児期に風邪などでリンパ節が腫れた後に炎症性の斜頸になることもまれにある。この場合は首を真っすぐにしようとするとむ。筋性斜頸は約9割が2歳ごろまでに自然に治る。治らない場合でも日常生活に困ることはまずないが、傾いている側に首をうまく回せなくなることがある。ただ症状がひどいと、成長するにつれて顔やほおが非対称になることもある。
4090 脊柱側弯症とは(せきちゅうそくわんしょう) 脊柱側弯症は背骨が曲がり、ねじれている状態をいう。原因の分からない特発性脊柱側弯症では約3分の1が進行する。ほとんどは原因が分からない特発性脊柱側弯症。そのほか奇形や先天性脊柱側弯症などがある。 症状は片方の肩が下がっていたり、腰が傾いていたりする。前屈みになると、片方の背中が盛り上がり左右対称にならない。診断は側弯の程度を診るために側弯度を測り、カーブパターン、立位と臥位での角度の差を測定し評価する。一定以上曲がりがひどい場合には成長に伴って側弯がひどくなるため、特殊な装具を装着する。また、装具で効果が期待できないときには手術をする。
4091 脊椎過敏症とは(せきついかびんしょう) 背骨の痛みを訴え、背骨を触ったときに手に触れるゴツゴツした部分(棘突起という)を指で押すと、強く痛みを訴える。しかし、脊椎や靱帯、脊髄、髄膜などを調べても痛みの原因となる異常が発見できません。特に若い女性に多く、ノイローゼやヒステリーなどの心のひずみにともなって、棘突起の痛覚や感覚が過敏になっていると考えられる。
4092 頸肩腕症候群とは(けいけんわんしょうこうぐん) 頸肩腕症候群の症状は語句どおりの首→肩→腕・手の症状です。痛かったりしびれているのは手や腕ですが、その原因は首にある。手や腕の神経は頚部から出てるので、その神経が根元の首のところで圧迫を受けると、手や腕に痛みやしびれ握力低下などがおこる。原因はストレスで首の深部まで及んだ筋緊張によるもと加齢による頚椎症によるものがあるが、いづれにせよ神経を締めつけている個所の血行を回復させれば、神経も回復する。
4093 頸部脊椎症とは(けいぶせきついしょう) 頸部脊椎症は、1)脊髄圧迫による脊髄症と2)脊髄から枝分かれした神経の圧迫による神経根症に分類する。
1)頸椎症性脊髄症  
両手の巧緻運動障害が特徴的で、本や雑誌のページがうまくめくれない、ハシがうまく使えない、書字が乱れる、上着のボタンのかけはずしがうまくできないなどが挙げられ、手の握り開きが遅くなります。歩行中、足の運びがぎこちなく、とくにつま先がひっかかりやすく転倒しそうになるなどの歩行障害も加わってきます。このような症状あるいは手足の麻痺が、転倒して首をひねった後、あるいは交通事故後などに急に起こる。
2)頸椎症性神経根症  
神経根症では首のうしろの痛みで発症することが多く、その後、上肢痛あるいは手指のしびれが出現し、さらに脱力に進行する。うがい、目薬さしなど首を後ろにそらす運動で両手のしびれが誘発されるのが特徴的です。
治療は安静、頸椎カラー、鎮痛剤、牽引などの保存的療法から開始します。多くは保存的治療で症状がかなり軽快します。 外科的治療:脊髄症では症状が進行性で、日常生活に大きな支障をきたす場合、神経根症では難治性の激しい上肢の痛み、脱力あるいは筋の萎縮を呈する場合に手術する。
4094 腰部脊柱管狭窄症とは(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう) 足や膀胱や肛門を支配する神経(馬尾神経と呼ぶ)は腰の背骨の中の脊柱管と呼ばれる管の中を走っている。この脊柱管が様々な原因により狭くなって坐骨神経痛や間歇性跛行を発生する病気を腰部脊柱管狭窄症という。
中高年に多く発症し、腰椎の骨や靭帯、軟骨などが出っ張って、神経を圧迫する。主な症状は、腰痛、臀部や足のしびれ・痛みで、これらの症状は、立位や歩行によって増悪するのが特徴です。 症状が進行すると、足の筋力低下や排尿障害も出現する。診断は腰椎のレントゲンやMRIで診断。 治療は内服・外用薬やコルセットで効果がなければ、血管注射や、神経ブロック注射を行う。これらの効果がない場合や、重症の場合は手術を行う。
4095 後縦靱帯骨化症とは(こうじゅうじんたいこっかしょう)
後縦靱帯骨化症は脊椎椎体の後縁を連結し、脊柱のほぼ全長を縦走する後縦靱帯が骨化することにより、脊椎管狭窄をきたし、脊髄または神経根の圧迫障害を来す疾患。頸椎に最も多いが、胸椎や腰椎にも生じる。初発症状は項・頸部痛、上肢のしびれ、痛みで始まることが多い。進行すると下肢のしびれ、痛み、知覚鈍麻、筋力低下、上・下肢の腱反射異常、病的反射などが出現し、痙性麻痺を呈する。脊髄麻痺は四肢に対称的に出現することが多い。麻痺が高度になれば前横断脊髄麻痺となり、膀胱直腸障害も出現する。保存的治療として、局所の安静保持をはかるために、頸椎固定装具の装着や、頸椎牽引を行う。保存的治療で効果が得られない場合や、脊髄症状が明らかな症例には手術療法が行われる。頸椎後縦靱帯骨化症では、前方よりの前方徐圧固定術や後方よりの椎弓切除術、脊柱管拡大術を行う。黄色靭帯骨化症は椎弓切除術を行う。
4096 腰椎椎間板ヘルニアとは(ようついついかんばんへるにあ) 「ヘルニア」とは、体のなかの組織が本来あるべき所から外にとびだすという意味です。 椎間板ヘルニアとは線維輪とよばれる層状の組織に裂け目が生じ、その中央にある水分を含んだゼリー状の髄核が飛び出した状態。かなりの圧力で閉じ込められていた髄核は、線維輪の裂け目から突出して神経根や馬尾神経を圧迫し、そのため痛む。 髄核や線維輪は成人をすぎたあたりから、老化がはじまります。20歳から40歳代の比較的若い人にみられる。ある程度年をとると椎間板が弾力性を失うため、おこりにくくなります。 原因としては、急に重いものを持ち上げたり、中腰といった日常生活の動作、激しいスポーツ等が挙げられる。腰部だけが痛む場合もありますが、腰から、おしり、大腿部、下肢まで痛みを伴うこともる。せきやくしゃみをすると激痛が走ります。日ごろ大きな負担がかかっている第4腰椎と第5腰椎の間と、腰椎と仙骨の間でおこる頻度が高い。その部位の神経根は「坐骨神経」と呼ばれる下肢に走っている神経とつながっているため、圧迫されると「坐骨神経痛」と呼ばれる下肢の痛みを伴う。悪化すると排尿障害をおこす場合もある。
4097 頸椎椎間板ヘルニアとは(けいついついかんばんへるにあ) 頸椎椎間板ヘルニアとは頸椎椎間板組織が変性などにより後方線維輪を破って後方又は後側方に脱出し,脊髄や神経根を圧迫して脊髄症,神経根症を引き起こす疾患。治療は初期にはまず安静,牽引などの保存的治療を行うが症状が持続する場合は手術する。頸椎と脊髄髄節との間には,1ないし1.5レベルの高位差があるため,第5,第6頸椎椎間板ヘルニアにより圧迫される神経根は第6頸神経根となる。
4098 脊椎分離症とは(せきついぶんりしょう) 脊椎分離症は腰椎の椎弓の上下関節突起部分が断裂した状態で、主に第4腰椎と第5腰椎で起こる。 10歳台前半から壮年期の比較的若い世代の激しいスポーツを行った人に多く見られる。 分離した腰椎と、その上の腰椎の連結がなくなって不安定になり、周辺のじん帯や筋肉に負担がかかるため長時間同じ姿勢で立っていると痛む。 また椎間板をはさむ腰椎の間隔が狭まり椎間板ヘルニアになることもある。 すべりがひどくなると脊髄神経が圧迫されて座骨神経痛を引き起こすこともある。 スポーツが好きな子供がなる腰痛のほとんどが脊椎分離症です。治療方法はほとんどの場合は保存療法でよくなります。痛みの強い急性期は、コルセットなどで腰椎を固定し安静にすると、だいたい3〜4ヵ月で治る。
4099 腰痛症とは(ようつうしょう) 腰痛症は急性腰痛症と慢性腰痛症とに分かれる。急性とは痛みが通常の治療に反応し、適切な期間内(2週間以内)に治癒する。急性腰痛症はいわゆる「ぎっくり腰」で前かがみで物を持ち上げた時や軽微な外傷(打撲や捻挫など)、スポーツ傷害などの際に腰痛を生じた状態を言う。症状として耐え難い腰痛と腰部の運動制限を訴える。 慢性腰痛症とは腰痛が3ヶ月間以上にわたって継続する状態を言います。大半が腰椎症性変化に起因するものです。すなわち、筋肉の過労による「筋・筋膜性腰痛症」や椎間板の変性による「椎間板性腰痛症」、椎間関節の変性による「椎間関節性腰痛症」などが原因として考えられます。
4100 脊椎カリエスとは(せきついかりえす) 脊椎カリエスは結核菌が血流を介して脊椎に転移して破壊し、強い痛みを生じる。結核性脊椎炎とも呼ばれ、骨関節の結核の中でいちばん多く見られる。 結核にかかっている人はもちろん、以前結核にかかったことがある人は発病の危険性がある。 破壊された部分に生じた肉芽や大量の膿は脊髄を圧迫し、排便・排尿障害、下肢のマヒなどが起こすこともある。
4101 肩こりとは(かたこり) 肩こりは急性の筋肉の外傷に続発して起こる場合や心理的要素から起こる場合を除いて、ほとんどは姿勢による筋肉に対する負担の増加と運動不足から起こる。筋肉が損傷を受けると、炎症反応により局所的に循環不全がおき、筋肉のこわばりが起こる。ほとんどは自然に回復 しますが、循環不全が慢性化する場合もあります。怒りや心配、不安などの心理状態は、自律神経の交感神経を刺激し、局所の循環不全を誘発して、痛みを起こす物質を作 り出すと言われる。但し、急性の(今まで凝ることのなかった人が急に凝りだしたりしたとき)、肩から背部にかけての痛みは循環器(心臓)の 疾患や呼吸器の疾患が疑われる。
4102 五十肩とは(ごじゅうかた) 50代を中心に40代から60代あたりの年代までに起りやすい、肩の痛み。五十肩の正式名称は「肩関節周囲炎」として分類されています。肩を動かすたびに痛みが発生するが、ほとんどの場合は半年から一年半ぐらいで回復する。症状は腕を持ち上げたり、後方に回す動きが制限されたり、 背中をかいたり、ネクタイを首にかけたり、背中のボタンやファスナー、髪の毛のセットが困難になる。 五十肩の原因は肩関節のまわりの組織が炎症する事に よって動かすたびに痛みを伴う。 
4103 胸郭出口症候群とは(きょうかくでぐちしょうこうぐん) 頸部の筋肉群(前、中斜角筋)と第一肋骨の間で腕に向かう血管や神経が圧迫されて、上肢を挙上したり伸ばしたりした時、腕のしびれ感、倦怠感や脱力感、肩、背中、腕の痛みなどを訴える病気。主として神経を圧迫される場合と動脈が主に圧迫される場合がある。いずれも第一肋骨と斜角筋を切除することにより改善するが、神経の圧迫では頸の上の方で圧迫されている場合と下位で圧迫されている場合があり、手術に当たってはその診断を明確にする必要がある。
4104 テニス肘とは(てにすひじ) テニス肘は上腕骨外上顆炎( じょうわんこつがいじょうかえん)ともいい、タオルを絞る時、あるいはドアのノブを回す時など、前腕を捻ったり手関節を伸ばしたりする時に、肘の外側から前腕にかけて痛みが現れるものを言い、テニスをされる方だけがなるものではない。テニスのバックハンドでボールを打つときに、ボールを打つ衝撃が肘の筋肉にたまって、肘を痛める方が特に多いためにこう呼ばれる。 原因は、上腕骨外上顆(肘の外側の骨の出っぱり)に付着している指を伸ばしたり、手関節を背屈する筋肉の使いすぎで生じます。まずは、安静にして、手指に負担がかからないように注意する。
4105 野球肘とは(やきゅうひじ) 野球肘とは野球の投球動作の無理な繰り返しが原因で起こった肘の痛みのことをいう。投球時、ボールを手から離す前後に肘は「く」の字に変形します。このとき肘の外側(親指側)では肘の関節に圧迫やねじれが加わり上腕骨と前腕骨の関節面にカナヅチを打ち付けるようなストレスが加わります。その際に軟骨が剥がれて関節の中に小さな骨片が入こみ、これが骨と骨の間に引っかかると激痛を生じます(離断性骨軟骨炎)。また内側(小指側)では肘の関節を伸ばす力やスナップを効かせる筋肉が付着している所に繰り返しストレスが加わり、肘関節の内側の靱帯が伸ばされついには小断裂を生じてしまい、靱帯が緩み投球時の痛みと関節の違和感が起こる。
4106 肘部管症候群とは(ちゅうぶかんしょうこうぐん) 手根管症候群が、手首での神経の圧迫で生じたのに対して、肘部管症候群とは尺骨神経が、肘の内側でしめつけられて生じる神経の障害です。 この神経は手の小指と薬指の半分の知覚と手の内在筋(ないざいきん)といわれる筋肉を支配しており、この神経の障害により手の尺側(小指側)のシビレや手指の運動障害を来すことになります。 症状としては、ひじの痛みとしびれ、薬指と小指には針で刺したようなチクチクする感じがあります。進行すると、薬指と小指の筋力が衰えます。筋力低下により、親指と人差し指でものをつかむ動作がしにくくなる。これは手の小さな筋肉の大部分を、尺骨神経がコントロールしているからです。重度の慢性的な肘部管症候群は、筋肉のやせ(萎縮)や、手のかぎ爪状の変形を引き起こすことがある。
4107 手根管症候群とは(しゅこんかんしょうこうぐん) 手根管症候群は、手首を通っている正中神経が圧迫されて痛みを生じる病気。 正中神経は、手首の手のひら側の手根管と呼ばれる部位を通っており、手の親指側に分岐している。腫れを起こすなど、さまざまな理由で線維組織の束により手根管が圧迫を受けます。 この病気は珍しいものではなく、特に女性に多く発症します。片手または両手に起こります。ねじ回しを使うときのように、手首を伸ばした状態で繰り返し力を入れる動作を要求される人は、特にリスクが高くなります。コンピューターのキーボードを使うときの姿勢が悪い場合も発症しやすくなります。振動する道具を長い間使用する場合にも手根管症候群を起こすことがある。妊娠中の女性や、糖尿病、甲状腺機能の低下、痛風、関節リウマチのある人もこの病気のリスクが上昇する。
4108 クール・ビズとは(COOL BIZ ) 省エネルック改め「クールビズ」という言葉は環境相が新名称発表。意味は「涼しい職場で働くビジネスマン」。79年の第2次石油危機の際に通産省(現・経済産業省)がPRした「省エネルック」に代わる名称としてデザイナーらで作る審査委員会で討議した造語。
4109 バネ指とは(ばねゆび) バネ指はピストルやライフルの引き金を引くようなカクカクした指の動きをすることからトリッガーフィンガー(Trigger Finger)あるいはスナッピングフィンガー(Snapping Finger)とも呼ばれる。手指の屈伸のたびに指の付け根の炎症をおこした腱鞘に腱の腫れた部分がひっかかり、指の運動制限や痛み、不快感を感じる疾患です。
4110 狭窄性腱鞘炎とは(きょうさくせいけんしょうえん) 狭窄性腱鞘炎とは何らかの原因で腱鞘が炎症を起こし、腱が腱鞘内をスムーズに通過出来なくなった状態を言う。すなわち、列車(腱)の通過が悪くなった状態を狭窄性腱鞘炎と言う。伸筋腱(指を伸ばす腱)の代表的な狭窄性腱鞘炎にはドゥケルバン腱鞘炎がある。屈筋腱(指を曲げる腱)の代表的な狭窄性腱鞘炎にはバネ指がある。
4111 ガングリオンとは(がんぐりおん) ガングリオンは硬い弾性のある腫瘤で、大きさは数mmから数cmになる。腫瘤の中はゼリー状の無色透明な粘稠液。腱鞘や関節包、靭帯より発生し、手首や指(ヘバーデン結節)や足部の周辺によく認められる。原因は不明、結合組織の変性によると考えられ、腫瘍類似疾患(限りなく腫瘍に似ている疾患)に分類される。 大半は無症状、時に、痛みや違和感、運動障害などを認めるす。診断は腫瘤を穿刺して、ゼリー状の粘稠液が吸引確定。無症状の症例は放置します。しかし、手術が必要な場合もある。
4112 先天性股関節脱臼とは(せんてんせいこかんせつだっきゅう) 生まれつき大腿骨の骨頭が納まる骨盤側のくぼみ(臼蓋)の形成が未熟(臼蓋形成不全)で、 骨頭が臼蓋から脱臼している状態。 症状が軽い場合、もしくは体重が6キロ未満の乳児は、 日常生活やオムツのあて方に注意し経過を見る。 これだけで症状が改善されない場合は、リーメンビューゲルという装具をつけて治療する。 リーメンビューゲルを装着すると、脱臼自体は比較的短期間で治ることが多い。 しかし臼蓋が正常に形成されるまでは脱臼しやすい状態なので、 臼蓋が正常に形成されるまで治療を続ける。 初期に脱臼の症状を起していて、且つリーメンビューゲルを装着する場合は、 少なくとも3〜4ヶ月の装着になることが多い。脱臼している骨頭がはまる際、周囲の組織(筋や神経など)を挟み込んで はまってしまうことがあり、正常な位置にはまらないときがあり、大抵は激痛を伴います。 このような場合挟み込んだ組織を取り除くために手術等が必要になる。 またリーメンビューゲルでは改善できない場合、足の牽引や骨の手術が必要になることもある。
4113 O脚とは(おーきゃく) O脚とは「両側の膝付近を中心とした外側凸の変形」であり足の骨が曲がっているわけではない。腰骨、骨盤の歪みが原因でモモ、ヒザ、フクラハギがくっつかなくなった状態。一般的に両足のかかとをつけてまっすぐ立ったときに両膝が指2本分以上開いている脚をさす。
4114 X脚とは(えっくすきゃく) X脚 膝の関節を完全に伸ばした状態で膝の骨を正面にして、まっすぐに起立した状態で、O脚では両足関節の内側をくっつけると、両膝の間が開くもので、X脚では両膝をくっつけると、両足関節が開くものです。
4115 扁平足とは(へんぺいそく) 扁平足には、真性扁平足、見かけ状の扁平足、仮性扁平足に分けられる。  
1.真性扁平足
骨格が崩れている(生まれつき、事故、病気など原因)  
2.見かけ状の扁平足
「ローアーチ」のことで、単に肉が付きすぎている。 また、筋肉が発達しているため、スポーツ選手にも多い。  
3.仮性扁平足
一時的に「ローアーチ」になってしまう事で、重い荷物を持って、 長時間買い物をした後などは、一時的に「ローアーチ」になってしまう。仮性扁平足が、度重なると真性扁平足になりうることもある。
4116 オスグッド病とは(おすぐっど) オスグッド病の発症は概ね10〜14歳。膝蓋骨の少し下方の盛り上がったところ(脛骨結節)に痛みと腫れを生じる。膝を伸ばす動作は、大腿の前面にある大腿四頭筋が収縮して、脛骨結節が引っ張られて起こります。しかし、この部分は成長期ではまだ軟骨の部分が多くて弱いため、繰り返し引っ張られることで骨や軟骨の一部が剥がれます。これが、オスグッド病です。初期なら短期間スポーツ活動を一部制限するだけで治りますが、進むと一定期間局所の安静が必要となります。さらに進むと装具療法や、時には手術が必要となる。放置すると疼痛が成長終了後にも残ることがある。
4117 ペルテス病とは(ぺるてすびょう) ペルテス病とは何らかの原因で大腿骨頭の骨端核に血行障害が生じ、骨頭が壊死(骨組織が死んでしまう状態)に陥る疾患。6歳前後の男の子に好発する。ペルテス病は早期に診断し、適切な治療が施されないと骨頭の変形を残し、将来、変形性股関節症を招くので要注意。 症状は股関節部の痛みで、跛行(足を引きずって歩く状態)を認める。診断にはレントゲン検査が不可欠です。初期は関節裂隙(関節のすき間)が拡大し、経過と共に次第に骨頭が硬化・扁平化・分節化し、最終的には経年的に修復され改善される。しかし、早期に発見し治療する事が予後(治り)に大きく影響するので、レントゲン読影の際には初期の異常所見を見逃さないよう努めます。 治療は保存的治療が原則。大半が装具療法にて治療される。
4118 外反母趾とは(がいはんぼし) 外反母趾は親指が変形し、小指の方へ曲がっている状態をいい、身体の中心線から見て、親指が外側に曲がっているために外反母趾と呼ばれている。
4119 フォルクマン拘縮とは(ふぉるくまんこうしゅく) 肘の周辺の骨折に引き続いて手への血流が悪くなり筋肉が壊死し、神経が麻痺し手首と指が変形して動かなくなる。
4120 重症筋無力症とは(じゅうしょうきんむりょくしょう) 重症筋無力症は末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、脳の命令によって神経側から遊離されるアセチルコリンの筋肉側の受け皿(アセチルコリン受容体)を攻撃する抗体が原因とされる病気。全身の筋力低下、疲れやすいなどを特徴として、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴です(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。
4121 筋ジストロフィーとは(きんじすとろふぃー) 筋ジストロフィーは骨格筋の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性の疾患。筋肉が萎縮し筋力低下を来す原因としては筋肉そのものに原因がある場合(筋原性)のほか、筋肉に異常はないが筋肉に脳からの命令を伝える運動神経系に異常があって、筋肉が働けなくなり、筋萎縮を来す場合(神経原性筋萎縮症)がある。このうち筋ジストロフィーは筋原性疾患の代表である。
4122 周期性四肢麻痺とは(しゅうきせいししまひ) 周期性四肢麻痺は周期的に現れる発作性の四肢・体幹筋群の弛緩性麻痺があらわれる病気で、発作時に血清K値の異常を伴うことが多いことより、低K、高K、正K血性に分類される。家族性と散発性のものがあるが、散発性で甲状腺機能亢進症を合併する男性例(男女比は20:1)が多い。発症は10〜20歳代が多い。発生機序については、現在、筋細胞膜の機能異常説が有力である。
臨床症状  
1)運動麻痺:下肢から対称的に始まり、体幹、上肢へと上行するが、脳神経支配筋は原則的に侵されない。麻痺は上肢より下肢、遠位より近位筋に強い。麻痺は、夜間〜早朝(低k、正K血性)、日中(高K血性)に起こりやすい。麻痺の原因の誘因として、運動後の休息、寒冷がいずれの病型でもあげられる。持続時間は、1時間以内(高K血性)のものから、数時間〜数日(低K血性)、2〜20日(正K血性)に及ぶものまである。頻度は、数日から数か月に1回程度と種々である。
2)深部反射:麻痺時、低下または消失。
3)意識障害、他覚的知覚障害、尿便失禁をいずれも認めない。
4123 麦粒腫とは(ばくりゅうしゅ) 麦粒腫はいわゆる「ものもらい」で、原因は細菌感染による。汗を出す腺や、まつげの毛根に感染した場合を外麦粒腫、マイボーム腺の感染を内麦粒腫と呼びます。 症状は初めはまぶたに局所的な赤みが出現し、しばしば軽度の痛みや痒みを伴います。炎症が強くなってくると、赤み・腫れ・痛みが強くなります。化膿が進むと、腫れた部分が自然に破れて膿が出ることがあります。膿が出てしまえば、その後症状は回復に向かう。治療は抗生物質の点眼や内服を行う。化膿が進んだ場合は切開して膿を出すこともある。
4124 霰粒腫とは(さんりゅうしゅ) 霰粒腫は眼瞼(まぶた)にあるマイボーム腺の出口がつまって慢性的な炎症が起きる結果、肉芽腫という塊ができる病気。麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない無菌性の炎症。症状は眼瞼の腫れや異物感です。典型例では痛みも赤みもなく、眼瞼にコロコロとしたできもの(腫瘤)を触れます。炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがあり、これを急性霰粒腫と呼ぶ。腫瘤が小さければ自然に吸収されることもあるが、大きい場合は副腎皮質ステロイド薬を腫瘤に注射したり、手術で摘出したりする必要がある。
4125 眼部帯状疱疹とは(がんぶたいじょうほうしん) 眼部帯状疱疹は帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる眼の感染症。帯状疱疹ウイルスは神経の中で増殖するウイルスで、ときに皮膚に広がって帯状疱疹を発症させる。額や鼻が感染すると、眼球も感染することが多く、帯状疱疹が出ている側の皮膚と同じ方の眼に症状が出る。 このウイルスが眼球に感染すると、眼の痛み、充血、まぶたの腫れを引き起こす。感染した角膜は腫れ、重度の障害を起こし瘢痕化することもある。さらに、角膜の後ろの組織が炎症を起こす(ぶどう膜炎)、眼圧が上昇する(緑内障)、角膜が感覚を失って外傷につながるといった症状が出る場合もある。
4126 眼瞼炎とは(がんけんえん) 眼瞼炎はまぶたの辺縁の炎症。厚い鱗屑や、かさぶた、浅い潰瘍、まぶたの縁にある脂腺の炎症などを伴うこともある。眼瞼炎を引き起こす原因としては、まぶたやまぶたの縁に開口部がある腺へのブドウ球菌感染症、顔や頭皮の脂漏性皮膚炎、ほおや鼻に赤い膿疱ができる酒さ性ざ瘡(しゅさせいざそう)などがある。眼瞼炎は眼の中に何かが入ったように感じることがある。眼とまぶたにかゆみやピリピリする痛みがあったり、まぶたの縁が赤くなったりする。涙目になったり、光に敏感になることもある。まぶたが腫れて、まつ毛が抜け落ちることもある。まつ毛の根元に膿のたまった小さな膿瘍(小膿疱)ができることもあり、これはやがて浅い潰瘍になる(潰瘍性眼瞼炎)。まぶたの縁に硬くてはがれにくいかさぶたができ、はがすと出血することもある。眠っている間に分泌物が乾き、まぶたがくっついて開けにくくなる。
4127 眼瞼下垂とは(がんけんかすい) 眼瞼下垂はまぶたを上げるために使われる筋肉(眼瞼挙筋)の働きが弱まることによってまぶたを開ける力が弱まりまぶたが重くなってしまう状態。眼瞼下垂には先天性のものと後天性のものがあり、後天性の原因として考えられるのが老化による筋肉の衰えと長期間のコンタクトの使用による弊害などが上げられる。眼瞼下垂はまぶたが重くなり目が小さくなってしまうので目元の美容上、悪く、まぶたを上げるために額の筋肉を使用してしまうので、額にシワができてしまったり、肩こりなどを引き起こす場合がある。眼瞼下垂の治療は手術による。通常「眼瞼挙筋短縮法」という方法を採用し、伸びて弱まってしまった眼瞼挙筋を切り縫合することにより筋肉の働きを強くする。
4128 馬油とは(ばーゆ) 馬油とは一般名が馬脂で英名:horse oil/horse fat という。馬のたてがみ、尾の基部、皮下脂肪またはこれらの混合したものを圧搾または煮沸して得られた油分を脱色、脱水し、ろ過した後、脱臭したもの。
4129 涙腺腫瘍とは(るいせんしゅよう) 涙腺腫瘍は涙腺から発生する悪性の腫瘍で、放置しておくと、腫瘍が大きくなり、疼痛、視力障害などを起こすばかりでなく、腫瘍細胞が全身に転移を起こし、生命を失う危険性があります。その一般的治療は手術療法です。癌の広がりに応じて眼球を残したまま腫瘍を取る手術が行われることもあるが、多くは眼窩内容除去術という眼球を含めた眼窩内の組織を全て取り去る手術が行われる。通常、放射線療法や化学療法だけで治癒を目的とした治療が行われることはなく、手術と組み合わせて取りきれなかった癌細胞の増殖を抑えたり、再発を予防する目的で用いられる。治療成績は手術療法と放射線療法を組み合わせた場合でも、約半数で再発が見られていると報告されている。
4130 涙嚢炎とは(るいのうえん) 涙嚢炎は涙嚢の感染症。 涙嚢は眼から排出された涙が流れこむ小さな袋状の器官です。涙嚢炎は涙嚢から鼻へと続く鼻涙管がふさがることで起こる。涙嚢炎は急に起こることもあれば(急性涙嚢炎)、長期にわたって進行することもあります(慢性涙嚢炎)。急性の場合は涙嚢の周囲に痛みを感じ、そこが赤くなって腫れる。眼は赤く涙目になり、膿(うみ)がにじみ出ます。涙嚢を軽く押すと、眼の鼻側にある涙嚢の開口部から膿が出てくることがあります。熱が出ることもあります。 抗生物質を内服薬か点滴で投与する。
4131 鼻涙管閉塞とは(びるいかんへいそく) 鼻涙管閉塞は上まぶたの外側あたりで作られ涙が目の表面をまばたきごとに洗い、目頭にある涙点(るいてん)から鼻に流れていきます。この鼻に流れていく部分、鼻涙管がつまってしまうと、水道の下水がつまってしまう状態のことで目から涙があふれ出ると言う状態。症状が重い場合、鼻涙管を広げる手術をする。 また、生まれつき鼻涙管が閉じている赤ちゃんがいるが生まれた直後から涙目でメヤニが多かったりした症状が見られる。自然に治る場合もあるので、点眼とマッサージをしながら様子を見ます。それでも治らない場合は閉じている鼻涙管部分を開ける手術をする。
4132 急性結膜炎とは(きゅうせいけつまくえん) 結膜は角膜(黒目)のふちからまぶたの裏側までを覆っているうすい幕で、白目の部分を眼球結膜、まぶたの裏側を眼瞼結膜という。結膜が細菌、ウイルス、花粉、ダニ、ハウスダストなどの原因で炎症を起こす病気を総称して結膜炎という。このうち、短期間に集団的に発生する急性結膜炎がいわゆる“はやり目”といわれるもので、日常よく見られる代表的な病気です。目からの分泌物がもとで伝染する。ウイルスによるものが最も多く、伝染性も非常に強いので感染予防が大切です。
4133 流行性角結膜炎とは(りゅうこうせいかくけつまくえん) 流行性角結膜炎 ははやり目とはウイルスで起こる急性の結膜炎のこと。ウイルスは細菌より小さい麻疹、水ぼうそう、風疹、インフルエンザ等を起こす病原体です。はやり目には3種類あります。
@流行性角結膜炎
A結膜咽頭熱(プール熱)
B出血性結膜炎です。
@とAが多く見られる。以前はプールでうつる夏の病気だったのですが、近頃では一年中見られる。
はやり目が怖いのは、伝染力が強く、普通の結膜炎と違って透明な角膜に 小さな混濁が生じ、視力が少し低下する場合がある。特効薬はないので、点眼治療を開始しても直ちに治癒はしません。病勢が強い場合は治療していても一旦悪化する場合もあります。更に片眼だけ悪くて、治療していても他眼もやがて悪くなる場合もある。必ず治癒する病気ですが、完全に治るまでに約2〜3週間かかる。
4134 急性出血性結膜炎とは(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん) 急性出血性結膜炎は、主としてエンテロウイルス70 (EV70)とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)の二つのエンテロウイルスによってひきおこされる、激しい出血症状を伴う結膜炎である。両ウイルスともヒトからヒトへ直接接触伝播する。EV70は1971年、国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部長、甲野禮作らによって発見されたウイルスで、北海道で分離された株が標準株になっている。CA24vはEV70とほぼ同時期の1970年に、東南アジアで流行していた結膜炎患者から分離されたウイルスである。同じ病原性を持ったエンテロウイルスが時期を同 じくしてヒト社会に出現した理由は、今もって謎である。急性出血性結膜炎と診断された患者からは主にEV70 やCA24vが分離されるが、アデノウイルスなどのその他のウイルスが分離されることもある。
4135 慢性結膜炎とは(まんせいけつまくえん) 目薬などの治療にもかかわらず結膜炎の症状がよくならないで、反復再発したり続いたりする場合、これを医学的には慢性結膜炎に分類する。慢性結膜炎の症状として、目がベタベタして乾燥し、軽い異物感などがあります。 治療は、眼瞼の徹底な衛生管理及び適切な抗生剤を使用します。ひどい合併症の誘発が心配される場合は、副腎皮質ホルモン剤を制限的に使わなければならないし、人工涙液の点眼が役に立つこともある。
4136 アレルギー性結膜炎とは(あれるぎーせいびえん) アレルギー性結膜炎は目の結膜に付着したスギ・ヒノキ・ブタクサなどの花粉、ダニ・ハウスダストなどによって引き起こされるアレルギー性疾患で目のかゆみ・充血・めやに・流涙、目がゴロゴロなどを引き起こす。 引き起こす原因となる物質は、アレルギー性鼻炎と殆ど同様で、一年を通して起こる通年性(ダニ、ハウスダストなどによる)、ある季節にだけ起こす季節性(花粉などによる)がある。 アレルギー性鼻炎との合併率は6〜7割と非常に高く、その外にも蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、気管支喘息との合併率が高い。
4137 春季カタルとは(しゅんきかたる) 春季カタルは季節性アレルギー性結膜炎の症状がより重いもので、何が症状を誘発するのかまだはっきりわかっていない。春季カタルは男児に多くみられ、特に10歳以下で湿疹や喘息(ぜんそく)、季節性アレルギーのある小児に多いのが特徴。春季カタルは毎年春になると発症し秋と冬には症状が治る。多くの場合は、青年期までに自然に治る。
4138 フリクテン性結膜炎とは(ふりくてんせいけつまくえん) フリクテン性結膜炎は通常は小児に発症する角結膜炎で,角膜や結膜上の限局性小結節性の炎症(フリクテン)を特徴とし,未知の抗原に対する過敏反応によって起こる。脂漏性眼瞼炎を伴うブドウ球菌の増加による細菌蛋白と,全身性結核の関与が疑われている。フリクテンは多数の黄灰色の小結節として,輪部や角膜,眼球結膜上に現れ,数日から1〜2週間続く。結膜上では潰瘍を形成するが,瘢痕を残さずに治癒する。角膜が侵されると,激しい流涙や羞明,痛み,異物感が著明なことがある。頻繁な再発,特に2次感染を伴うものにより,角膜混濁や血管新生,視力低下が起こることがある。  局所へのコルチコステロイドと抗生物質の併用治療が有用である。
4139 結膜下出血とは(けつまくかしゅっけつ) 目を正面から見ると、黒目の部分と白目の部分に分かれる。黒目の部分は角膜、白目の部分は眼球結膜という。眼球結膜は目の奥で反転し、上下のまぶたの裏側までおおっている。まぶたの裏側の膜は眼瞼結膜という。角膜には血管はないが、結膜には、大小の血管が多数存在する。結膜下出血はこの血管が破れて出血したもので、白目の部分が真っ赤に血に染まります。ほとんどの場合心配はなく出血は、1〜2週間程度で自然に吸収されることが多い。強いものでは2〜3ヶ月ぐらいかかる場合もある。結膜下の出血では、眼球内部に血液が入ることはなく視力の低下の心配はない。
4140 翼状片とは(よくじょうへん) 翼状片とは、白目の表面を覆っている半透明の膜である結膜が、目頭(めがしら)の方から黒目に三角形状に入り込んでくる病気です。自覚症状としては充血や異物感などがある。鏡で自分の目をみれば一目瞭然なので、「白目の一部が黒目に伸びてきた」というような症状。しばしば両目に起こる。原因は不明ですが、高齢者に多く病気の発生には紫外線が関係しているといわれる。翼状片自体は悪性の組織ではなく、症状がなければ放置しても問題はないが、充血や異物感が強くなってくれば点眼などの治療を行う。根本治療には手術が必要。また、翼状片が瞳の近くまで伸びてくると乱視が発生して見えにくくなるため、この場合も手術が必要。ただし、手術を行っても再発することが多く、この傾向は年が若いほど顕著。
4141 角膜炎とは(かくまくえん) 角膜炎は目の表面の角膜が炎症を起した状態。原因は緑膿菌や肺炎球菌等による細菌感染、Fusarium(カビの一種)等による真菌感染(カビ類の感染)、ヘルペスウイルスによるウイルス感染がある。その他、アレルギーや原因不明の変性、乾燥や外傷でも起こりますが、最近問題となっているのがコンタクトレンズによる角膜炎です。眼球のカーブに合わないコンタクトレンズを使用したり、長時間装着していると起こる。角膜炎は失明することもありますので、速やかに眼科受診しなければならない。
4142 角膜びらんとは(かくまくびらん) 眼の角膜表層を占める細胞層である角膜上皮が欠損した状態。上皮全層が欠損した状態(角膜上皮欠損)からわずかな欠損(微小角膜びらん、最近は点状表層角膜症ともいう)までいろいろある。原因は
1)涙の異常でおこるもの
涙液減少症、兎眼
2)角膜知覚異常でおこるもの
神経麻痺性角膜炎、糖尿病
3)外傷で起こるもの
コンタクトレンズ障害、再発性角膜びらん
4)アレルギー反応でおこるもの
春季カタル、眼瞼縁炎
5)細胞分裂の異常で起こる
点眼薬の毒性、電気性眼炎
4143 角膜潰瘍とは(かくまくかいよう) 角膜潰瘍は角膜が傷つき、そこに細菌や真菌(カビなど)、汚染された水の中にみられる原生動物であるアカントアメーバが感染して起こることがある。ウイルス性潰瘍(ヘルペスウイルスによる場合が多い)は、身体的なストレスが引き金になって再発することもあれば、特に原因なく再発することもある。また、眼の中に異物が入ったままになっていた場合や、コンタクトレンズで眼が刺激された場合(特に、コンタクトレンズをつけたまま眠った場合や、レンズの殺菌消毒が不十分な場合)にも角膜潰瘍が生じることがある。ビタミンAやタンパク質の不足が原因で角膜潰瘍ができることもあるが、このような原因で起こる角膜潰瘍は現在ではほとんどみられない。
4144 角膜ヘルペスとは(かくまくへるぺす) 単純ヘルペスウイルスによる角膜感染症を角膜ヘルペスと呼ぶ。ちなみに、このウイルスは口唇ヘルペス(熱の華)を引き起こすウイルスと同じです。大部分の人は成人になるまでに、このウイルスに感染しているが、発症はあまりしない。 感染後、ウイルスは三叉神経節(目の後ろにある)に潜伏感染する。成人になった後、発熱やストレス、疲労が誘因となって、神経節のウイルスが活性化して発症する。症状としては、眼痛・なみだ目・充血が起こり視力が落ちてくる。他の目の病気と異なり、よく再発することが特徴で目の感染症の中で、一番失明率が高い病気。しかし、近年、角膜ヘルペスに対して非常に効果を発揮する特効薬(アシクロビル)か開発され、失明率は低下した。他の人に伝染することはあまりありませんが、ウイルスに対して抗体を持っていない乳幼児に対しては注意が必要。
4145 乾性角結膜炎とは、ドライアイとは(かんせいかくけつまくえん、どらいあい) 乾性角結膜炎は別名ドライアイといい、結膜と角膜が乾燥する病気。 ドライアイには、
1)涙液欠乏性ドライアイ
涙の分泌量不足が原因で起こるものがある。このタイプは結膜と角膜を完全に覆う涙液層をつくるのに十分な量の涙を、涙腺が分泌できない。この症状は閉経後の女性で最も多くみられる。涙液欠乏性ドライアイは関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群といった全身疾患の症状の1つとして発現することもある。
2)蒸発性ドライアイ
涙の成分に異常があり涙がすぐに蒸発してしまうために起こるものもある。
ドライアイの症状としては、眼の刺激感、ヒリヒリ感、かゆみ、つっぱるような感じ、眼の奥の圧迫感、眼に何かが入っている感じなどがある。特定の薬剤の使用も症状を悪化させることがある。具体的にはイソトレチノイン、トランキライザー(精神安定薬)、利尿薬、降圧薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬などです。
治療は人工涙液(人の涙に似た成分でつくられた点眼薬)を数時間ごとに眼に差すことで、症状を和らげる。眼にとどまる涙の量を増やすため、眼から鼻へ流れる涙の経路をふさぐ簡単な手術を行うこともある。眼の乾燥が激しい場合は、涙の蒸発を防ぐためにまぶたの一部を縫い合わせることもある。
4146 雪眼炎とは、電気性眼炎とは(せつがんえん、でんきせいがんえん) 雪眼炎は紫外線が強いとき、長時間日光にあたっているときに起こります。しかし日差しがさほど強くなくても、海面、船のデッキ、雪面などで反射されることにより紫外線が増幅されて起こります。日光にあたった後すぐ起こるのではなく、6〜10時間後に異物感、流涙、まぶしさ、痛みなどの症状が出始めます。角膜自体に影響を及ぼすことはまれです。
電気性眼炎は電気溶接、水銀灯などを見つめた後に起こる。
4147 細菌性角膜潰瘍とは(さいきんせいかくまくかいよう) 角膜が傷ついたり、抵抗力が弱まって細菌感染をおこし、組織の表面が削れ、深くえぐれてくる病変。感染をおこす細菌は、肺炎球菌、ぶどう球菌、連鎖球菌、緑膿菌などや真菌のこともある。涙っぽい、まぶしい、激しい眼痛、結膜の充血などの症状があり、進行と共に潰瘍がしだいに大きくなると、眼痛もより激しくなる。原因となる細菌を検査し決定するには時間がかかるので、ただちに色々な種類の細菌に有効な広範囲抗生物質を使用する。しかし、真菌や耐性菌の感染が原因のときには抗生物質が効かない。角膜潰瘍は、いろいろな原因でおこるが、もっとも多く、失明の危険性さえあるのが、この細菌性角膜潰瘍です。
4148 蚕食性角膜潰瘍とは(さんしょくせいかくまくかいよう) 蚕食性角膜潰瘍は、角膜組織が融解して、角膜の周辺部に潰瘍ができるもので、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患に合併する例もあります。ほとんど両目に起こりますが、頻度の高い病気ではない。治療はステロイド薬の内服、点眼または手術療法を行う。
4149 円錐角膜とは(えんすいかくまく) 円錐角膜は角膜の中央が薄くなりかつ前方へ突出してくる病気です。角膜が変形してしまい円錐状に突出した角膜を通して物を見るため、見え方に歪みが生じ視力が低下する。円錐角膜の原因はまだわかってないが、円錐角膜の人はアレルギーの傾向にある人が多いといわれる。また、目をこするという動作もよくない。 病気の原因が不明なので根治する方法はまだ見つかってないが多くの場合ハードコンタクトレンズを装用することで視力を維持することができる。
4150 角膜ジストロフィーとは(かくまくじすとろふぃー) 目の黒い部分の表面は、ものを見るために透明になっています。この透明の膜を角膜といいます。角膜ジストロフィーとは遺伝的に角膜に問題があって、角膜が濁ったり、角膜に水ぶくれができたりとその症状は様々です。若いときに発症してゆっくりと進行していくことが多い。初期症状は大体が両目に発症し、角膜が濁ってしまった場合には視力の低下、少しの光でもまぶしいなどの症状がある。 進行すると極端に視力が低下する。治療としては、角膜の移植手術しかありませんが、移植をしても再発することが多い。
4151 強膜炎とは(きょうまくえん) 強膜炎は非常に強い痛みを伴う炎症で、強膜が紫色になり視力に重大な影響を与える。強膜炎は、30代から50代の成人に最も多くみられ、男性よりも女性に多く発症します。患者の3分の1では両眼に発症する。強膜炎は関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、あるいはその他の自己免疫疾患を伴うことがある。強膜炎の症例の約半数ではその原因が不明。強膜炎の診断は、症状とスリットランプによる観察所見に基づきます。超音波検査やCT検査で強膜炎の徴候が見つかることもある。治療には非ステロイド性抗炎症薬や、プレドニゾロンなどのステロイド薬を服用する。点眼薬や軟膏は強膜炎にはほとんど効果がない。関節リウマチがある場合やステロイド薬の効き目がない場合は、シクロホスファミド、アザチオプリンなどの免疫抑制薬が必要になることがある。
4152 アカントアメーバ角膜炎とは(あかんとあめーばかくまくえん) アカントアメーバと呼ばれる微生物が原因で起こる角膜感染症です。アカントアメーバ角膜炎を発症した人の半数はソフトコンタクトレンズ使用者であり、取り扱いが不適切である場合がほとんどです。治療には抗真菌薬が用いられますが、極めて治りにくいのが特徴。
4153 虹彩炎とは(こうさいえん) 正面から目を見て透明な角膜の奥にひとみが中心部にあって、その回りに茶色の部分があり、これを虹彩という。虹彩は明るいところではひとみを小さくしますが、暗いところではひとみが大きくなり虹彩の面積が小さくなります。つまりカメラの絞りに当たる。虹彩は色素と血管がたくさんある。虹彩炎の原因は様々で、野球やサッカーのボールが直接目の当たった様なケガから、全身的な病気、例えば結核、梅毒、リウマチ、さらに糖尿病、痛風から起こることもある。虹彩炎の症状は、特に明るいところで目の痛みが強く、まぶしい、視力の低下、目の前に蚊が飛んでいる様に見えたり、角膜の回りに充血が起こる。放置すると虹彩がひとみのところで癒着をおこし緑内障になる危険がある。虹彩炎の治療は、虹彩が光に対し反応しない様に安静をはかること。虹彩がひとみのところで癒着しないようにさらに虹彩の面積を小さくするため、ひとみを大きくするような目薬を使う。炎症を抑えるために、ステロイドの目薬や内服を使うこともある。
4154 虹彩毛様体炎とは(こうさいもうようたいえん) 虹彩毛様体とはいわゆる「茶目」の部分で、そこに生じた炎症を虹彩毛様体炎といいます。 原因となる疾患はひとつではありません。たとえば「急性腹症(腹痛)」の場合、その原因は一時的な食あたりや便秘から、虫垂炎・胃潰瘍・急性膵炎・腹膜炎など多岐にわたり、それぞれ治療法も治りやすさも違います。虹彩毛様体炎の場合も、原因のはっきりしない一時的なものから、ウイルス等の感染によるもの、ベーチェット病・潰瘍性大腸炎・強直性脊椎炎などの全身疾患に伴うものなど様々です。 ですから治療も短期間の点眼治療だけで治ってしまうこともあれば、比較的長期の内服治療が必要となることもありますし、いったん改善しても、ストレスにより体の抵抗力が落ちたときなどに再発するものもあります。 このようにひとくちに虹彩毛様体炎といっても、患者さんによってその程度、治療法、治りやすさが異なりますので、眼科で炎症の程度にあった適切な治療を受けることがよいかと思われます。 (ただ原因を特定するには血液検査やレントゲン撮影が必要になることが多いですから、既に点眼治療を受けていてそれでも治りにくい場合は専門のぶどう膜炎外来のある病院を受診されることをお勧めします。)
4155 中心性脈絡網膜症とは、中心性網脈絡膜炎とは(ちゅうしんせいみゃくらくもうまくしょう、ちゅうしんせいもうみゃくらくまくえん)) 中心性脈絡網膜症は中心性網脈絡膜炎ともいう。 網膜の中心部にある黄斑部というところが腫れて、視力が低下する病気。30代、40代の働き盛りの男性の片眼に多く、患眼だけで物を見ると、かすんだり、あるいはゆがんで見える。この病気は失明したりすることはありませんが、再発しやすく、腫れのひいた後も、網膜にシワができて物が多少ゆがんで見えることがある。治療としては、まず心身の安静を守り、網膜の黄斑部の腫れを取り除くために薬を使用する。通常、数ヶ月から1年程度で治る。腫れが強い場合や再発を繰り返すときには、蛍光眼底造影検査で見つけた水漏れ部分に、光凝固療法を行う。 この治療は、水漏れ部分にレーザー光線で光凝固して患部を固め、水漏れの広がりを止める。大体3週間程度で腫れがひく。 しかし、光凝固法も、検査の結果水漏れ部分が黄斑部中央付近(中心窩)に近い場合には、行うことができない場合もある。
4156 原田病とは(はらだびょう) 原田病は日本人に多いぶどう膜炎の一つで網膜の抗原、あるいは全身のメラノサイトという色素を持つ細胞に対する自己免疫疾患。20〜30歳代に多くみられる。中心部の網膜の下に水がたまり網膜がはがれます。また視神経に腫れがおきる。これらによって急に視力がおちたり、眼がかすんだりする。炎症が起きると同時にめまい、嘔吐、頭痛、耳鳴り、難聴などがおき、2か月ほどすると皮膚や頭髪、眉毛(まゆげ)が白くなることがある。2〜3か月で症状がおさまり視力も良くなることが多いのですが、中には長く炎症が続き視力が回復しない場合もある。いったんおさまった後に再発することもある。治った後の眼底をみると赤く明るく見え、夕焼け眼底とよばれる。治療はステロイド剤、散瞳剤の点眼する。またステロイド剤の点滴や内服もおこなう。
4157 サルコイドージスとは(さるこいどーじす) サルコイドージスは全身性に肉芽腫病変を形成してくる原因不明の疾患であり、喫煙者に有意に少ないことが知られる。本症では高率に肺門縦隔リンパ節腫脹、リンパ球浸潤を主体とした肺胞隔炎と肉芽腫を形成するが、これらの病理学的な変化の割には咳や息切れなどの臨床症状に乏しいのが特徴である。サルコイドージスの肺病変形成には肺胞マクロファージやTリンパ球などの細胞性免疫を介した機序が重要とされ、これらの細胞間の情報伝達には細胞間接着因子のほかにサイトカインが重要視されている。サルコイドージスは国の指定する難病(特定疾患治療研究事業の対象疾患)になっているので、手続きをすれば医療費(手続きをした病院だけ)は免除される。難病ということは、残念ながら治りにくい、治らない病気と言うことになる。治療方法としては、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)による治療しかない。すぐに命を取られるような病気ではないので、経験の豊富な専門医に診てもらって、根気よく治療を続ける必要がある。
4158 内因性真菌性眼内炎とは(ないいんせいしんきんせいがんないえん) 内因性真菌性眼内炎は癌などに対する手術後,白血病などの免疫力が低下した全身疾患患者に認められる疾患である。その多くは抗生剤,抗癌剤,ステロイド剤などの投薬を受けており,約90%は経中心静脈高カロリー輸液(IVH)挿入患者である。真菌血症を契機に血行性に真菌が眼球内に侵入して発症し,医原性疾患であるといえる。早期に発見し抗真菌薬の投与を開始すれば視機能を維持することができるが,発見,治療が遅れれば視機能低下や失明にいたる。治療には抗真菌薬を充分な量投与する。
4159 サイトメガロウイルス網膜炎とは(さいとめがろういるすもうまくえん) サイトメガロウイルス網膜炎の病原体はサイトメガロウイルス。臨床症状の初期に自覚症状はほとんど見られない。 眼底所見には血管の走行に沿った網膜の黄白色の斑状あるいは顆粒状病変が見られ、その中に網膜出血が散在する。
1)初期療法
デノシン(点滴)、 ホスカビル(点滴)で全身療法で行う。
2)維持療法
デノシン(点滴)、ホスカビル(点滴)、 デノシン(経口)の全身療法を行うとともに、デノシンの硝子体注入(週1回)、徐放性ガンシクロビル製剤の眼内移植(約6ヶ月有効)
4160 トキソプラズマ網脈絡膜炎とは(ときそぷらずまもうみゃくらくまくえん) トキソプラズマ原虫の感染症で眼病変を起こすのはほとんどが妊婦から胎児に感染する先天的感染症です。好発部位が黄斑部であるため視力障害が著しく一度なおっても再発しやすい。治療は抗生物質や副腎皮質ホルモンを併用する。
4161 桐沢型ぶどう膜炎とは、急性網膜壊死とは(きりさわがたぶどうまくえん、きゅうせいもうまくえし) 桐沢型ぶどう膜炎は別名急性網膜壊死でこの病気は急性の経過をとり、予後不良となりやすい疾患です。この病気は初期病変を的確に捉え、その後速やかに治療に入ることにより視力予後は飛躍的に向上しますが、一方で放置された期間が長いほど失明に至る確率も高くなります。 豚脂様角膜後面沈着物を伴う急性虹彩毛様体炎で発症し、同時もしくは2〜3日以内に網膜動脈周囲炎や網膜滲出斑を認めるようになる。 この際、高眼圧や視神経乳頭の腫脹を伴うことが多く、約一週間で滲出斑は拡大融合して眼底周辺部のほぼ全周に病変が及びます。やがて網膜は萎縮して周辺に多数の裂孔が生じ、2〜3ヶ月で網膜剥離が起こる。 多くは網膜全剥離の結果として眼球癆、ときには経過中に出現した視神経症や中心動脈閉塞のために失明する。
4162 転移性脈絡膜腫瘍とは(てんいせいみゃくらくまくしゅよう) 転移性脈絡膜腫瘍は、体のほかの部分に発生した癌が眼に転移したもの。脈絡膜は血液供給が豊富なため、癌が転移しやすい部位になっている。女性の場合は乳癌からの転移が最も多く、男性の場合は肺癌と前立腺癌からの転移が多い。 これらの癌は多くの場合、自覚症状がなく、眼の定期検診などで偶然発見されることもある。初期症状は視力低下や閃光が見えることなど。網膜剥離や重度の視力障害も起こる。 診断を確定するため、細い針で眼球から組織のサンプルを採取して顕微鏡で観察することもあります(生検)。治療としては化学療法や放射線療法が行われる。
4163 硝子体出血とは(しょうしたいしゅっけつ) 硝子体出血は網膜の血管から出血した血液が硝子体のなかまで入りこんできたものを、硝子体出血という。原因はさまざまで、糖尿病からくる糖尿病性網膜症、動脈硬化からくる網膜静脈閉塞症などのように、異常にもろい血管ができて出血したり、網膜に穴があいたときいっしょに血管も切れて出血する。そのほか、網膜の血管の炎症や腫瘍、外傷でもおこる。 症状は 突然ちらちらしたかと思うと急激にものがみえなくなり、なかには血液の赤い色がみえたりすることもある。原因となった病気の治療を行なう。出血が新しければ、なるべく頭を高くした姿勢で安静にして止血薬を内服する。出血がひかないときは硝子体の手術をする。出血の予防として、異常なもろい血管ができる前にレーザー治療を行なう場合がある。
4164 硝子体混濁とは(しょうしたいこんだく) 硝子体混濁は本来透明な硝子体が濁り、視力障害となるものである。原因は網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎等である。症状は飛蚊症、視界にチリや輪状のものが浮遊して見える、視力がなくなるなど。治療は薬物療法、手術がある。
4165 網膜中心動脈閉塞症とは(もうまくちゅうしんどうみゃくへいそくしょう) 網膜中心動脈閉塞症は網膜中心動脈(網膜へ養分、酸素を運ぶ)が塞がり血液が流れなくなるものである。原因は動脈硬化、心臓病等による血流障害である。症状は片目の視力を失う。治療は血管拡張剤を使い、手術の場合もある。
4166 網膜中心静脈閉塞症とは(もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう) 網膜中心静脈閉塞症は網膜中心静脈が閉塞して、血流が阻害され、血液があふれて、網膜に障害を起こすものである。原因としては動脈硬化症、糖尿病、血管の炎症による血栓等である。緑内障の併発があるので、要注意である。症状は視力の急低下。治療は血栓溶解の薬物を使う。外科的処置の場合もある。
4167 網膜剥離とは(もうまくはくり) 網膜剥離とは網膜が網膜色素上皮からはがれて硝子体の方へ浮き出す病気。放っておくと失明する。網膜剥離になってしまったら、なるべく早く手術をしなければならない。
症状
1)黒い点やゴミのようなものが見える
2)眼の中でチカチカ光った物が見える
3)見ているものの一部が見えない、見えにくい4)見たいものがはっきり見えない
原因
神経網膜が何らかの原因で網膜色素上皮細胞からはがれて、硝子体の中に浮き上がってしまう事が原因。網膜剥離は網膜に裂孔(裂け目)ができる事に伴う「裂孔原性網膜剥離」が一般的です。
1)裂孔原性網膜剥離
眼球の中の硝子体は中高年になると水っぽくなり、眼球の動きとともに硝子体が眼球内でより揺れ動くようになります(液化硝子体)。硝子体と網膜が強く癒着している部分があると、眼球の動きで網膜が引っ張られ、裂孔ができてしまう。その裂孔から液化硝子体が網膜下に入り込むと、網膜ははがれる。これが裂孔原性網膜剥離。  また、ボールが目に当たるなど、強い力が目に加わって網膜が剥離してしまう「外傷性網膜剥離」も裂孔原性網膜剥離のひとつです。ボクシングの選手などが目への打撃で網膜
2)その他の網膜剥離
糖尿病網膜症では出血しやすい血管を含んだ膜が網膜の上にでき、これが収縮して網膜を引っ張ると、網膜が剥離する。また、ぶどう膜に炎症があったり、眼内腫瘍などがあると、網膜血管や脈絡膜から血液中の水分が滲み出し、網膜下にたまって網膜が剥離することがある。
4168 飛蚊症とは(ひぶんしょう) 飛蚊症は目の内部を満たす硝子体は通常ゼリー状だが、加齢により一部が液状化する事がある。その場合に硝子体にわずかに含まれる繊維が分離する。その繊維が網膜像に映りこむと、飛蚊症の症状が発生する。また、その際に網膜が引っ張られると、光視症が発生する場合もある。視界に糸くずや黒い影、蚊のようなものが見え、それが動き回る。白いものや空を見た場合によく見える。多くの場合加齢により自然発生する。飛蚊症自体は目の機能に問題はないが、網膜剥離の初期症状としてあらわれる事もあるので、眼科の受診が必要。多くの場合、特に常時見えるわけではなく不明瞭にしか見えない場合には、病的な意義はほとんどない。検査で他の重大な病気が認められなかった場合、目の機能に問題はない。知られている治療法はない。
4169 網膜色素変性症とは(もうまくしきそへんせいしょう) 網膜色素変性症はまれな病気で、網膜に変性が起こり、進行してやがて失明に至る。遺伝性の病気です。網膜色素変性症では、網膜にある光受容細胞のうち、薄暗いところでものを見る際に働く細胞(桿体細胞)が徐々に壊れる。そのため薄暗いところではものが見えにくくなる。幼少期に最初の症状が現れることが多く、長い期間を経て周辺視野が徐々に見えなくなっていく。病気が後期段階に至ると視野の中央部の狭い部分しか見えなくなりますが(トンネル視)、周辺視野が部分的に残っていることもあります。この病気による網膜損傷の進行を遅らせる治療法はまだ確立されてない。ビタミンAの大量投与が有効とする説もあるが、その効果はまだはっきりしていない。胎児の網膜を移植する実験的治療が視力改善に効果を上げた例が報告されている。
4170 中心性網膜炎とは(ちゅうしんせいもうまくえん) 網膜の中心にある黄斑部に水がたまる病気。再発性に起こる。 この水分は網膜の外側の脈絡膜から漏れ出すもの。30〜40代の男性に多いことから、ストレスが原因といわれている。ゆがんで見える、中心が見にくい。 3〜6ヶ月で自然に治ることが多く、循環改善剤などの飲み薬で経過を見る。 また、水分が漏れている部分がレーザー凝固できれば回復が早くなる。しかし、すべての人がレーザーの適応にはならない。この病気にかかりやすい人は、後に加齢性黄斑変性という重い病気になりやすと言われている。
4171 老人性円板状黄斑変性症とは(ろうじんせいえんばんじょうおうはんへんせいしょう) 老化が原因で黄斑に出血やむくみが生じ、視力が低下する病気。50歳以上の男性に多く 、両眼に発症しているとされます。初期には、見ている対象の中心がぼやけたり、 ゆがむ、暗くなるといった症状が現れる。進行するに従って、視力が低下していきます。症状が片目に限られていると、異常に気づきにくい。新生血管が中心窩に存在するか否かによって治療法が異なる。
新生血管が中心窩から離れている場合
レーザー光凝固が有効。
新生血管が中心窩に及んでいる場合、
治療が困難で視力予後が不良な例が多い。新生血管の光凝固を施行すると中心窩の網膜も傷害されるため、視力がかなり低下してしまいます。それ故、新生血管の栄養血管の光凝固、低線量放射線療法、抗血管新生薬、手術療法[脈絡膜新生血管抜去術、中心窩移動術]、光線力学療法、温熱療法など様々な治療が行われる。
4172 網膜芽細胞腫とは(もうまくがさいぼうしゅ) 網膜芽細胞腫は網膜から発生する悪性腫瘍、つまり小児に発症する目のがんのこと。その発症する頻度は、性別・人種・地域による違いはなく、約15,000人に 1人の割合で6歳位までの子どもの網膜にできます。腫瘍によって網膜が侵されるため、目が見えずらくなったり異常が起きる。主な症状としては眼球の中で腫瘍が大きくなり、瞳を通して光って見える「白色瞳孔」、斜視(2つの眼球の向きがちぐはぐな場合)などがある。以前は、眼球摘出しか治療方法がありませんでしたが、最近では放射線療法、光凝固や冷凍凝固などの化学療法、温熱療法などが進み、眼球を保存できる治療も多く行われている。しかし、発見が遅れると眼球保存できる確立も下がるうえ、治療しないでおくと転移をおこし、死亡する可能性も出てくる。 お子さんの瞳が電気の下や暗がりなどで白く光って見えたり、斜視などの症状があった時は、眼科に相談しなければならない。
4173 黄斑円孔とは(おうはんえんこう) 黄斑円孔は、網膜の黄斑部に孔ができ、視力が悪くなる病気。50歳以上の中高年者に見られることが多く、若い人にはほとんどみられない。男性よりも女性に多く見られる。通常、一方の眼に発生し、徐々に視力が悪くなるす。見ようとする部位(視線に一致する部位)が見えなかったり、ゆがんで見えたりし、視力が悪くなる。見ようとしている部位の周囲(視線以外の部位)は普通に見える。治療しないで放置すると、0.1以下の視力になることがほとんどです1990年頃までは不治の病といわれていましたが、最近では硝子体手術という手術を行う。この手術は眼の中に詰まっている硝子体を除去し、眼の中にガスを充満させる。手術後には黄斑部にガスがうまく当たるように「うつ伏せ」の姿勢を保つ。このような手術により多くの人(90%以上)では、孔が閉じて、手術前に比べて視力がよくなる。硝子体手術と同時に白内障の手術も行なうことがある。手術の時期も非常に大切で、発症してから期間があまり長くなると手術成績が悪くなり、十分な視力がでにくくなるので、早めの手術が必要。 自然に治ることは非常に稀であり、この病気に効く目薬や飲み薬はない。
4174 黄斑部網膜上膜形成症とは(おうはんぶもうまくじょうまくけいせいしょう) 黄斑部網膜上膜形成症(別名:セロファン黄斑症、黄斑前線維症、網膜前膜)とは、網膜の上に薄い膜が形成され、そのために視力が障害される病気。一般に50歳以上で発症し、75歳以上の人に多くみられる。網膜上膜とは網膜の上にできる瘢痕組織の薄い膜で、この膜が収縮するためその下の網膜にしわが生じます。 眼球の後部を満たしているゼリー状の硝子体(しょうしたい)液は、年をとるにつれて縮んでいく。網膜にしわができる原因は、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、網膜剥離、眼の外傷などさまざまです。 この病気の症状は、視界がぼやける、ものがゆがんで見える(直線が波打って見える)など。診断は検眼鏡による観察で行う。蛍光眼底造影法も診断に役立つ。視力障害が著しい場合は網膜上にできた膜を膜剥離術で除去する。この手術は局所麻酔で行い、30分程度で終わる。
4175 視神経炎とは(ししんけいえん) 視神経は網膜に映った物の形や色、光などの情報を脳神経細胞に伝達するという役割がある。この視神経が障害されると、物を見る働きも損なわれる。「視神経炎」と「視神経症」は、ともにこの視神経が障害される病気ですが、厳密には、視神経の炎症によるものを視神経炎、炎症性でないものを視神経症と区別する。 実際の診断は、すぐに鑑別のつかないことも多いため、視神経症も含めて視神経炎といわれることもある。視神経炎も視神経症も、急激に視力が低下し、視野の真ん中の、見ようとするものが 見えにくくなる「中心暗点」が起こる。頻度の高い病気ではないが、怖い病気です。
4176 虚血性視神経症とは(きょけつせいしんけいしょう) 視神経に酸素や栄養を届けている血管が詰まったり炎症が起きて、視神経の機能が妨げられる病気。視神経に起きた脳卒中ともいえる。視力低下や視野異常が突然おこる。脳卒中と同じで、午前中に発病しやすい病気。発病時は片方の眼だけに起こるが、時期をずらしてもう片方の眼に発病することがある。発病しやすい人は血流障害が関係しているので、血流障害を起こしやすい高齢者や、高血圧・高脂血症・糖尿病などがある人です。また、視神経乳頭の径が小さい人に発病しやすい。虚血の治療に血管拡張薬を使用したり、ビタミン薬で視神経の修復を促したり、ステロイド薬で血管の炎症や浮腫を抑えたりする。 視力や視野は、時間の経過とともに少し改善しますが、元に戻ることはあまりない。
4177 レーベル病とは(れーべるびょう) 主に中年男性に発症する両眼性視神経神経障害です。ミトコンドリア代謝障害のある先天的異常疾患です。急激な視力低下で中心が見にくくなる。治療法はないがミトコンドリア代謝賦活剤などを用い飲酒喫煙を禁じる。
4178 仮性近視とは(かせいきんし) 仮性近視は医学的には「偽近視」または「調節痙攣」と言い、視力低下が始まってからまだそれほど期間が経っていない、非常に軽い近視の事を言う。視力低下が始まって6ヶ月くらい経過すると、真性近視へと進行する。中には目の酷使によって3ヶ月ぐらいで真性近視になる人もいる。
4179 遠視とは(えんし) 遠視は網膜の後方で像を結び、遠くを見るときも近くを見るときも常に目に遠近調節を強いられます。 したがって遠視は、遠くも近くも見えにくく、仮に見えたとしても大変疲れると言える。そのために、視力が良好であってもメガネが必要なケースもあ。同じ遠視でも屈折度の強さによってめがねが必要かどうかや、その使い方などはさまざまです。
1)随意遠視
視力も良く、遠近ともに充分に調節できている比較的軽い状態の遠視のこと。眼が疲れない限りメガネをかける必要はない。
2)相対遠視
ある程度の視力はあっても遠視の度が強いために近くを見たときに輻輳が強く起きて内斜視を起こしてしまう遠視のこと。この場合はメガネが必要。
3)絶対遠視
遠視の度がかなり強く、メガネを使用しないと良い視力が得られない。幼児期に無理に裸眼で過ごさせると、弱視になる可能性がある。
4180 弱視とは(じゃくし) 裸眼視力が0.3以下で、どのような矯正を試みても0.4以上の視力が出ない眼を「弱視」と言う。弱視は2つに分類できる。
1)器質的弱視
視覚伝導路に回復困難な異常があるもの。
2)機能的弱視
物を見るという眼の本来の機能が低下しているもの。
器質的弱視は、原因を解明しその状況に合った治療を行わないと視力は回復しない。しかし機能的弱視は、トレーニングで眼が本来持っている機能を引き出すことにより、回復が可能になる。そのためには、眼の状態に合ったメガネをかけることが第一条件です。
4181 老視とは(ろうし) 老視とは、遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを変える力が衰えることによって起こるもので、近くのものを見る際に困難をきたした状況をさす。昔から俗に「老眼」と呼ばれ。近用眼鏡(老眼鏡)を使用する。老眼鏡にもさまざまな種類があり、目的に応じて選ぶ。
4182 不正乱視とは(ふせいらんし) 角膜の表面が凸凹なものを言う。角膜疾患が原因で、後天的に不正乱視となる場合もる。 不正乱視の場合には、乱視矯正で使用される円柱レンズでは矯正することが出来ないため、コンタクトレンズで矯正するが、完全に矯正出来ない場合もある。
4183 正乱視とは(せいらんし) 角膜の曲がり具合が、一方向で最も強く(強主径線)、これに直行(90°方向)する方向が最も弱く(弱主径線)、両線の間がなだらかに変化しているものを、正乱視と言う。
1)直乱視
正乱視の強主径線が垂直方向のものを直乱視と言う。 正乱視の90%程度がこの、直乱視が占める。
2)倒乱視
正乱視の強主径線が水平方向のものを倒乱視とう。
3)斜乱視
まれに強主径線が斜め方向の場合があるが、これを斜乱視と言う。
4184 緑内障とは(りょくないしょう) 緑内障は一般に「あおそこひ」とも言われ、眼が固くなる病気で、これを眼圧が高いと言います。高い眼圧がつづくと視神経がおかされ、視力が低下し、見える範囲も狭くなってくる。緑内障は大きく二つのタイプに分けられます。
急性のものは、閉塞偶角緑内障と言われ、激しい眼の痛み、頭痛、吐き気があり、内科の病気と間違われることもある。しかし、眼が充血し、視力が極端に低下するのですぐに眼科医の治療を受けることが必要。  
慢性のものは、開放偶角緑内障と言われ、症状が少なく、初期の頃は「眼がかすむ」「少し重い感じがする」ぐらいのものです。それで「疲れ目」と思い込んでしまう人が多いようです。その結果、症状が進行してから眼科を訪れることになり、治りも悪くなります。中年過ぎの人は自覚症状がなくとも、一度は専門医の診察を受けられる方がよい。 治療は眼圧を正常に下げることが目的です。まず点眼薬の使用する。点眼薬のみで充分に眼圧が下がらない時は、内服薬を用いる。それでも進行する時に手術を考えることになります。しかし、レーザー治療のおかげで手術をする人は減った。
4185 閃輝性暗点とは(せんきせいあんてん) 閃輝性暗点とは、ものを見ている所に片側の眼に小さい見えない部分(視野欠損部)が現われ、これが次第に大きくなる。その見えない部分では、辺縁がジグザグ状に輝いて見える。 この閃輝性暗点が5〜20分程続いた後吐き気などが出現し、光りや音の敏感とな り、突然頭痛が出現しする。はじめの内は拍動性の頭痛ですがやがて持続的な激しい頭痛になる。頭痛の直前には、言葉が話せなくなったり(失語)、 手のしびれ(感覚障害)や身体の片側が 麻痺(片麻痺)などが起ることもある。 頭痛が起ると4時間から、長いものでは3日間も続くこともある。この頭痛を 起こしやすくするもの(誘発因子)としては、ストレス、光りや騒音、ホルモン薬 の服用、生理や妊娠、食べ物(血管に作用する物質を多く含む食物、例えば、アル コール、チョコレート、ナッツ等)などがある。
4186 眼精疲労とは(がんせいひろう) 眼精疲労とは眠れば眼の疲れは取れるのは「疲れ目」です。「眼精疲労」とは休憩をとっても目の痛みやかすみ、頭痛などの症状が残ったり、あるいは回復したと思ったらすぐまた目の疲れが出てきたりするもの。疲れ目より眼精疲労のほうは症状が重い。眼精疲労の主な自覚症状は目に関するものとして、疲れによる充血、かすみや視力の低下など。また目以外でも、身体の痛み、肩こり、胃痛や食欲不振、便秘などが起こることがある。ひどい場合は目の裏側まで強い痛みや吐き気をもよおすほどです。さらに進行すると、イライラや不安感、抑うつ、といった自律神経の症状へ発展することもある。治療は原因となる要因を取り除くこと。
4187 斜視とは(しゃし) 斜視とは,両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。外見上は片方の目が正しい方向を向いているのに,他の目が内側や外側,あるいは上下に向いている異常です。
4188 眼筋まひとは(がんきんまひ) 「眼筋まひ」とは脳や神経、あるいは眼窩に異常が生じることによって、眼筋(眼球を動かしている筋肉)がまひする病気。眼筋がまひすると、眼球運動が障害されるために、左右の目の視線が一致しなくなり、物が二重に見える「複視」が自覚症状として現れる。眼筋まひは、さまざまな全身の病気が原因で起こる。脳腫瘍や脳動脈瘤、高血圧症や糖尿病、甲状腺機能異常などの全身病が見つかる場合も少なくない。
4189 眼球振盪とは(がんきゅうしんとう) 無意識に片眼あるいは両眼が規則正しく左右、上下または回転性に振れるものです。眼振の根本的治療はない。ただし、プリズムやコンタクトレンズ、薬物治療やフィードバック療法あるいは手術で振幅や頻度の減弱とそれに伴う動揺視軽減によって視力向上、頭部傾斜の軽減は可能である。
4190 眼球突出とは(がんきゅうとっしゅつ) 眼球突出は眼球が異常に突出している状態を言います。甲状腺機能亢進症(バセドー病)といった全身の病気から起こることがありますが、その他に眼窩内に腫瘍ができ、眼球が前に押し出されたり、外傷によって起こることもあります。   治療はそれぞれの原因に応じて行われますが、治療の難しいこともある。
4191 眼窩腫瘍とは(がんかしゅよう) 眼窩内に発生する腫瘍には悪性および良性のものがある。腫瘍があるかないかの診断は容易ですが悪性、良性の区別は困難である。急速に眼球突出するものは一般に悪性である。治療は手術的に完全摘出するのが原則であるが悪性でないものや摘出困難なものは保存的に経過観察する場合や薬物治療や放射線治療を行う場合もある。
4192 先天性耳瘻孔とは (せんてんせいじろうこう) 先天性耳瘻孔は耳の入り口の周辺に、生まれつき開いている小さい穴で、中は袋状になっています。日本人には頻度の高いもので、症状が無ければ何もする必要はありませんが、いちど炎症をおこすと繰り返す傾向があり、その場合は袋全体を摘出します。
4193 外耳道異物とは(がいじどういぶつ) 外耳道は、25〜35oのS状の筒です。外側半分が軟骨部、内側半分が骨部に分かれています。外耳道は外耳孔を通じて外界に開放されているので、色々な異物が入る可能性がある。子供では、小石やビーズ玉、玩具の銃の弾などがある。大人では、耳掻きや綿棒の先端が耳掃除中に折れて残ってしまうものが多い。また、昆虫などの生物が外耳道に迷入してしまうこともある。症状は、耳痛、耳鳴、違和感、出血など。治療は異物の摘出ですが、外耳道の突き当たりは鼓膜ですので、鼓膜を損傷しないように気をつけなければなりません。ほとんどの場合は外来で摘出可能ですが、疼痛が激しい場合や乳幼児の場合には全身麻酔下で摘出しなければならないこともある。  
4194 耳垢栓塞とは(じこうせんそく) 耳垢が外耳道をふさいで聞こえが悪くなる。耳鼻科で耳垢水と言うグリセリンと重曹の混合液を点耳し、耳垢を溶かしてから外耳道を洗浄する。
4195 外耳道炎とは(がいじどうえん) 外耳炎ともいう。耳かきや爪などで傷ついた外耳道の皮フから細菌が感染し、炎症を起こす。外耳道の入り口に近い毛穴などに細菌が感染し、化膿した状態になる限局性外耳道炎(耳せつともいう)と外耳道全体に炎症が広がるびまん性外耳炎の2種類がある。びまん性外耳炎の原因には、細菌感染のほか湿疹、染毛剤によるかぶれ、慢性中耳炎での耳漏などがある。外耳道を洗浄、消毒して、抗生物質やステロイド剤での治療を行う。
4196 耳せつとは(じせつ) 耳せつ(耳のおでき)は細菌が毛穴に入って起こる病気で、指・爪・耳かき等による傷や中耳炎の耳だれ、水泳等による感染で起こる。痛みは激しく耳たぶを引っ張ったり、押すと強くなる。
4197 耳介湿疹とは(じかいしっしん) 耳介にできる湿疹。耳介は耳漏、涙、オキシフルや抗生物質を塗ることが刺激になって湿疹ができる。糖尿病や神経症の人はなりやすい。
4198 ハント症候群とは(はんとしょうこうぐん) ハント症候群は、簡単に言うと帯状疱疹ウイルスが8番目の脳神経周囲に潜んでいて、何らかの原因で抵抗力が落ちると発症し、外耳道・耳介に痛み のある水疱(帯状疱疹)や、水疱と同じ側の顔面神経麻痺や難聴・耳鳴り・めまいを起こ す病気。  8番目の脳神経と顔面神経は内耳道という同じ骨のトン ネルを通っているので、この様な多彩な症状が出ることがある。この帯状疱疹ウイルスは、水痘(みずぼうそう)のウイルスと親戚で、子供の頃に水痘 にかかった時に単純疱疹ウイルスなどと一緒に感染して、免疫力が落ちたときに発症すると言われるが、詳しいメカニズムはわかってない。
4199 鼓膜炎とは(こまくえん) 鼓膜炎(こまくえん)とは、鼓膜自体に起こる炎症のこる。鼓膜炎は、外耳道炎や耳垢栓塞などが鼓膜にまで到達することにより起こる。風邪などのウイルス感染をきっかけに鼓膜炎を発症することもある。耳鳴り ・耳の奥のかゆみ ・軽い難聴 ・時に出血を伴う耳だれ(鼓膜にできた水泡による)。 鼓膜炎の治療は、抗生物質の内服および点耳を行う。耳だれがある場合は、患部をきれいに拭き取り、清潔に保つよう心がける。鼓膜にできた水泡をつぶすことにより、痛みが軽くなる。
4200 鼓膜裂傷とは(こまくれっしょう) 鼓膜裂傷は、外的要因で鼓膜が傷つき、耳の障害が出るものである。頭部の損傷が鼓膜に及ぶ、耳元で大きな音を聞く、乱暴な耳かき等が原因となる。症状としては耳の痛み ・耳鳴り ・難聴 ・出血、耳漏(耳だれ)。